「カワハギ」の血抜き、皮はぎ、肝の処理はとっても簡単。自宅キッチンでできる下処理&レシピガイド

ザラザラとした固い皮を、手ではがして調理することから付けられた名前が「カワハギ」です。淡白で歯ごたえのあるその身は、フグにも匹敵するおいしさ。夏が旬とされますが、脂がのった秋冬もおいしいので、冬の白身魚としても人気があります。お家で食べる時のポイントをまとめました。

皮を剥いだり、肝をはずしたりする工程がご家庭では難しいかと思いがちですが、じつはとっても簡単です。え、これだけ? と思うくらいあっけなく完了するんですよ。しかも、カワハギは味が抜群。少しの手間で、これだけおいしい魚が食べられるなら、ファンが増えるのも納得です。ぜひカワハギ料理を取り入れてください。

カワハギをおいしく食べるレシピ

皮を剥がれ、ツルリとした見た目になったカワハギは、なんとなく頼りない気がするものですよね。スーパーの売り場で見かけることも多いので、見かけたらぜひ手に取ってみてください。

魚屋さんに剥いでもらうと手軽ですが、釣りなどで手に入れた場合はご自宅で皮を剥ぐことが必要です。簡単にできますから、ご参考にどうぞ。

ウマヅラハギや、ウスバハギなど、同じカワハギ科の魚がありますが、調理法はどれもカワハギと同様です。

血抜き

釣りなどで手に入れたカワハギは、必ず血抜きをしてください。これで味や日持ちに、大きな違いが出ます。

方法は、エラにナイフを一刺しするだけです。

目とヒレの間にある切れ目が、血抜きの跡。
目とヒレの間にある切れ目が、血抜きの跡。

ついでに、その場で肝をとる工程まで進めておけば、鮮度が高いまま保存ができるので、おすすめですよ。

皮を剥ぐ

カワハギの鱗は退化して小さいトゲとなり、皮と一体化しています。だから、皮がザラザラしていて堅いのです。

頭から頭頂部の皮に切り込みを入れ、あとは尾を持ちながら、皮を引っ張ることで剥ぐことができます。

可愛らしい小さな口ですが、中には頑丈な歯が生えているので、見てみて。
可愛らしい小さな口ですが、中には頑丈な歯が生えているので、見てみて。

皮の下には薄皮がありますが、これは慣れない人が取り除くのは難しく、身がボロボロになることも。薄皮は食べることもできますし、加熱調理ならはずさず、そのまま調理してもかまいません。

濃厚な珍味、肝

独特の旨味と苦みのある肝はアンコウと同じく、その大きさで値段が決まるといわれるほど。脂肪分を多く含み、こってりとした甘みがあります。

値は張りますが、スーパーなどでも身と一緒に売られていることも多いです。鍋、天ぷら、ムニエル、干物など、料理を選びませんから、ぜひ難しく考えずに食べてみてくださいね。

肝のはずし方

クリーム色をした肝は、見た目もわかりやすく、それほど難しくない作業だけで、取り外すことができます。

【1】カワハギの頭にある角の後ろから包丁を入れます。角のすぐ後ろに硬い部分があるので、そこは避けて包丁を入れると楽にできますよ。背骨に刃が当たるところまで、切れ目を入れてください。

角ははずしてあっても、触ると硬い部分がわかります。
角ははずしてあっても、触ると硬い部分がわかります。

【2】両手で背骨を折り取る要領で、頭と胴を引き離します。

背骨を折り取ると、肝が見えてきます。あとは、肝を傷つけないように、ハサミで切り分けながらはずすだけ。
背骨を折り取ると、肝が見えてきます。あとは、肝を傷つけないように、ハサミで切り分けながらはずすだけ。

【3】頭部位側に肝がついています。鮮度が落ちないうちに、素早く切り取っていきます。

手で支えながら繋がっている食道をたどり、丁寧にハサミで切り取ると分離できます。

肝を広げると、繋がる食道が見えてきます。ハサミでカットします。
肝を広げると、繋がる食道が見えてきます。ハサミでカットします。

【4】胃や腸などが癒着している部分は、指で優しくほぐしながら剥がします。

【5】しっかりと血や汚れを洗い流します。優しく扱い、崩れないように。水気を拭き取って、臭みをとります。

・ふたつの注意点

肝は非常に痛みやすい食材ですから、色や匂い、味に違和感を覚えたら食べないようにしてください。夏場は、特に注意が必要です。

また、カワハギには寄生虫のアニキサスがついていることがあります。体長2〜3cmほどありますから、目視でも見分けることができるもの。細くスライスするか、裏ごしすることでも安心して口にすることができます。

もしくは、60℃で1分の加熱をするか、-20で24時間以上冷凍することで、死滅させることも可能です。

肝のなめろう

肝としょうゆと合わせて「肝しょうゆ」に仕上げ、刺身につける食べ方は、カワハギならではの食べ方です。その他、ポン酢ともみじおろしで、「肝和え」にするのも人気の高い食べ方。また、「なめろう」も簡単に作れて、味わいがあります。作り方をみていきましょう。

・材料

カワハギの肝 50g
酒 大さじ1
しょうが 小さじ2
味噌 大さじ1/2

・作り方

【1】カワハギの肝は酒をかけて、臭みを抜いてください。

【2】鍋に水を入れ、肝を加えます。沸騰後、1分程度ボイルしてください。肝は、水から茹でるのがポイントです。

【3】お湯から引き上げて氷水にとり、冷やします。その後、取り出して水気を拭き取ってください。

【4】味噌とすりおろしたしょうが、肝を包丁で叩きながら混ぜてください。

カワハギの塩焼き、姿煮の作り方

カワハギは、しまった白身でクセがありません。塩焼き、煮つけの他、フライなど、一般的な調理でおいしく食べることができます。

塩焼き

さばいてあれば、あとは塩を振って焼くだけ。皮がないため、シンプルに焼くだけでおいしいのが、カワハギの良いところです。魚料理の初心者にも、おすすめできます。

・材料

カワハギ 1枚
塩 適量

・作り方

【1】皮を剥ぎ、内蔵を取り除いたカワハギの水気をキッチンペーパーで拭ってください。

【2】塩をお好みで振りかけて、魚焼きグリルで5~9分程度焼いてください。

煮つけ

皮がないので、味もよく染みます。甘めの味付けがおすすめ。

・材料

かわはぎ(小) 2匹
水 50cc
酒 25cc
しょうゆ 大さじ1と1/2
みりん 大さじ1/2
砂糖 大さじ1/2

昆布 5cm角

・作り方

【1】内蔵を取り出し、皮を剥いだカワハギを鍋に入れ、材料をすべて加えてください。

【2】落し蓋をして、中火で煮ます。5分程度煮たら火を止めて、10分程度冷まして味を染ませてください。

落し蓋をして、煮ます。
落し蓋をして、煮ます。

【3】もう一度、5分間煮た後、火を止めて冷まします。

・ポイント

煮つけた後の煮汁で、わかめなどを炊いてもおいしいですよ。

味がよくて、扱いもラクチン

皮がない姿で売られている事も多い点で、他の魚とは異彩を放つカワハギ。味がよく、扱いがラクチンというメリットもあります。皮付きでも取りはずしはごく簡単ですし、肝もあれば調理する腕が鳴りますね。ぜひおいしく召し上がってくださいね。

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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)

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