赤福とは
赤福は、お餅の上にこしあんをのせた和菓子です。伊勢にある、その名も「赤福」という名前の和菓子屋がつくっており、伊勢名物としてよく知られています。
北海道産の小豆と国産のもち米と砂糖という、とてもシンプルな材料でつくられた餅菓子です。
赤福の歴史
赤福が誕生したのは、いまから300年以上前の宝永四年(1707年)、江戸時代のことです。当時、お土産で持ち帰る赤福は、竹の皮で包んでいました。それが7代目店主の種助が、現在使われている折箱の原型となる折詰を考案。やがて、現在のピンク色の和紙で折箱を包んだ形で販売されるようになりました。
創業300年を超える赤福は、途中、第二次大戦中に休業しました。終戦後の1949年に営業を再開し、今でも多くの人々に愛される存在となっています。
赤福の由来・成り立ち
赤福という名前がつけられた由来は「赤心慶福(せきしんけいふく)」の言葉です。これは、嘘いつわりのない真心で、素直に自分や人の幸せを喜ぶことを意味します。この言葉から2文字をとって「赤福」と名付けられたと言い伝えられています。
赤福の特徴
赤福の特徴をいくつかご紹介しましょう。
北海道産小豆のこしあん
赤福といえば、こしあんが特徴的です。あんの材料には北海道産の十勝地方や上川地方、オホーツク地方で栽培された小豆が選ばれています。その小豆をじっくり煮て、種皮やアクなどをとり除き、水と砂糖を加えてあんにしていくのです。
3本の筋が入った形
赤福のこしあんには3本の筋がつけられています。これは伊勢神宮神域を流れる五十鈴川の流れを表したもので、白いお餅は川底にある小石を表現しています。毎日、職人が繊細な指先で、この3本の筋を入れてつくっているのだそうです。
お伊勢参りの人をもてなす
赤福といえば、伊勢神宮を訪問する人々をもてなしてきた餅菓子です。昔は、伊勢神宮に行くのは時間も費用もかかる長旅でした。しかし健康に過ごせたことへのお礼などの意味を込めて、「一生に一度は伊勢参り」という習慣があったのだとか。
赤福は、そんなお伊勢参りの人々をもてなしてきました。現在でも伊勢神宮が朝5時から参拝できることにあわせ、赤福本店も朝5時から営業しています。
消費期限は、夏は2日、冬は3日
赤福の消費期限は、折箱に記載されています。夏期は製造日を含めて2日、冬期は製造日を入れて3日間です。
赤福はどこで買える?
赤福を購入できるのは、伊勢市内や大阪、名古屋、神戸、京都に複数ある直営店のほか、大阪、名古屋、神戸、京都などの百貨店です。さらにJR伊勢市駅の駅構内などの鉄道にも店舗があります。また中部国際空港や大阪国際空港、関西国際空港などの空港、港などでも販売されています。
赤福の類似品は?
赤福は全国で知られる銘菓のひとつですが、赤福によく似た商品もあります。
例えば、伊勢市二見町にある御福餅本家がつくる「御福餅」や、三重県伊賀地方で販売されている「伊賀福」も、赤福とよく似ていると話題にあがります。どちらもこしあんを使った餅菓子で、見た目も赤福とよく似ています。
赤福の特徴的な店舗
赤福を購入できる店舗について、いくつか代表的なものを紹介しましょう。
赤福本店
伊勢神宮のすぐ近くにある、おかげ横丁に構える赤福本店です。140年近くたつ建物に、金色で「赤福」と大きく描かれているのが特徴です。
のれんをくぐって中に入ると、朱色のかまどが構えられており、このかまどで沸かした湯で番茶が入れられます。また職人が赤福を作る様子も見ることができます。店内には座敷席と縁側席があり、ゆったりと過ごせるでしょう。
赤福別店
赤福本店のすぐ向かいにあるのが、赤福別店です。
赤福本店では店内で食べられるのが赤福餅と、1月を除く毎月1日の朔日餅に限られますが、別店では季節によって、赤福盆と赤福ぜんざいを楽しめます。お伊勢参りの後の旅の疲れを、ここで癒してはいかがでしょうか。
内宮前支店
同じく伊勢神宮から近いところにある内宮前支店でも、赤福や赤福氷、赤福ぜんざいを楽しめます。
2021年にリニューアルされた店内には、木製のテーブルと椅子が並んでいます。お土産品を選んでも、気になったものを店内でいただいてもいいでしょう。
