表面積はテニスコート一面分!「肺」の驚きの働きと、肺を健康に保つ生活ポイント【親子で人体を学ぶ】

からだに酸素を取り込み、不要で有害な二酸化炭素を体外に排出している肺。肺の基本的な役割・一日の中での働き・肺の健康を守るためのポイント等を見ていきましょう。

肺の基本情報│何がどう働いているの?

息を吸うときに膨らみ、吐くときには縮む肺。このとき、酸素をからだに取り入れ、二酸化炭素をからだの外に排出しています。肺の大切な役割を見ていきましょう。

肺とは

人間は酸素がなければ生きていけません。からだの中で酸素は、食事によって取られた栄養と結びついて、私たちが生きるためのエネルギーになります。

一方、からだの中でエネルギーが作られると二酸化炭素ができてしまいます。二酸化炭素は要らないばかりか、からだの中にあると有害なので、これをからだの外に排出することも肺の重要な役割。

つまり酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出することが肺の重要な役割です。

肺の基本情報│何がどう働いているの?
肺の基本情報│何がどう働いているの?

肺の位置と形│体のどこにある?

肺は、首とお腹の間、つまり胸の中にあります。詳しく言うと、肺は12本の肋骨と横隔膜に囲まれ、左右に別れています。左右の肺の間は、縦隔(じゅうかく)と呼ばれ、心臓や大動脈・大静脈、食道、気管支などがあります。

なお、心臓がからだのやや左のほうにあるため、左肺は右肺よりも少し小さくなっています。

肺の大きさ│驚くべき面積とは?

肺の中には肺胞(はいほう)と呼ばれる小さな袋(大きさは、0.1mm〜0.3mm程度)があり、ここで空気中の酸素を血液に取り込み、逆に血液から二酸化炭素を受け取っています。

肺胞の数は約3億個〜6億個と言われ、肺胞をすべて広げるとその広さは約70平方メートル、テニスコート1面分に相当するそうです。

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肺の役割は呼吸以外にもいろいろある!

からだに酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出する肺。その機能を詳しく見ていきましょう。酸素と二酸化炭素の交換のほかにも、いろいろな機能があります。

機能1:「酸素と二酸化炭素」交換のプロセス

鼻や口から取り込まれた空気は、気管に送られます。気管は左右の肺に向かって2つに分かれて(「気管支」と呼ばれます)肺の中に入り、さらに細かく分かれます(細気管支)。細かく分かれた先には、前述した小さな袋「肺胞」があります。

肺胞のまわりには毛細血管があり、肺胞に送り込まれてきた空気中の酸素と、からだの中から不要なものとして送られてきた毛細血管の中の二酸化炭素が交換されます。酸素と二酸化炭素の交換は「ガス交換」と呼ばれます。ガス交換で毛細血管の中に取り込まれた酸素は、動脈の流れに乗って全身に送られます。

機能2:「フィルタリング作用」吸い込んだものをクリーンに

大人は平均して1日に約2万リットルの空気を吸い込んでいます。こうした空気の中には、ほこりはもちろん、カビや菌、ウイルスなど、からだに有害なものが含まれている可能性があります。肺を含めた呼吸器にはこうした異物をからだの中に取り込まないようにする「フィルタリング作用」が備わっています。

例えば、気管や気管支の中には「線毛」があり、粘液で覆われています。異物はこの粘膜がキャッチし、線毛の動きによって気管や気管支の上のほう(口や鼻の方向)へ移動させます。咳や痰は、こうしたフィルタリング作業の結果と言えます。

機能3:「肺の免疫機能」病気を防ぐ壁

肺は気管支が細かく枝分かれした先にある肺胞は、ガス交換を行う必要があるため、線毛や粘膜はありません。その代わり、からだの中に入ってきた異物を攻撃する免疫機能があります。

肺胞には、白血球の一種である「肺胞マクロファージ」が存在しているのです。肺胞マクロファージは、気管や気管支のフィルタリング作用をすり抜けてきた菌やウイルスなどの異物をつかまえて無毒化します。

機能4:「発声」のための空気を供給

肺は、発声にも関わっています。声は、声帯が振動することで生まれますが、声帯を振動させているのは、肺から気管支や気管を通して送られた空気です。

肺は、声帯を振動させるための空気の供給源になっており、送り込む空気の量や速さを調整することで声の調整にもかかわっています。

肺の一日│日常生活での肺の働き

肺が一日のなかでどのような働きをしているのか、具体的な場面とともに見ていきましょう。

運動と呼吸│なぜ息が早くなる?

