「神田祭」とはどんなお祭り? 2023年の日程や見どころ、歴史を紹介【日本三大祭に行こう】

神田祭は神田明神 (神田神社)のお祭りで、2023年は本祭の年です。江戸時代から続く江戸っ子のお祭りは、いつ・どこで・どのように開催されるのでしょうか。どういった見どころがあるのか、歴史的背景も含めて解説していきます。

2023年の神田祭は5月11日~17日

神田祭は東京の神田明神のお祭りで、1年おきに本祭(ほんまつり)陰祭(かげまつり)が交互に行われます。2023年は本祭の年で、期間は5月11日(木)~17日(水)の1週間です。

11日と12日は神輿に関する神事を行う

初日の5月11日には、神輿(みこし)に御魂(みたま)を移す神事が行われます。神田明神の本殿から「一の宮」「二の宮」「三の宮」の鳳輦(ほうれん)神輿に御霊を移す「鳳輦神輿遷座祭(ほうれんみこしせんざさい)」です。白装束の神職たちを囲む雅楽の音や松明の灯によって、境内はおごそかな雰囲気で満たされます。

12日に行われるのは、氏子町会の神輿に御霊を入れる行事です。厳粛ながらも活気に満ちた行事で、町中がお祭りムード一色になります。

「明神さま」の愛称で親しまれている神田明神(東京都千代田区)。御祭神として平将門も奉祀されている
「明神さま」の愛称で親しまれている神田明神(東京都千代田区)。御祭神として平将門も奉祀されている

13日は神幸祭と附け祭!氏子108カ町を巡行

13日は、神田祭一番の見どころ・神幸祭(しんこうさい)と附け祭(つけまつり)で108カ町が盛り上がります。

神幸祭は、まるで平安時代にタイムスリップしたかのような、神輿行列の巡行です。平安絵巻のような衣装に身を包んだ人々が担ぐ鳳輦神輿は、神田の町々をはじめ、日本橋や秋葉原、大手町など氏子108カ町を丸1日かけて練り歩きます。その距離は約30kmにも及ぶとされています。

一方の附け祭は、曳き物(ひきもの)といわれる大がかりな飾りがついた台車が、各地を練り歩くパレードです。曳き物の飾りは年によって変わりますが、「大鯰(おおなまず)と要石(かなめいし)」「大江山凱陣(おおえやまがいじん)」「花咲か爺さん」「浦島太郎」など、伝統的な作品が多いようです。

神田や日本橋など氏子108町会を約30キロにわたって巡行する神幸祭。日本橋で附け祭と合流し、数千人規模の大行列となる
神田や日本橋など氏子108町会を約30キロにわたって巡行する神幸祭。日本橋で附け祭と合流し、数千人規模の大行列となる

14日の神輿宮入で祭りは最高潮へ

14日には、町中を歩いた神輿が御宮入りします。早朝、一番神輿が鳥居をくぐって参道を駆け上がると、熱気に満ちた神輿宮入(みやいり)が始まります。

各地区の神輿が威勢の良い掛け声とともに次々と御宮入りすると、神田祭はいよいよ最高潮です。

神田明神の境内は人であふれ、神輿を担ぐ人も見物人も熱気に満ちています。神田祭が参加者と見物人が一体となって盛り上げる祭りであることがよく分かるでしょう。

町なかを練り歩いた氏子の108町会、大小200基の神輿が、掛け声と共に続々と神田明神に宮入する
町なかを練り歩いた氏子の108町会、大小200基の神輿が、掛け声と共に続々と神田明神に宮入する

16日と17日の儀式が済むと神田祭は終了

16日のイベントは、献茶式(けんちゃしき)と薪能(たきぎのう)です。

献茶式は表千家の家元が、神前でお茶の所作を披露する行事です。終了後、明神会館で拝服席が設けられ、献茶のおすそ分けとして茶がふるまわれます。

夕刻になると、神田明神・神楽殿(かぐらでん)で薪能が奉納されます。2023年の演目は、「明神能幽玄(みょうじんのうゆうげん)の花」と題した狂言・仕舞(しまい)・能などです。演技の前に解説があるので、初めての人でも楽しめます。

薪能の観覧は屋外からになりますが、座席を確保するにはチケットが必要です。

最終日の17日は、神田祭の締めくくりとして「例大祭(れいたいさい)」が催されます。例大祭は本祭・陰祭どちらでも行われる、神田祭の最も重要な儀式です。各町会の代表が列席し、平和と安全、氏子の幸せを祈願します。

第20回神田明神薪能「明神能幽玄の花」

神田祭が行われる場所は?どんな歴史がある?

