【完壁】or【完璧】どっちが正解? 今さら聞けない正しい書き方から、語源や類語、英語表現をご紹介

「かんぺき」の「ぺき」は「壁」?それとも「璧」でしょうか? ふだん何気なく使っていても、意外と間違えやすい「かんぺき」の正しい表記。今回は混乱しがちな「かんぺき」の書き方から、意味や語源、類語、英語表現までを一挙におさらいしていきます。

正しくは「完璧」!その所以は、意味や語源と合わせてチェック

「かんぺき」は、「完璧」と書くのが正解。「ぺき」が「壁」ではなく「璧」である点に要注意です。

よく注目すると、「壁」は下半分が「土」ですが、「璧」は「玉」となっています。その所以を意味や語源とあわせて押さえておきましょう。

「完璧」の意味

「璧」は、一文字だけではあまり馴染みのない漢字ですよね。この漢字は「傷のない宝玉」を言い表しており、「足りないところがない」ことを言い表す「完」と合わせた『完璧』は、本来「傷ひとつない完全な宝玉」という意味を持ちます。

現在の日本ではこれが発展し、「欠点がまったくないことやその様子」という意味として捉えられるようになりました。

「完璧」の語源・由来は?

この言葉は、もともとは中国の故事に由来します。

秦の国王が、趙の宝玉である「璧」をだまし取ろうとしたところ、趙の使者・藺相如(りんしょうじょ)が無事に傷ひとつなく持ち帰ったという逸話が元になっていると語り継がれています。

使い方を例文でチェック!

では、『完璧』は具体的にはどのようなシチュエーションで使われるのでしょうか。いくつかの例文を通して、使い方もおさらいしておきましょう。

1:勉強、スポーツ、人間付き合い、すべてが順調だった彼の学生生活は、【完璧】なもののように見えた。

上で解説したように、欠点や悪いところがまったくないことを言い表した『完璧』。実際にはそうではなくても、相手の印象をたとえる場合にも使うことができます。

2:彼は仕事を【完璧】にこなした。

その人に対する印象だけでなく、誰かの行動やそれに伴う成果に関しても、『完璧』という言葉は使えます。

3:【完璧】な育児なんて、誰にもできるはずがない。

『完璧な〇〇』のように、名詞と組み合わせて使うことももちろん可能です。

類語や言い換え表現は?

『完璧』はどのような言葉に言い換えることができるのでしょうか。ここでは、『完璧』の類語や近い意味を持つ言葉をご紹介していきます。

1:完全/完全無欠

『完璧』と同様に、不具合や欠陥がない状態を指す言葉です。 『完璧』の方が、『完全』よりも「完成度が高い」ニュアンスを持ちます。『完全』の類語である『完全無欠』も同様に近い言葉と言えますが、「欠点がないこと」をより強調した印象を与えます。

2:満点

「完全で非難すべき点のないこと」「試験などにおける規定の最高点」の意味を持つ『満点』も、『完璧』と似た言葉のひとつです。ただし、「栄養満点」のような使い方もある一方で、一般的には「規定の最高点」を表す際に使われる傾向にあります。

3:明らか

「疑う余地がないほど、性質や状態がはっきりとしていること」という意味をもつ『明らか』という言葉。不足のない完全な状態を指す『完璧』とは少々ニュアンスが異なるものの、似ている言葉のひとつと言えます。

対義語は?

合わせて『完璧』の対義語もチェックしておきましょう。正確には、『完璧』の対義語といえる語は存在しないため、反対の意味を持つ言葉をお伝えします。

1:不完全

類語としてご紹介した『完全』の対義語でもある『不完全』。「不足があったり、欠如があったりして、完全ではないこと」を指す言葉です。「不足や欠如がない完全な様」を言い表す『完璧』の反対の言葉として使うことができます。

2:半端/中途半端

「ものごとが完全とも不完全ともつかない状態」を指す『半端』『中途半端』。『完璧』は一点の欠如もない状態を言い表すため、反対の意味を持つ語として覚えておきましょう。

3:杜撰(ずさん)

「誤りが多いこと、いい加減であること」を指す『杜撰』。「誤りや不足のまったくない状態」を表す『完璧』とは、反対の言葉としてとらえることが可能です。

英語表現は?

では、『完璧』は英語ではどのように表現できるのでしょうか。『完璧』を英語で言い表すのにふさわしい英語表現をお伝えしていきます。

1:perfect(perfectly)

多くの人は、『完璧』の英語表現といえば、“perfect”を連想するのではないでしょうか。その通り、“perfect”は「完全な」「完璧な」という意味を持ちます。

名詞・形容詞として使う場合は“perfect”。動詞に添えて副詞として使う場合は“perfectly”と形を変えて用いましょう。

例文:It’s  a perfect circle(完全な円だ)
例文:He is always handling work perfectly.(彼の仕事はいつも完璧だ)

2:complete(completely)

形容詞としては、「完璧な」「完了した」「徹底した」という意味を持つ“complete”もあわせて覚えておきましょう。動詞につなげて副詞として使う場合は、“completely”と形が変わります。

例文: she completed the report.(彼女はレポートを完成させた)
例文:It  will be completely destroyed.(完全に破壊される)

頻出する言葉だからこそ、正しく使えるようにしましょう

今回は、『完璧』の正しい表記や意味、関連語をお伝えしてきました。日常的に頻出する言葉だからこそ、正しく使えるようにしておきたいもの。語源とあわせて知っておくと、さらに忘れにくくなります。

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文・構成/羽吹理美

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