産地が北上している?温暖化について考えてみた
我が家も、ふるさと納税をやってみようか迷っているとき……。
「ふるさと納税」の返礼品をみていると、どうも産地が北上している気がしました。そこで、専門家にこの疑問を投げかけてみると……。
SDGsに詳しい専門家に直撃インタビュー
温暖化の問題について、持続可能な社会の実現に向けて社会に対して真の価値を生んでいきたいと考えている、株式会社シンカ代表取締役社長 CEO 町井 則雄さんに質問しました。
さくらんぼ佐藤錦の産地として有名だった山形県に加え、北海道余市も産地として名乗りを?
ふるさと納税のサイトを見ていたら、北海道の返礼品に「さくらんぼ佐藤錦」があって驚きました!
そうなんです。ここ数年、これまでさくらんぼ佐藤錦の産地として有名だった山形県に加え、北海道でも産地として名乗りを上げる自治体があるんですね。ほかにも、三重県の名産「伊勢海老」は28年前ごろから茨城県や千葉県でも採れるようになり、ついに、2021年の漁獲量1位は三重ではなく千葉になったというニュースまで。この原因の一つとして、地球の温暖化によって海水温が高くなり、伊勢海老にとっての適水温が北上しているからとも言われているよ。
温暖化の影響で、産地を北上させてしまっているだなんて……。名産品が採れなくなってしまったら大ピンチですよね。どうしたら良いのでしょう。今後、何か秘策とかあれば良いのですが……。
そうだね。そして、その先の未来のことも考えなければいけないんだ。例えば北海道から見ると、新名産として「さくらんぼ佐藤錦」が採れるようになったのはメリットとも言えるよね。実はSDGsでは、すでに変わってしまった気候や環境について「適応する必要性」も挙げられているんだ。つまり、今、その地域で名産品と言われる農作物なども将来的には気候変動で採れなくなる可能性があるということを各地域が気づいて、次の名産品になり得るものを探す努力が必要になってしまっているということなんだ。
なるほど……。温暖化の対策の一つとして、適応する力も付けることが大事とは考えたこともありませんでした。各地域は、今後のことを考えて、どうしたら良いのか取り組まないといけないのですね。
そうなんだ。今の名産品が今後作れなくなったらどうするか、農林水産省はもちろん、様々な可能性を行政も考え始めているんだ。マンゴーは宮崎県や沖縄県の名産品だったけど、最近は埼玉県でも収穫できるようになってきたし、山形県ではワイン用の良質なぶどうがつくりにくくなってきていたりしているけど、水分量がなくても育つ品種を研究したり、持続可能な農業に向けた農家の育成を行ったりもしているんだ。農作物に大きな被害をもたらす台風の大型化の問題など、変わりゆく気候に対応した町づくり、住み続けられる町づくりはSDGsの目標11に当てはまるんだ。