大葉に含まれる栄養素とは? 身体にいい大葉の効能を取り入れるには【医師・栄養士監修】

大葉と聞くと、薬味を思い浮かべる人が多いでしょう。大葉を使うだけで、味も見た目も食事としてワンランクアップしたという声もあります。それほど人々に人気の食材である大葉ですが、実は味だけでなく、豊富な栄養素を含み健康促進にも貢献してくれる食物なのです。今回は、大葉の魅力を徹底的に紹介します。

大葉とはどんな食材? シソとの違いは?

「大葉とシソってどこが違うの?」と考えたことはありませんか? 実は大葉とシソは同じものですが、大葉は「青ジソの葉の部分のみ」を指します。青ジソと呼んでも問題ありませんが、例えばスーパーで販売される場合は「大葉」という名称が使用されているんです。一般的には、下記のように考えて問題ありません。

●「青ジソ」は植物名
●「大葉」は青ジソの葉の部分を売る際に使う商品名

一方で「シソ(紫蘇)」は、赤ジソと青ジソの両方を指す言葉です。一般的には赤ジソを使用した料理や商品は「シソ」という言葉が含まれていることが多く、青ジソは「大葉」という言葉で言い換えられていることが多いようです。

大葉に含まれる主な栄養素

大葉には多くの栄養素が含まれていて、どれも体にとって必要なものばかりです。

・βカロチン
・ビタミンB
・ビタミンE
・食物繊維
・ペリルアルデヒド

●βカロチン
緑黄色野菜に多く含まれているβカロチンは大葉にも豊富に含まれていて、しかも野菜の中でもトップクラスの含有量を誇ります。そのため、体にとてもいい野菜とされています。βカロチンは油に溶けやすい性質を持っているため、油で炒めたり揚げたりすることが、βカロチンの吸収率を高めるために有効な調理法です。

●ビタミンB
大葉はビタミンB群をまんべんなく含んでいる点も特徴で、口内炎、肌荒れなどの対策に効果的といわれています。ビタミンBは水溶性のため、不要な摂取分は体外に排出される性質を持っています。また、茹でたり水にさらしたりすることでビタミンBは流出するため、生食や無水調理が向いているでしょう。

●ビタミンE
ビタミンEは高い抗酸化作用をもつビタミンで、生活習慣病、冷え性の対策に有効とされています。ビタミンEを含む大葉を摂取することは、体にとって重要な酸素の供給を補助することに繋がります。枯渇しやすい栄養素のため、大葉などのビタミンEを多く含む食材から積極的に摂取していきましょう。

●食物繊維
大葉は、水に溶けない不溶性食物繊維を多く含んでいます。食物繊維は便秘、大腸がんなどへの対策に有効とされています。不溶性の食物繊維には便のカサを増やし、腸の蠕動運動を刺激して排便速度を速める働きがあります。また腸内細菌叢の良好な代謝を促すなど、お通じに悩まれている方におすすめです。

●ペリルアルデヒド
大葉の独特の香りの源とされているぺリルアルデヒドは、抗菌作用や防腐作用があります。そのため、多くの料理の長期保存や殺菌を目的として、大葉が使われています。また食欲増進、発汗解熱、抗炎症、整腸などの作用も期待でき、体にとって必要な成分として知られるようになりました。

大葉にはどのような効能がある?

大葉はもともと薬としても重宝されてきた食物で、その葉や種を乾燥させて摂取することがいいとされてきました。小さな葉からは想像できないほどの多くの力を秘めています。具体的に、どのような効能があるのでしょうか。

発汗を促す

大葉にはカリウムが含まれているため利尿作用や穏やかな発汗作用が期待でき、代謝の向上にも繋がるとされています。

胃の働きの回復

大葉は低下した胃の働きを回復させる効能があるとされています。ペリルアルデヒドにこの効能があり、腸内環境改善、自律神経促進、食欲増進を促すといわれています。

貧血予防

貧血改善に力を発揮する鉄分も、大葉には含まれています。そのため、大葉の摂取はスムーズな血流を助けることに繋がります。

大葉に含まれる鉄分はいわゆる「非ヘム鉄」です。非ヘム鉄は吸収率が低い性質を持っていますが、ビタミンCとたんぱく質を一緒に摂取すると吸収率が上がるとされています。大葉にはそもそもビタミンCも含まれているため、大葉と合わせて肉や魚、卵、大豆製品などを一緒に摂取するとさらにいい効果があります。