神田といえば江戸っ子と馴染みの深い地名であり、神田祭は江戸っ子の氏子祭りです。日本三大祭や江戸三大祭の一つでもあります。

神田祭は東京都にある神田明神の氏子祭り

神田祭は、東京都千代田区にある神田明神の氏子祭りです。神田明神の氏子は、神田・日本橋・大手町・丸の内・秋葉原など108カ町にわたります。

神田祭は京都の祇園祭(ぎおんまつり)、大阪の天神祭(てんじんまつり)と並ぶ日本三大祭の一つで、江戸三大祭の一つにも数えられています。

江戸幕府の初代将軍となった徳川家康が、戦のたびに神田明神で戦勝祈願を行ったことも有名です。家康が天下を取ったことから、神田明神のお祭りは「天下祭り(てんかまつり)」とも呼ばれています。

神田明神の鳥居。正面に見えるのが荘厳な造りの随神門
神田明神の鳥居。正面に見えるのが荘厳な造りの随神門

江戸・明治時代の神田祭

江戸に幕府が開かれたころ、神田のあたりは材木・染物・青果などさまざまな物の商いの町でした。江戸の発展を願った徳川家康の寄進により、現在のような大きな社殿が造られ、盛大なお祭りが行われるようになったのです。

神田祭の始まりは、神田明神の御祭神(だいこく様・えびす様・まさかど様)が「氏子に会いに出かけてゆく」という発想がもとになっています。氏子に会いに行くために、三基の鳳輦神輿が108カ町を丸1日かけて歩くのです。

江戸時代の神田祭は秋に行なわれていましたが、1884年(明治17年)の祭りで大嵐が発生したため、以後は天候が比較的安定している5月に開催されるようになりました。

神田祭の見どころ

神田祭の見どころはなんといっても、三基の鳳輦神輿が練り歩く「神幸祭」です。そして、氏子町会の神輿が威勢よく駆け上がってくる「神輿宮入」も見逃せません。

人気の行事は「神幸祭」

神田祭の一番のイベントは、神幸祭という平安時代の装束で約500人ほどが町中を歩く行事で、2023年は5月13日に行われます。一の宮・二の宮・三の宮の鳳輦神輿が、町々を払い清めて歩きます。

神幸祭と同時に行われる附け祭も、多種多彩な曳き物や仮装行列、踊り屋台は毎回注目の的です。踊り屋台では能・浄瑠璃などの伝統芸能が演じられますので、ぜひ見てみましょう。

熱気と興奮で満たされる「神輿宮入」

神幸祭と並ぶ見どころは、氏子町会の神輿が神田明神に入ってくる「神輿宮入」です。2023年は5月14日に行なわれます。

朝日が差し込むなかで一番神輿が威勢よく宮入りすると、夕方まで各町会の神輿が次々と入ってきます。100基とも200基ともいわれる、氏子町会の神輿の迫力を体感してみましょう。

神輿を担ぐ人と大勢の見物人で境内はあふれてしまうので、各神輿はある程度時間を決めて入ってきます。

1977年(昭和52年)にその歴史をさかのぼる「女神輿」は須田町中部町会のもの。粋な女性たちの掛け声は祭りの華
1977年(昭和52年)にその歴史をさかのぼる「女神輿」は須田町中部町会のもの。粋な女性たちの掛け声は祭りの華

江戸下町を練り歩く神田祭を体験しよう!

気風(きっぷ)のよさが売りの江戸っ子のお祭りを、一度は見てみたいという人も多いでしょう。お祭りでは神輿行列だけではなく、伝統芸能の披露も行われているので、予約・チケット購入が必要な場合もあります。

また、神田祭は江戸下町の広範囲で行われるため、いつどこで何が見られるかを確認しておきましょう。優雅な平安装束の神幸祭、江戸っ子の迫力が炸裂する神輿宮入、どちらも見ごたえ十分のお祭りです。

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参考:令和5年  神田祭
画像提供:一般社団法人千代田区観光協会プレスリリース

構成・文/HugKum編集部

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