肺が取り込んだ酸素は、からだのなかでエネルギーを生み出すことに使われています。つまり、からだがエネルギーを必要とすると呼吸が早くなります。

代表的なものは運動です。運動すると、筋肉はエネルギーを作り出すために酸素を必要とします。酸素をたくさん取り込むために、息が早くなります。

ストレスと呼吸│ストレスでも息が早くなる

ストレスを感じたときも呼吸が早くなります。交感神経が活発になって、肺や心臓の動きを高め、ストレスの原因となった事態に対抗したり、そこから逃げる準備をするためです。

深呼吸│リラックスやストレスの軽減

疲れたり、気分を変えたいときに行う深呼吸。いつもの呼吸よりも、ゆっくりとたくさんの空気を吸い込むことで、肺に多くの空気を送り込むことができます。これは脳やからだに新鮮な酸素を供給することにつながり、脳やからだの疲労回復に役立ちます。また深呼吸によって副交感神経が優位になるため、リラックスやストレス軽減にもつながります。

肺の防御機能│咳やくしゃみの大切な役割

咳やくしゃみは、肺の大切な防御メカニズムです。肺につながる気管や気管支に、ほこり、菌、ウイルスなどの異物が侵入すると、これらを排除、つまりからだの外に出すために咳やくしゃみが起きます。

睡眠中の肺│安定した呼吸で深い睡眠をサポート

睡眠中も肺は酸素を取り込み、二酸化炭素を排出し続けています。睡眠中、深い睡眠状態のときは呼吸は安定しています。一方、REM睡眠と呼ばれる浅い睡眠状態のときは、呼吸も浅くなっています。

いびきは、睡眠中に空気の流れが悪くなり、喉や鼻が振動するために起こります。一時的に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群(SAS)になっていることもあるため、いびきがひどい場合は注意が必要です。

肺を守る│健康維持のためのポイント

呼吸を意識して、肺の機能を高めよう
呼吸を意識して、肺の機能を高めよう

からだが必要としている酸素を取り込み、不要な二酸化炭素を排出する肺。肺の健康を守るために、気をつけるべきポイントを考えてみましょう。

禁煙と肺健康│タバコの影響

あらためて言うまでもなく、タバコ(喫煙)は肺の健康にきわめて大きな悪影響を及ぼします。

タバコに含まれるタールやニコチンは、肺の中の肺胞を破壊してしまいます。また喫煙者の肺は、煙の成分が沈着し、黒くなっています。肺がんのリスクも高くなると言われています。

正しい呼吸法│健康にいい呼吸とは?

私たちは一生の間に数億回、呼吸しています。正しい呼吸を行うことは、健康の基本と言えます。

正しい呼吸とはつまり、肺に十分な空気を送り込むことで酸素を供給し、二酸化炭素を排出できる呼吸で、具体的にはゆっくりとした深い呼吸。そのためには「腹式呼吸」を意識することが重要です。

腹式呼吸は、お腹を膨らませることで肺にたくさんの空気を取り込みます。ゆっくりと鼻から空気を吸い込み、お腹を膨らませます。お腹をふくらませることで、肺の下のほうに空間ができ、肺が膨らみやすくなります。吐く時は、口からゆっくりと吐き、お腹をゆっくりと縮めていきます。

空気の質と肺│環境が与える影響

肺が取り込む空気の質は、肺の健康に大きな影響を与えます。肺には、前述したように外部の異物から守るための「フィルタリング作業」や免疫機能がありますが、もちろん、きれいな質の良い空気を取り込むことが大切です。

定期的な有酸素運動│肺の機能を向上

定期的な運動、特にウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を定期的に行うと、肺の機能は高まります。肺活量が増え、酸素を取り込む力が向上します。

呼吸を意識して、肺の機能を高めよう

からだに酸素を供給し、二酸化炭素を排出する肺。脳や全身の筋肉がエネルギーを生み出すうえで重要な役割を担っています。

肺の働きや機能は呼吸を意識することで向上させることができます。ゆっくりとした深い呼吸を意識し、できれば定期的に有酸素運動を行って、肺を健康に保ちましょう。タバコを吸っている人は、もちろん禁煙を。

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