教科書にも載っている神話『因幡の白兎』。因幡ってどこ? あらすじや教訓も【おとなの教養】

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『因幡の白兎』とは、古事記の神話の一つ。心優しい大国主命(おおくにぬしのみこと)という神様が一匹のウサギと出会い、最終的に八上姫(やかみひめ)と結ばれる物語です。今回は、あらすじや教訓、舞台となる「因幡」の場所や、出雲大社との関係など、一歩踏み込んで物語を読んでみましょう。

『因幡の白兎』という神話をご存じですか? 名前を聞いたことがある方も多いかもしれませんね。

平成23年からは、小学校の教科書にも載っており、日本神話の中でもかなり身近な存在。まずは、おおまかなあらすじや、舞台となった地域など、基本情報を紹介していきます。

『因幡の白兎』ってどんなお話?

『因幡の白兎』とは、日本最古の歴史書『古事記』に記載されている神話の一つ。オキの島から海を渡って因幡にやってきたウサギと、大国主命(おおくにぬしのみこと)という神様が出会う物語です。詳しいあらすじは、後ほど紹介!

場所はどこ?

物語の題にもなっている「因幡(いなば)」とは、鳥取県東部のこと。オキの島の表記は、隠岐の島、沖ノ島など諸説あり。鳥取県には、白兎神社や白兎海岸など、神話ゆかりの地があります。

ワニザメってワニ? サメ?

物語の中に、「ワニザメ」という動物が登場します。鰐なのか鮫なのかという点は、しばしば議論に。絵本でも、絵は鰐と鮫の両方があります。鮫を「ワニ」と呼ぶ地域がある、鰐は日本に生息していない、などいくつもの説がありますが、はっきりしたところは分かっていません。

出雲大社と関係はある?

出雲大社 拝殿 by Saigen Jiro, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=47445905より(PD)

『因幡の白兎』に登場する大国主命は、出雲大社に祀られている神様です。

大国主命という言葉は聞きなれないかもしれませんが、「大黒様(だいこくさま)」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか? 大国主命は国を築いた神様で、たくさんいる神様の中でも中心的な存在です。

物語のあらすじ

『因幡の白兎』を知らない方は、神様とウサギ、そしてワニザメという正体不明の動物も登場する、不思議な物語だと感じるかもしれませんね。実際はどんな物語なのでしょうか? さっそくあらすじを紹介します。

あらすじ(詳細バージョン)

一匹のウサギが、オキの島に住んでいました。海を越えた先には、因幡の国。一度は因幡の国に行ってみたいと思っていたウサギは、いい案を思いつきます。

ウサギは、海のワニザメに「僕と君、どちらの仲間が多いか比べてみよう」と提案します。ワニザメの仲間は海に集まって、一列に並びました。列は因幡の国まで届くほど。ウサギはワニザメの数を数えながら、その上を飛んでいきました。

あと少しで因幡の国に着こうとした時、ウサギは嬉しさのあまり、つい「本当は因幡の国に行きたくて、君たちを騙したのさ!」と言ってしまいます。怒ったワニザメは、ウサギに噛みつき、皮を全部剥いでしまいました。

ちょうどその頃、美しい八上姫に結婚を申し込もうと、たくさんの神様たちが因幡の国にやってきていました。神様たちは、皮を剥がれたウサギを見つけると、いじわるをしてやろうと声をかけます。「海水で体を洗って、山の上で風に当たりなさい」。言われた通りにしたウサギは、痛みがもっとひどくなり、しくしくと泣き出してしまいました。

そこへ遅れて、心優しい大国主命という神様が、先に行った神様たちの荷物を全部担いでやってきました。泣いているウサギを見つけると優しく声をかけ「すぐに川の水で体を洗って、蒲(かば)の穂を体につけなさい」と言います。ウサギが言われた通りにすると、あっという間に痛みが引き、体が元通りになりました。

