「ゆり根」は超繊細な野菜。 下ごしらえや保存方法、「こうして食べると美味しい」おすすめレシピも紹介

お正月料理や茶碗蒸しなどに用いられる「ゆり根」。ホクホクとした食感にほんのり甘い独特な味わいが魅力の食材です。そんなゆり根ですが、「ゆり根ってそもそも何なの?」と疑問に思った事はありませんか? そこで本記事では、ゆり根とはどんな食材なのか、保存方法やおすすめレシピなどを紹介します。

そもそも「ゆり根」って何?

「ゆり根って何?」と聞かれて、何の根で下ごしらえ方法や、どんな料理に使うのか即答できる人は多くないのでは? そんな謎めいた食材であるゆり根は、栄養価も豊富でホクホクとした食感と優しい甘さが魅力の食材です。お正月料理や茶碗蒸しの具だけじゃない、ゆり根の魅力を紹介していきたいと思います。

ゆり根とは?

ゆり根とは、ユリ科の植物の球根。英語では「lily bulb」といいます。ユリ科の植物といっても、食用で栽培されたもの。一般的に私たちが料理に使うのはコオリユリやヤマユリの球根です。

ゆり根は白い花びらのような形をしていて、手でむくとポロっと鱗状のものが剥がれるのが特徴で、これをゆり根の鱗片といいます。

ゆり根の旬は?

ゆり根の旬は、10月~2月にかけて。お正月料理に多く使われるため、12月が最も市場に出回ります。

お節に使われる意味やいわれは?

ゆり根は、鱗片が層にのように重なり合っています。そのため「歳を重ねる」や「仲の良さ」、「子孫繁栄」の象徴として、お節に使われます。

ゆり根の主な産地は? 関西で多く消費されているってホント?

ゆり根の主な産地は北海道。全国の生産量の99.9%を北海道が占めているんです。そのほかでは、京料理でよく使われるため、一部京都府でも生産されています。しかし、私たちがスーパーなどで手にする、ゆり根のほとんどは北海道産です。

ゆり根には毒がある⁉︎

ゆり根には毒があるのでしょうか? 結論からいうと、ゆり根には毒はありません。

ユリ科の植物には毒性のあるものも存在するため、「ゆり根にも毒があるのでは?」と疑う人もいるようですが、前述した通り、ゆり根は食用に品種改良されたユリの球根です。そのため安心して食べることができます。

ゆり根に含まれる主な栄養素は?

ゆり根に多く含まれている主な栄養素は、むくみ防止などで知られるカリウム。血圧を下げたり、体内の余分なナトリウムを排出し、水分量を調節してくれる作用があります。また整腸作用のある食物繊維や、貧血防止や妊娠中に摂ると良い葉酸も含まれています。

またゆり根は「百合(びゃくごう)」として、古くから漢方にも使われる食品。漢方としての効能は、滋養競争、利尿作用、咳止めに利用され、また、イライラを鎮めたりと、精神を安定させる効果もあるとされています。

ゆり根はどうやって食べる? 下ごしらえ方法は?

ゆり根は丸ごと調理する場合もありますが、一般的には花びらのようにバラバラにした状態で調理してから食べます。ゆり根の下ごしらえ方法を一緒に見ていきましょう。

水で洗う

水を入れたボウルにゆり根を入れ、表面についているおがくずを洗い落とします。最後にもう一度、流水でサッと洗い流しましょう。

外側から1枚ずつ鱗片をはがす

洗ったゆり根は、丁寧に1枚ずつ鱗片をはがしていきましょう。はがしにくくなってきたら、根元を包丁でカットするとはがしやすくなります。

もう1度水で洗う

最後にもう1度ボウルに水を入れ、バラバラにしたゆり根を入れて洗います。ゆり根が茶色くなっている部分は、スプーンや包丁を使って取っておきましょう。

ゆり根を美味しくきれいに茹でるコツは?

ゆり根は茹で時間で食感が変わります。ゆり根の茹で時間、またゆり根の魅力である、真っ白に茹でるコツも見ていきましょう。

茹で時間は1~2分でOK

ゆり根は火が通りやすいため茹でる時間は1~2分でOK。茹ですぎると、食感が悪くなってしまいます。茶碗蒸しや炒め物など、加熱調理に使う場合は、サッと硬めに茹でるのがおすすめです。

酢を入れて茹でると白く仕上がる

真っ白なゆり根は、きれいで料理に映えます。ゆり根を白く仕上げるためのコツは、お湯に少量の酢を入れて、ゆり根を茹でることです。

傷みやすいゆり根の保存方法は?

ゆり根は水気にも乾燥にも弱いのが特徴。また落としたり、物が当たったりすると、その部分が変色することもある繊細な野菜です。そんな繊細なゆり根の保存方法は、冷蔵保存か冷凍保存がおすすめです。

冷蔵保存方法は?

丸ごとのゆり根は冷蔵保存がおすすめです。冷蔵保存で長持ちさせるポイントは、おがくずごと購入すること。おがくずと一緒に保存することで水気や衝撃からゆり根を守ることができます。

【保存方法】

おがくずごとビニール袋に入れて、しっかりと口を結んで冷蔵庫で保存します。おがくずがない場合は、キッチンペーパーや新聞紙に包んでからビニール袋に入れて保存することが可能です。しかしその場合は、ビニール袋内で結露することもあるため、5日に1回はキッチンペーパーや新聞紙を交換すると長持ちします。

【保存期間】

保存期間は約1か月間です。

冷凍保存は下処理をしてからがおすすめ

使いきれなかったゆり根は、茹でてから冷凍保存がおすすめです。

【冷凍保存方法】

1、丁寧に1枚づつゆり根の鱗片をめくり洗います。

2、鍋にたっぷりの湯を沸かし、1を入れて硬めに茹でます。

3、ザルにあげて、水気を切り、粗熱をとります。

4、使いやすい量に小分けしてラップに包みます。

5、フリーザーバッグに入れて冷凍保存

【保存期間・保存期間】

約1か月間の保存が可能です。また冷凍したゆり根は、凍ったまま加熱調理に使うことができます。

ゆり根のおすすめレシピ「ゆり根と明太子の卵とじ」

ゆり根の使ったおすすめレシピ「ゆり根と明太子の卵とじ」を紹介します。ご飯にのせて丼にしても美味しい一品です。

【材料(作りやすい量)】

・ゆり根… 1個
・卵… 2個
・明太子(ほぐし)… 20g
・出汁… 100ml
・みりん… 大さじ1
・酒… 大さじ1
・薄口醤油… 小さじ1〜2

【作り方】

1、ゆり根は1枚ずつはがし洗っておきます。

2、明太子は中身を取り出して、卵は割って溶いておきましょう。

3、鍋に出汁、みりん、酒、薄口醤油を入れ沸騰させます。

4、3にゆり根を入れて、2分ほど煮ます。

5、4に溶き卵を入れ、半熟になったら火を止めて明太子を入れ、器に盛り付けたら完成です。

繊細だけれど美味しく身体に良いゆり根

ゆり根は、そんなに身近な食材ではないかもしれません。茶碗蒸しやお正月料理に口にするぐらいという方も多いと思います。しかしゆり根には古くから漢方にも使われるくらい高い栄養価を含み、優しい甘味が魅力の野菜です。スーパーなどで美味しそうなゆり根を見つけたら、煮物や炒め物、天ぷらにして楽しんでみるのはいかがでしょう?

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構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)

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