赤福の定番人気商品
赤福で販売・提供されている和菓子の定番をここで確認しましょう。
赤福
まず絶対にはずせないのが「赤福」。折箱に入れられた赤福は、8個入り、12個入り、20個入りがラインナップ。そのほか一人分の赤福を小さな紙箱に小分けした「銘々箱(めいめいばこ)」もあります。
銘々箱は1箱(2個入り)から、3箱入、6箱入、12箱入、18箱入があり、入学祝いや卒業祝い、結婚祝いなど各種のお祝いごとなどに利用できます。
甑(こしき)
こしあんの赤と餅の白の組み合わせでできた紅白の赤福は、おめでたい場面にピッタリです。
贈答用に赤福を利用する方におすすめなのが、甑(こしき)と呼ばれる木の箱に赤福をつめた一品。風呂敷で包んだ状態で用意されるため、そのまま大切な人の元へ届けられます。赤福が、より価値ある一品に見えてくるから不思議です。
白餅黑餅
休業を余儀なくされたコロナ禍の赤福で、新しく生まれたのが「白餅黑餅」。黒は生まれたての純朴なものを表し、これからの可能性を秘め、白は清らで洗練されたものを象徴しています。「物事には影があれば光もある、これから光に向かって進んでいく」という意味も込められているそうです。
ちなみに黒餅は黒砂糖味のお餅で、宝永の時代を経て明治のころまで作られていたもの。白餅は、白小豆餡で作られたお餅です。
ぜんざい
温かく炊き上げた大粒の小豆に、こんがりとした焼き色がついた焼き餅を入れたぜんざいは、冬期に赤福の店頭で楽しめる冬の味です。
もともと販売当初は「赤福しるこ」と呼ばれていましたが、改良を重ねて現在は「赤福ぜんざい」の名前で親しまれています。家庭でも店の味をそのまま食べられる土産品も販売されます。
赤福氷
赤福の夏の顔ともいえるのが、赤福氷(あかふくごおり)です。
かき氷には抹茶蜜がかけられ、中には餡とお餅が入っています。暑さが厳しい季節には、すっと体の熱を取って、糖分で疲れを癒してくれます。夏のお伊勢参りの際は、ぜひチェックしたい氷菓子です。
赤福以外の商品ラインナップ
定番以外にも、まだまだ赤福にはチェックしたい商品が数多くあります。
朔日餅
伊勢では、毎月1日に神宮へお参りする「朔日(ついたち)参り」という習慣があります。これは無事に元気に1か月過ごせたことを感謝し、次の1か月も無事に過ごせるように祈るならわしです。
赤福ではそんな朔日参りにあわせて、1月を除いて毎月、朔日餅を用意しています。4月はさくら餅、5月はかしわ餅というように、季節にあわせた和菓子を楽しめます。
お赤飯
赤福には欠かせないのが、北海道産の小豆です。それを餅米とセットにした「お赤飯」も人気です。
家庭用の炊飯器にセットしたら、簡単にお赤飯を炊いて自宅でいただけます。お祝い事などにぜひ。
赤福ほうじ茶
赤福の店頭で、赤福と一緒に出されるのがほうじ茶です。そんなほうじ茶はティーバッグになって販売されています。
有機栽培された三重県産の伊勢茶は、赤福餅にあうようにブレンドされています。
通販できる!赤福のおすすめ
赤福の一部の商品は、オンラインショップでも購入できます。
赤福ぜんざい
こちらは冬の伊勢の風物詩ともいえる、赤福ぜんざいです。赤福と同じ餡に、ぜんざい専用に炊き上げた大粒大納言小豆をプラスしています。ここに香ばしく焼き上げた餅をのせれば、自宅で簡単に赤福ぜんざいができあがります。
伊勢参りには赤福を
日本の神々のなかでも最高位につく天照大御神(あまてらすおおみかみ)をはじめとした神様がまつられている伊勢神宮。そのため日本最大のパワースポットともいわれ、「お伊勢参り」を行う人々が数多くいます。
そんな伊勢参りにぜひ立ち寄りたいのが赤福です。「人々や自分の幸せを喜ぶ」という意味が込められている餅菓子は、いただくだけだけでもご利益がありそうです。伊勢神宮や伊勢へ出かけたときは、ぜひ赤福をチェックしてみてはいかがでしょうか。
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文・構成/HugKum編集部