ウサギは大国主命にとても感謝し、「八上姫は、他の神様たちではなく、あなたを結婚相手に選ぶでしょう!」と言って、八上姫の元へ走り出しました。ウサギは、他の神様たちよりも早く八上姫の元にたどり着き、何があったかすべて話しました。

八上姫はその話を聞くと、続々と到着した神様たちからの求婚の申し出をすべて断ります。そしてついに、一番最後にやってきた大国主命の求婚を受け、二人は無事に結ばれました。

あらすじを簡単にまとめると…

ウサギは海を渡るためにワニザメを騙したせいで、皮を全部剥がれてしまいました。そこへ八上姫に会うためにやってきた神様たちが、いじわるをして、さらにウサギを苦しめます。

一番最後にやってきた神様は、大国主命という心優しい神様でした。ウサギを見つけると、適切な治療を教え、すっかり元通りに。ウサギはたいへん感謝し、八上姫に「大国主命と結婚するべきだ」と伝えます。そのおかげで、二人は無事に結婚することができました。

主な登場人物

あまり長くない物語なので、登場人物も多くありません。しかし、神話というだけあって、漢字や読み方が難しいですね。一度確認しておきましょう!

ウサギ

物語の題にもなっている、主人公のウサギ。因幡の国に憧れていました。ちなみに「しろうさぎ」は「白兎」だけでなく、「素兎」と表記することも。「素兎」とは、皮を剥がれて丸裸になってしまったウサギのことを意味しているのだそう。

ワニザメ

鰐なのか鮫なのか、はっきりしていません。しかし、怒ってウサギの皮を剥いでしまうという、恐ろしい存在であることは確かです。

神様たち

ウサギが最初に出会ったいじわるな神様たち。実は大国主命のお兄さん。自分たちの荷物を全て弟の大国主命に持たせ、我先にと八上姫に会おうとします。

大国主命

読み方は、おおくにぬしのみこと。兄の荷物をすべて押し付けられ、だいぶ遅れをとってウサギと出会います。心優しい、建国の神様です。

八上姫

読み方は、やかみひめ。やがみひめとも。美しいお姫様で、たくさんの神様たちから求婚されますが、最後はウサギの助言のおかげで大国主命と結婚します。

『因幡の白兎』読むなら

教科書にも掲載されている『因幡の白兎』は、現代の一般教養として知っておくべき物語。『古事記』や神話と聞くと難しい印象がありますが、絵本なら子どもにも親しみやすいはず。各出版社から、おすすめをそれぞれ紹介します!

『いなばの白うさぎ〜オオナムヂとヤガミヒメ〜:日本の神話 古事記えほん【四】(日本の神話古事記えほん)』(小学館)

人気児童文学作家、荻原規子による文。山村浩二の細かく描き込まれたイラストが、物語とよく合います。

『いなばのしろうさぎ (いもとようこの日本むかしばなし)』(金の星社)

いもとようこさんによる、温かみのあるイラストが特徴的な一冊。ウサギが皮をはがれるなど、子どもが怖がりそうなシーンも、いもとようこさんのイラストなら読みやすいはず。

『日本の神話〈第4巻〉いなばのしろうさぎ』(あかね書房)

舟崎克彦さんによる文と赤羽末吉さんによる絵。全6巻シリーズ。現地取材と資料調査によって考証が尽くされ、歴史的資料や芸術作品のようにも感じる、本格的な絵本です。

『因幡の白兎』の教訓は? 何が言いたい?

さて、『因幡の白兎』という神話は、一体何を伝えようとしているのでしょうか?

ワニザメを騙したウサギは皮を剥がれ、ウサギに意地悪をした神様は八上姫に振られ、ウサギに親切にした大国主命は八上姫と結婚することができました。「悪いことをするとバチがあたり、いいことをすれば報われる」。それはまさに「因果応報」そのものといえるでしょう。

『因幡の白兎』をお子さんと一緒に読んだ後、ぜひ感想を言い合ってみてくださいね。

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構成・文/伊藤舞(京都メディアライン)

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