吐き気をおさめる

妊娠中や体調が悪いときは、吐き気をもよおすことも。そういった際に、大葉の摂取が推奨されることがあります。これは、大葉が吐き気を抑制する性質を持っているためです。

身体を温める

大葉は体を温めて体温を適度に上昇させる効果もあるとされているため、特に冷え性の方にはおすすめの食材です。

防腐・殺菌効果

冷蔵庫や殺菌手段などがなかった時代、大葉が生ものに添えられることがよくありました。これは大葉に防腐・殺菌作用があるためです。また食品の酸化を防止する効果もあるといわれています。

大葉は食べ過ぎても大丈夫?

大葉の食べ過ぎがよくないという説はあまりなく、むしろ栄養価が高く健康にもいいと推奨されることが一般的です。

ただし熱っぽい症状がある時は、摂取を控えるようにしましょう。大葉は発汗作用や代謝向上を促す性質を持っているため、熱発の際に摂取すると水分不足になったりのぼせが出たりする原因となることがあります。

大葉をおいしく食べる方法

大葉をそのまま食べることが好きな人も少なくありませんが、おいしく料理して食べるのもおすすめです。大葉を少し料理にプラスするだけでも風味が加わり、栄養も摂取できます。まさに一石二鳥ですからぜひ取り入れてみてください。以下に簡単なレシピを紹介します。

①ゆかりと大葉のおにぎり

白米とゆかりをおにぎりにして、大葉で巻くだけの簡単レシピです。適度な酸味が食欲をそそるため、パクパク食べられるでしょう。白米=炭水化物の適度な摂取も促進できて、健康的な食事としておすすめです。

また大葉が防腐作用を持っているため、暖かい季節に持ち歩くお弁当としても適しています。大葉の栄養素が、暑さによる食欲減退の対策にもなります。

味噌焼きおにぎりに大葉を貼り付けても美味しい!

②定番の「冷や汁」

大葉はよく「夏バテ防止」にいいと重宝されます。冷や汁は青魚の脂と大葉の絶妙なマリアージュが特徴で、大葉を細かく刻むことでより香り高くいただけます。すっと飲めるため、夏バテ防止と大葉の豊富な栄養摂取に向いている食し方です。

たっぷりの大葉をちぎって入れた冷や汁

③豚肉の大葉巻き・串焼き

串焼きといえば昔からある食べ物ですが、ここにも大葉が使用されてきました。防腐効果はもちろんですが、肉汁たっぷりの豚肉に大葉の適度な苦みがほどよいアクセントとなっています。何本でも食べられてしまうのは、大葉の存在が大きいでしょう。豚肉の豊富なビタミンB群も一緒に摂取できておすすめです。

豚バラ肉と大葉を重ねてくるくる巻くだけ。お子さんにはチーズを重ねた大葉巻きも人気

食事に大葉を取り入れよう

大葉は健康とグルメの両面で大活躍してくれる、貴重な食材のひとつといっていいでしょう。ぜひ今回紹介したような調理法を参考にして、健康的な身体づくりを目指してみてください。

毎日少しずつ料理に使用してみることで、普段不足しがちな栄養素を補っていくことができるでしょう。

こちらの記事もおすすめ

人気の大葉レシピ9選|青じそ×チーズや豚肉に合わせた人気メニュー
さわやかな香りで風味にメリハリをつけてくれる大葉。子どもに人気の大葉のレシピを幼児誌『ベビーブック』『めばえ』(小学館)に掲載されたなかから...

記事監修

田中祐希|糖尿病専門医
田中恭子|管理栄養士
夫婦ともに『三鷹駅前たなか糖尿病・内科クリニック』にて日々、糖尿病をはじめとした生活習慣病の診療にあたる。薬だけでなく食事療法と運動療法にも力を入れ、患者一人ひとりに寄り添ったオーダーメイドの治療を志す。毎月院内紙を発行するなど、最新の医療情報発信にも力を入れている。院内紙バックナンバーはHPにて公開し、最新号は院内にて配布中。
三鷹駅前たなか糖尿病・内科クリニック

文・構成/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事