おむつはずれステップは、ゆるゆるとがちょうどいい【保育士監修】

「いつごろから、どのように始めたらいいの?」と、おむつはずれに関してはあれこれ悩んでしまうもの。でも、子どもにとって無理のないペースで進めるには、おうちの方はゆったり構えていたほうがいいのです。保育の専門家からのアドバイスをお届けします!

「トイレでできると気持ちいい」と思えるような声をかける

個人差はありますが、子どもは1歳半を過ぎると膀胱にある程度はおしっこをためられるようになり、2歳代になると「おしっこがたまった」という感覚がわかるようになります。おむつをしてすごす日々を卒業して、トイレでおしっこをすることは、「子ども自身にとって自然で心地よいこと」であって、「大人の都合で無理にやらせること」ではありません。主人公は子どもなので、おうちの方は気負わずに、「トイレでできると気持ちがいいね」と子ども自身が感じることに共感するような声かけをすることが大切です。

いつかはパンツになるので信じてあせらず待ちましょう

「おしっこが上手にできるかどうか」ということばかりを気にして、子どものありのままの姿を愛しく思う時間を手放してしまうのは、とてももったいないことです。おうちの方が神経質になると、子どもはおうちの方の顔色を気にするあまり、「おしっこがしたい」という自分の体の感覚に気づきにくくなってしまうことも。子どもが自分のペースで排せつの仕方を身につけていくには、おうちの方は「いつかはパンツになるのだから大丈夫!」と、のんびり構えているくらいがちょうどいいのです。子どもの成長を信じ、長い目で見守っていきましょう。

おうちの方も子どもも笑顔でいるための4つの心がけ

1.トイレのことばかりを考えず肩の力を抜く

「トイレでできるかどうか」で、子どもやおうちの方の価値が決まるわけではありません。トイレは子どもとの生活の一部にすぎないので、他の楽しいことにも目を向けましょう。

2.「うまくできてもできなくても、あなたが大好き」の気持ちで

うまくできればほめられるけれど、できないと叱られるということが続くと、子どもは自己肯定感を持ちにくくなることも。どんなときも子どもの味方でいる気持ちを忘れずに。

3.イライラしたらひと休みしておむつで楽しくすごす

イライラするのは、おうちの方が「がんばりすぎている」というサインです。トイレのことで悩まなくてすむように、一旦おむつに戻してひと休みしてから仕切り直しを。

4.おうちの方自身の時間もつくり

リラックス&リフレッシュおうちの方が笑顔でいると、子どもは安心できるので新しいことに挑戦する意欲がわいてきます。時には子どもを預ける機会をつくり、おうちの方自身の時間を楽しみましょう。

トイレに行くのを嫌がるときは…「また今度ね」でOK

おうちの方が理由を探ろうとして「なんで嫌なの?」と問い詰めると、子どもは責められているように感じて、そのプレッシャーからますますトイレに行きたがらなくなることも。別のタイミングで気持ちが切り替われば、自然と行けるようになることがほとんどなので、嫌がるときは「また今度ね」と軽く受け流しましょう。

子どものペースに合わせて!おむつからパンツへのステップ

おむつからパンツに無理なく進めるには、子どもの成長に合ったタイミングで必要なサポートをすることが大切です。ここでは基本的なステップを紹介しますが、うまくいかないときは前のステップに戻ったり、少しお休みしたりしてもかまいません。ペースには個人差があるので、子どもの様子をよく見て進めましょう。

スタートする前に子どもの体と心の準備ができているかを確認!

■ひとりで歩ける

■大人の言うことがある程度わかり、「おしっこしたい」という意思表示ができる

どちらか1つでも満たしていない場合は、おむつを替えるときに「おしっこが出て気持ちいいね」と声かけをしながら、本格的な取り組みを始めるのはもう少し待ちましょう。

ステップ1 『おしっこの感覚をつかむ』

おむつを替えてから1時間くらいたったら、おむつがぬれているかどうかをチェック。ぬれていなければ、さらに時間をおいてチェックして、次のおしっこが出るまでの間隔をつかみます。

