タンパク質を分解する「ペプシン」とは? 胃の中でのすごい働きを知ろう【親子で人体を学ぶ】

「ペプシン」は、あまり聞き慣れない物質かもしれませんが、私たちの胃のなかで重要な働きをしています。この記事では、ペプシンについて解説していきます。また消化を助ける食生活のポイントや、ペプシンの働きが低下するとどのような影響があるのかについても説明していきます。

ペプシンの基本情報

まずは「ペプシン」とはなにか、体のどの部分で生成されるのか解説していきましょう。

ペプシンとは?

ペプシンとは、タンパク質分解酵素のひとつです。もともとはペプシノーゲンという物質ですが、胃液中の塩酸にふれると活性化してペプシンとなります。

なおタンパク質分解酵素にはペプシンのほかに、トリプシン、プラスミン、トロンビン、パパイン、コラゲナーゼなどがあります。

体のどの部分で生成されるのか

胃にタンパク質が入ってくると、胃壁からペプシノーゲンが分泌されます。このペプシノーゲンが胃液中の塩酸にふれると活性化してペプシンが生成されます。このように、ペプシンは胃で生成されるのです。

ペプシンの主な役割

ペプシンは、タンパク質を分解する役割があります。どのようにタンパク質を分解するのか、そのメカニズムを解説していきましょう。

タンパク質の分解メカニズム

ペプシンの役割は、タンパク質の分解です。どのようにタンパク質を分解しているのか解説していきましょう。

食べ物に含まれたタンパク質が胃に送られると、胃壁からペプシノーゲンが分泌されます。このペプシノーゲンが胃液中の塩酸にふれると活性化してペプシンが生成されます。

タンパク質は、多くのペプチド結合を持っています。ペプシンはペプチド結合を切断し、約10個~50個のアミノ酸が結合した「ポリペプチド」に分解します。

たんぱく質はペプシンによってポリペプチドに分解され、さらに膵臓から分泌されるトリプシンや、小腸でのジペプチターゼなどの酵素によって、最終的にアミノ酸に分解される。
たんぱく質はペプシンによってポリペプチドに分解され、さらに膵臓から分泌されるトリプシンや、小腸でのジペプチターゼなどの酵素によって、最終的にアミノ酸に分解される。

なぜペプシンは体にとって大切?

ペプシンはタンパク質を分解する役割がありますが、ペプシンの作用がうまく働かず分解できないと、小腸や大腸で未消化物が停滞してしまいます。そうすると未消化物が腐敗し、悪玉菌が増えたり、毒素が排出されたりして体に負担がかかってしまうことがあるのです。

このことから、ペプシンはほかの消化器官や体に負担をかけないためにも欠かせないものなのです。

食事とペプシン

ここではタンパク質を分解する酵素が多く含まれる食べ物や、消化を助ける食生活のポイントを解説していきます。

ペプシンの活動をサポートする食品

タンパク質を分解する酵素が多く含まれている食品

タンパク質を分解する酵素が多く含まれている食べ物には、玉ねぎ、納豆、りんご、イチジク、キウイフルーツ、パパイヤ、パイナップルなどが挙げられます。

これらの食べ物を取り入れるときには、加熱しないことがポイントです。

タンパク質を分解する酵素が多く含まれている食べ物は、熱に弱い性質があります。酵素はそもそもタンパク質であり、タンパク質は熱が加わると形が変形してしまって効果が失われてしまうのです。

よって加熱しないでそのまま食べるか、低温調理方法で食べるようにしましょう。

消化を助ける食生活のポイント

上手く消化するためには、健康な胃をつくることが大切です。健康的な胃をつくり、消化を促す食生活のポイントをご紹介します。

●よく噛んで食事をする

よく噛むと、唾液の分泌が促進されます。この唾液には、でんぷんを分解する「アミラーゼ」という酵素が含まれており、胃腸は食べ物をしっかり分解することができます。またたくさん噛むことで食べ物が細かくなり、体への分解や吸収がスムーズに行え、消化しやすくなります。

食事をするときには、一口30回程度噛むように心がけて消化を促しましょう。

●食物酵素を多く含む食べ物を摂取する

消化酵素を助け、消化活動をサポートするはたらきがある食物酵素を積極的に選んで食べましょう。食物酵素を多く含む食べ物には、次のようなものがあります。

野菜:レタス、キャベツ、大根、にんじん、セロリ、ほうれんそう
フルーツ:パパイヤ、アボカド、キウイ、バナナ、マンゴー
発酵食品:納豆、味噌、ぬか漬け、漬物、醤油
海藻類:わかめ、昆布

生野菜や果物を使ったスムージーなら、効率よく酵素を摂取できます。
生野菜や果物を使ったスムージーなら、効率よく酵素を摂取できます。

●温かい食べ物を食べる

食事のときには、なるべく冷たい飲み物や食べ物は避けて、温かい食べ物を摂るようにします。そうすることで体を温めることができます。またぬるめのお風呂に長時間浸かったり、適度な運動で血行をよくするなども効果的です。

●脂肪分が多い食べ物は控えめに

脂肪分が多い食べ物は消化しづらく、胃のなかに長く留まります。また消化酵素を分泌するために、膵臓に負担もかかります。そのため、脂肪分が多い食べ物は控えめにするようにしましょう。

なお脂肪分が多い食べ物は、バターや油類、マヨネーズ、脂の多い肉類、揚げ物などがあります。これらを摂りすぎないようにし、焼く、煮る、茹でるといった調理法を選びましょう。

ペプシンの不調とその影響

ペプシンの働きが低下すると、体にどのような影響があるのでしょうか。また、ペプシンの働きを正常に保つにはどうしたらよいかもご紹介していきます。

ペプシンの働きが低下するとどうなる?

ペプシンの働きが低下すると、タンパク質がうまく分解・消化できなくなってしまいます。そうすると、小腸や大腸で未消化物が留まり、そのまま腐ってしまう可能性もあるのです。

また食べ物がうまく消化されなければ、栄養素を吸収することができず、そのまま排泄されてしまいます。栄養素を吸収することができなければ、体の機能に支障をきたす可能性もあります。

ペプシンの働きを正常に保つためのアドバイス

タンパク質分解に関わる酵素は食べ物から摂取できます。タンパク質分解に関わる酵素に「プロテアーゼ」があります。このプロテアーゼを含む食べ物を摂取しましょう。

プロテアーゼを含む食べ物には、パイナップル、パパイヤ、メロン、キウイ、リンゴ、生姜、玉ねぎ、舞茸、麹を使った発酵食品などがあります。これらを積極的に食事に取り入れてみてください。

なおプロテアーゼもタンパク質からできているため、高い温度で加熱せず、生のままか低温調理で味わうようにしましょう。また、アレルギーにも気をつけてください。

そのほか、胃に負担をかけない生活習慣も大切です。以下のことに気をつけて生活しましょう。

・暴飲暴食をせず、「腹八分」を心がける
・アルコールの量は控えめにする
・刺激物も控えめにする
・禁煙する
・ストレスを溜めないよう、適度に発散する

タンパク質を分解してくれる「ペプシン」

ペプシンは、タンパク質分解酵素です。胃にタンパク質が入ってくると、胃壁からペプシノーゲンが分泌されます。ペプシノーゲンが胃液中の塩酸にふれると、活性化してペプシンが生成されます。脂肪を分解し、消化を助ける役割があるペプシンは、私たちの健康維持に重要な役割を担っているのです。

タンパク質分解に関わる酵素を含む食べ物を摂取するほか、健康的な消化を促す食生活を心がけ、胃に負担がかからない生活をするようにしましょう。

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