シイラは、イルカのように泳ぐことから英名では「Dolphinfish」と呼ばれます。スペイン語では「Dorado」。こちらは「黄金」の意味で、釣り上げた時に金色に光ることに由来するそうです。また「マヒマヒ」という別名もあり、ハワイなどでも食されています。なかなか話題が尽きない魚なんですが、食卓でも安価でおいしいメニューに変身してくれます。
シイラのレシピ
シイラを見かけたら、まずはフライやムニエルにして食べてみてください。調理法はごく一般的な魚と一緒です。
冷凍のまま シイラのパン粉焼き
最初に、冷凍のままで調理するパン粉焼きをみていきます。冷凍でご自宅に届いたシイラに、解凍しないまま衣をつけ、少ない油で揚げて仕上げます。
・材料
冷凍のシイラ 3切れ
天ぷら粉 大さじ3
水 大さじ4
パン粉 大さじ2~3
揚げ油 鍋から1㎝程度
・作り方
【1】天ぷら粉と水を混ぜ合わせます。
【2】冷凍したままのシイラに【1】の衣をつけます。
【3】バットに広げたパン粉に、【2】のシイラをつけ、手で押さえてください。
【4】フライパンに1㎝程度の油を入れ180℃に温めます。片面を3分揚げ、ひっくりかえしてフタをします。3分揚げてください。
【5】フタを取り外し、火を強めて30秒ほど揚げます。取り出して油を切ってください。
シイラの食べ方と購入方法
これまでは鮮度を保つ難しさから、地元での消費しかできなかったシイラですが、加工場の整備などによって、全国的な広がりを見せています。おいしい食べ方をチェックしましょう。
刺身
シイラは、筋肉質で脂質が少ない点が鮮度保持を難しくしていた要因です。近年は捕獲後すぐに活き締めにし、血を抜く処置がとられます。そうして運ばれた鮮度のよいシイラは、お刺身にも最高。保存技術の発展によって、食べられるようになった味です。
たたいたり、寿司などで食す場合も多く、高知県ではにんにくぬたや、酢みそをつけることもあるそうです。
切り身
切り身にすると赤身魚で、色は薄い魚です。旬は夏から秋。特に北日本では流通が少なく、主に関西、九州で食用魚とされます。通販での購入が便利ですよ。
かねなかや次兵衛 しいら 30g×20切 冷凍 骨取り
一口サイズにカットされ、バラ冷凍なので使いやすい切り身です。解凍せずに、そのまま塩焼き、フライなどにご利用ください。
フライ
フライはお子さんに人気の調理法です。あっさりしているので、タルタルソースもぜひ、ご一緒に用意して。
【ふるさと納税】マヒマヒ フライ10枚セット 冷凍
こちらはマヒマヒの名前で扱われているシイラ。衣付きなので、冷凍のまま揚げるだけの切り身です。お弁当やおかずにピッタリですよ。高知県香南市、ふるさと納税対象商品です。
加工品
シイラは魚肉練り製品の原料に用いられることも多く、干物やくさやなどでも食べられます。
神奈川県平塚市では燻製、沖縄県の国頭村では干物が作られています。ユニークなところでは、ペットフードとしてジャーキーに仕上げられたシイラもあるんですよ。
【ふるさと納税】干物 シイラ塩干し 2袋 350g入×2P
ご飯のお供の他、お酒のおつまみにも最適な、天日干しのシイラです。赤穂の天然塩、熊野の水を用いた三重県熊野市のふるさと納税対象商品です。
シイラ料理の注意点
温かい海域に泳ぐシイラは、体表に毒(腸炎ビブリオ菌や、表皮粘液毒)を持つといわれています。食べる際の注意点を確認します。
腸炎ビブリオ菌
魚介類の刺身などに増殖する腸炎ビブリオ菌は、水温15℃以上になると活発に活動します。ただし、真水では増殖せず、海水のような塩水の中で生息します。
新鮮な食材を用い、水道水で洗い流すことで予防ができます。
生食の際は注意
下ごしらえ用のまな板と、仕上げ時にカットするまな板は、できれば分けて用いることで予防になります。調理に使った器具はよく洗浄、消毒することによって二次感染を防ぎます。
また、人により食べた時に吐き気や、下痢などの症状を催す場合もあります。その場合は、速やかに食べるのを止めてください。
シイラの生態
成長に伴い頭が隆起してくる特徴を持つシイラのオスは、一度見たら忘れられないユニークな姿をしています。そしてまた、「虹色の魚」との異名も持ちます。どんな生態の魚なのでしょうか。
生息地
シイラは外洋性の回遊魚で、全世界の熱帯・温帯の海域に分布します。大きなものは体長2m、40㎏になることもあります。
群れを作って俊敏に泳ぎ、流木などの漂流物の影に集まる習性があります。音も恐れず、むしろ音源に集まってくる好奇心旺盛な魚です。
日本では雑魚として扱われることが多く、安価な価格で取引されますが、海外ではそうでもないんですよ。
食べる地域
シイラは地中海のマルタ島、コスタリカやアメリカなどでは高級魚として扱われます。「マヒマヒ」という名で呼ぶのはハワイですが、日本でもこの名前で流通するようになってきました。
日本近海にやってくるのは、春から夏にかけて。産卵のために集まり、高知県の手結や興津が水揚げの中心です。
色が変わる
「虹色の魚」とも呼ばれることもあるシイラ。これは、海から揚がった時に目まぐるしく色が変わることからつけられた名前です。
もともと、海で泳いでいるときは青みがかった銀色に見えますが、死にひんすると妖しく七色に変化することから名付けられました。背側が青で、腹側は緑から黄色のグラデーションが重なり、金色の斑点が特徴的。市場で「ピンクがかって見えた」、なんて目撃情報もあります。
シイラの不思議を食卓で味わう
シイラのおいしい食べ方の他、生態についても詳しくみてきました。夜空に輝く星座「かじき座」とは、じつはシイラを指したそうです。陸揚げされた時に黄金に輝いてみえるシイラの魅力は、食だけでなく様々な分野からも熱い視線を注がれます。神秘的な魚ですが、手軽に調理できるので味わってみてくださいね。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)