「日本一の滝」はどこにある? 落差や横幅などさまざまな面からチェック!【親子で学ぶ日本地理】

日本にはたくさんの滝があり、山や渓流とともに美しい風景を生み出しています。大きさや美しさなどが日本一といわれる滝を、一度は見ておきたいと思う人もいるでしょう。滝の基礎知識とあわせて、思い出に残りそうなおすすめスポットを紹介します。

日本一を知る前に「滝」の基本知識を確認

ひと口に滝といっても、大きさや水の落ち方など、さまざまなタイプがあります。滝の定義や計測法など、基本的な知識をチェックしましょう。

滝の定義をおさらいしよう

滝とは、川を流れている水が急激に、縦方向に落下する状態のことです。河床に落差が生じたり、急傾斜であったりする場所で見られます。

国土地理院では、落差(滝の高さ)が5m以上ある滝を幅20mを境に大小に分け、それぞれ地図記号として表示しています。なお落差については、正確に計測された滝は少ないのが現状です。計測技術の向上によって、今後変わることもあると覚えておきましょう。

例えば高知県にある「小金滝」は、落差が「100m程度」とされていましたが、2018年に国土交通省の地形図を用いて計測した結果、106mあることが分かっています。

参考:
地図記号:滝 | 国土地理院
国土交通省 四国地方整備局.pdf

日本一落差の激しい滝

はるか高い場所から落下する滝は豪快で、見ごたえがあります。日本一落差の激しい滝は、どこにあるのでしょうか。

滝は季節や天候などによって水量が変わり、高低差についても測量データが一定でないため、「日本一」としてひとつに絞れるわけではありません。ここでは落差が大きいことで有名な滝をふたつ挙げます。

常に確認できる「称名滝」

秋の称名滝
秋の称名滝

落差が日本一の滝は、富山県の立山にある称名滝(しょうみょうだき)です。その距離は約350mと、東京タワーの333mを優に超えます。

滝の水は4段にわたって流れ落ち、直径約60mの巨大な滝つぼへと注がれます。滝つぼの深さは6mほどもあるといわれており、水量でも他を圧倒しているといえるでしょう。

国の名勝・天然記念物にも指定されており、四季折々の自然の風景を堪能できます。

幻の滝と呼ばれる「ハンノキ滝」

落差日本一の称名滝とハンノキ滝
落差日本一の称名滝とハンノキ滝

ハンノキ滝は称名滝の向かって右側に出現する、落差約500mの滝です。称名滝よりもはるかに落差が激しいにもかかわらず、常に見られるわけではないため正式な滝とは認められず、「幻の滝」と呼ばれています。

ハンノキ滝が現れるのは、山の雪が解けて川が増水する春です。梅雨の時期や降雨量の多い日にも、現れる可能性があります。

なお称名滝・ハンノキ滝ともに、見学できる期間は例年4月末から11月末までに限られます。両方見るなら、4月末の道路開通を待って訪れるとよいでしょう。

日本一横幅が広い滝

横に広がって落ちる滝も、落差の激しい滝とは違った迫力を感じられます。日本一横幅が広い滝を紹介します。

洪水時の分水路を持つ「曽木の滝」

鹿児島県伊佐市 曽木の滝
鹿児島県伊佐市 曽木の滝

横幅が日本一の滝は、鹿児島県伊佐市にある曽木の滝です。落差は約12mですが、幅は約210mあります。岩肌を削るかのように豪快に流れ落ちる水と、周囲に響く音は圧巻で、東洋のナイアガラとも呼ばれています。

滝一帯は自然公園として整備され、展望台からじっくりと見学可能です。滝の水が注ぐ下流のダムでは、水位の下がる5~9月にレンガ造りの発電所の遺構が姿を現します。

曽木の滝は、すぐ隣に分水路を持つことでも知られています。分水路とは川の水かさが上がったときに余分な水を流し、洪水被害を低減するために設けられた水路のことです。この分水路は曽木の滝の景観との調和を目指して計画・整備され、グッドデザイン賞などを受賞したことで注目を集めています。

参考:国土交通省九州地方整備局 川内川河川事務所|激特事業|曽木の滝分水路

日本一美しい?日本三大名瀑をチェック

美しさや知名度の高さなどが、日本一ではないかと評価されている滝もあります。一般的に「日本三大名瀑」と呼ばれる、三つの滝もチェックしておきましょう。

ただし三大名瀑を誰が決めたのかは、はっきりしていません。紹介する人によって、違う滝が候補に挙がるケースもあることを覚えておきましょう。

世界遺産の1つ「那智の滝」

和歌山-【那智の滝(那智の大滝)】
和歌山-【那智の滝(那智の大滝)】

世界遺産「熊野・熊野古道」にある那智の滝は和歌山県東牟婁郡那智勝浦町に位置し、国指定名勝にも指定される名瀑です。古代より信仰の対象とされ、「熊野那智大社別宮 飛瀧神社」の御神体にもなっている珍しい滝です。

落差は約133m、滝つぼの深さは10mあり、飛瀧神社の拝所では毎秒約1tの水が流れ落ちる様子を間近に見学できます。滝つぼの水は「延命長寿の水」とも伝えられており、実際に飲んだり、おみくじを濡らして運勢を占ったりして楽しめます。

参考:社殿案内(那智御瀧)|熊野那智大社

四季折々で異なる顔を見せる「華厳の滝」

栃木県日光市にある華厳(けごん)の滝も、多くの観光客を魅了する名瀑の一つです。滝の多い日光エリアにおいても、圧倒的な知名度を誇ります。

華厳の滝
華厳の滝

落差約97mの華厳の滝には、滝つぼ近くまで降りられるエレベーターがあります。降りた先では滝が間近に見え、迫力満点の轟音や水しぶきを体感できるでしょう。

華厳の滝の周囲には、細く小さな滝がいくつかあり、十二滝と呼ばれています。真冬にはこの十二滝が凍りついて、全体がアイスブルーに染まる姿が見られることもあります。

参考:栃木県/華厳の滝

恋人たちの聖地「袋田の滝」

もう一つの名瀑は、茨城県大子町(だいごまち)にある袋田の滝です。落差は約120m、幅は約73mにわたり、岩肌を沿うように流れる雄大な姿が特徴的です。

袋田の滝
袋田の滝

4段に分かれて流れるため「四度(よど )の滝」とも呼ばれ、環境省の「日本の滝100選」にも選ばれています。冬には夜間のライトアップが実施され、ロマンチックな雰囲気を醸し出しています。

2015年にはNPO法人地域活性化支援センターによって恋人の聖地に選定されました。

参考:【国名勝】袋田の滝・生瀬滝|大子町公式ホームページ

それぞれ個性がある日本一の滝を楽しもう

国土の多くを山地が占め、水も豊かな日本には、美しい滝がたくさんあります。一時期しか現れない幻の滝や、神様になった滝などそれぞれに特徴があり、どこに行っても新たな感動を得られます。

家族でさまざまな日本一の滝を訪れ、充実した休暇を過ごしましょう。

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文・構成/HugKum編集部

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