【先生から】トイレやおしっこのイメージを伝えることから。
おむつをこまめに確認することで、排尿のペースをしっかり把握しましょう。トイレの絵本を読んだり、おうちの方がトイレに行くときに連れて行ったりすると、「トイレでおしっこをする」ということをイメージしやすくなります。トイレという場所に慣れることを目的として、子ども用の補助便座に座らせてみてもよいでしょう。

ステップ2 おしっこが1時間半~2時間おきになったら『出そうなときにトイレに誘う』

モジモジする様子が見られるなど、おしっこが出そうなときに「トイレに行こうか」と誘います。お昼寝から起きたとき、遊びが終わったときなど、やることが切り替わるタイミングで声かけを。

【先生から】出たときは「気持ちいいね」の一言を
トイレやおしっこのイメージを伝えることからトイレでおしっこが出たときは、「上手だね」「えらいね」といった言葉で評価するのではなく、「いっぱい出たね」「気持ちいいね」といった子どもが感じることをそのまま言葉にしてあげましょう。出ないときは、さっぱりとした口調で「出なかったね」と子どものありのままの姿を受け止め、次に向けて気持ちを切り替えて。

ステップ3 2回に1回はトイレでおしっこができるようになったら『パンツですごす時間を少しずつ長くする』

増えてきたら、日中はパンツですごす時間を長くしていきます。外出時は親子ともに無理がないように、状況に応じておむつやトレーニングパンツの活用を。

【先生から】うまくできなくても叱らずさらっと受け流して
おもらしをしたときは、「おしっこ出たね」とさらっと受け流して手早く後始末を。ここで厳しく叱ると、子どもは「失敗すると大好きなママやパパを傷つけてしまう」と感じ、その緊張感から排せつがうまくできなくなることもあります。おうちの方の気持ちにゆとりがないときは、無理せずにおむつですごすのでかまいません。

ステップ4 日中はパンツですごせるようになったら トイレに誘うのはやめて「出そうなときは教えてね」と伝える

おうちの方から誘うのをやめ、子どもが「おしっこ出るよ」と意思表示するのを待ちます。おしっこがたまる感覚と「出た」という経験が結びつくと、トイレに行くタイミングがつかめてきます。

【先生から】後戻りすることがあってもおおらかに見守って
トイレに限らず、できたりできなかったりを繰り返しながら、人は必要なことを身につけていきます。昨日できていたことが今日はできないということもありますが、それは決して悪いことではなく、その子なりの成長のプロセスです。そのプロセスをおうちの方があたたかく見守ることが、子どもへの何よりの励ましになります。

ゴール! おしっこが出る前に言えるようになったら『拭き方を教える』

はじめはおうちの方が拭き、トイレットペーパーの使い方や、前から後ろに向けて拭くことを教えます。ひとりでできるようになっても、きれいに拭けているか確認を。

手洗いの習慣をつける

トイレのあとは必ず手を洗い、清潔なタオルやハンカチでしっかり拭くことを習慣に。外出時もパンツになったら、公共のトイレでの手洗いの仕方も教えましょう。

おしっこ・うんち の大切さを教える

「食べる」→「出す」という体のしくみを教え、「元気なうんちが出てよかったね」と声をかけるなど、おしっこやうんちが出ることの大切さも伝えていきましょう。

夜のおむつ卒業はあせらずに

夜のおしっこは、体に水分をためるホルモンの働きによりコントロールされています。子どもの意思でおしっこを出せる昼間とは排せつのしくみが異なるため、おねしょが続く場合は、夜はしばらくおむつのままでかまいません。
お話を伺ったのは
菊地 知子先生
お茶の水女子大学いずみナーサリー主任保育士。生後6か月から満3歳までの子どもの保育を行うとともに、乳幼児
保育の研究にも取り組む。
「おむつはずれ」はゆっくりでOK!ベテラン保育士がリアルな悩みに答えます!【ベビーブック4月号育児特集「おむつはずれ ステップ」Q&A】
この記事は1・2・3歳の知育雑誌ベビーブックがお送りします。 おむつはずれは、「子どもにとって無理なく進める」ことを大切にすることで気...
https://hugkum.sho.jp/24088
https://hugkum.sho.jp/2431

編集部おすすめ

関連記事