野山でよもぎを摘んでお餅に混ぜると、風味豊かで季節を感じられます。食用の草を混ぜたお餅は、長い間固くならない利点もあります。葉は乾燥、冷凍することで1年中使えますよ。手軽に作れる電子レンジ調理の方法など、詳しくご覧ください。
よもぎ餅の基本情報
身近な和菓子でもある、よもぎ餅について、まとめました。
よもぎ餅の起源
刈っても刈っても生えてくるよもぎは、特に早春に収穫すると香りが強く、葉も柔らかいため食用に向いています。この時期ならアクも強くありません。
女の子の初節句には、生命力あふれるよもぎにあやかり、元気に育つよう、願いが込められました。
昔は田植えなどの農作業時に、疲れた体を癒やすためにも、甘いあん入りのよもぎ餅が重宝されました。お祭りなどでは、仲間と一緒に食べる楽しみも。
その他に、米粉で作るお餅の場合はのびや粘りが足りないことから、草の繊維をつなぎとして利用したことも、起源のひとつだそうです。貴重な米粉を節約するための増量材でもあったんですね。
よもぎの健康効果
お餅に草を加えると、鉄分やカルシウムなどのミネラルの補給になるという、栄養面での役割も見逃せません。
香りの主成分であるシオネールは血行を促進し、体を温める効果もあります。また、脳の神経を沈静化させるリラックス効果のほか、穏やかな睡眠を促します。
濃い緑色はクロロフィルによるもので、体内からコレステロールを除きます。また、殺虫剤の使用がなかった頃は、腹の虫をとる効果も期待されたそうです。
よもぎについて
奈良県のよもぎだんご、岐阜県のぶんたこ餅、神奈川県の草の花だんご、埼玉県の草餅、群馬県の草だんご、など各地で草を加えたお餅やおだんごがあります。
よもぎの収穫
よもぎとは、日当たりの良いあぜ道や、空き地、土手などで見られる植物です。移植しても育つので、庭や畑などに植えると毎年安心して口にすることができます。
草丈は60〜100cm。葉は長さ6〜12cmで、羽状に深く裂けているのが特徴です。葉が生え始めの時期は、裏が白い繊毛に覆われていて、これはお灸に使用する”もぐさ”です。
キク科の植物にそっくりなものがありますが、判別するポイントは、よもぎ特有の香りです。これは、シネオールなどの精油成分によるものです。
乾燥して保存も
ひな節句の頃は、よもぎが成長していない地が多く、乾燥よもぎを利用することも多いです。これは、秋に成長したよもぎの先だけを摘み、茹でたものをカラカラになるまで干しておくことで作られます。
干す時は必ず陰干しで。日なたに出すと色が悪くなる場合があります。夏よりも秋の、晴天が続く頃に摘むとよく乾燥し、保存性からおすすめです。乾燥葉は、冷凍保存も可能です。
草餅に使われる植物
よもぎ餅とよく似たお餅として、草餅がありますが、これに使われる植物は「オヤマボクチ」が挙げられます。
原野や林縁などに自生し、草丈は60〜120cm。葉は楕円形で長さが15〜35cm程度で、裏側に白い毛が生えています。火起こしの際の火口(ほぐち)にも用いられた植物です。
自家製よもぎ餅の作り方
よもぎの収穫は、3〜5月(寒冷地では4〜6月)なら地際から摘むことができますが、梅雨の後になると丈が高くなり、固くなるため、先端部分だけを収穫します。
生のよもぎの下処理
摘んだよもぎの扱いかたをご覧ください。
【1】よもぎの葉を2日ほど天日干しにします。固い茎の部分は取り除きます。
【2】沸騰したお湯で1〜2分茹で、一旦茹でこぼします。この時、小さじ1の塩、または重曹を加えると、色がよくなります。茹で水がアクで黒ずみますが、問題はありません。
【3】よもぎを水で洗い、もう一度沸騰したお湯で1分茹でてください。
【4】しっかりと絞ると、おおよそ25gくらいの重さになります。
電子レンジで作る よもぎだんご
白玉粉に上新粉を加えて作るおだんごのレシピです。
よもぎの繊維には、でんぷん同士がくっついて固くなるのを防ぐ役割があります。よもぎが多いと歯切れや弾力が高まり、滑らかさや歯ざわりは低くなるので、調節してください。
・材料
(5個分)
白玉粉 70g
上新粉 30g
砂糖 小さじ1と1/2
ぬるま湯(40℃くらい) 100ml
茹でたよもぎ 25g (市販の乾燥よもぎの場合は6gを目安に)
もちとり用の粉 適量
あんこ 適量
・作り方
【1】下処理をすませたよもぎを、フードプロセッサーか、包丁で細かく刻みます。ぬるま湯を加えて混ぜてください。
【2】ボウルに白玉粉、上新粉、【1】のよもぎ液を加えてよくこねます。砂糖を加え、耳たぶくらいのかたさになるまでこねてください。
【3】耐熱容器に生地を入れ、電子レンジ600wで1分加熱します。一旦取り出して、ゴムベラでよく混ぜます。
【4】もう一度600wで1分加熱します。再びよく混ぜ、均一になるまで混ぜてください。
【5】餅とり粉をつけ、おだんご状に丸めてください。あんこを添えていただきます。
切り餅で作るよもぎ餅
お正月の残りの切り餅があったら、よもぎ餅にアレンジしてはいかがですか?
・材料
切り餅 100g
熱湯 適量
茹でたよもぎ 25g
あんこ 100g
片栗粉 適量
・作り方
【1】下処理をすませたよもぎを、フードプロセッサーか、包丁で細かく刻みます。
【2】耐熱容器に餅を入れ、浸かるくらいの熱湯を加えます。電子レンジで1分加熱してください。
【3】容器の水を捨て、よもぎを加えます。ゴムベラでよく混ぜ合わせてください。
【4】餅とり用の粉をつけ、あんこを包みます。
よもぎの保存方法
茹でたよもぎの葉は、20〜30gくらいに分けて、おだんご状に丸めます。そのままフリーザーバックに入れて冷凍庫へ。使う時は自然解凍してください。
1年程度使うことができます。
・餅をつく際に加える方法
冷凍保存したよもぎの葉は自然解凍し、蒸したもち米に混ぜてついてください。
よもぎ餅の人気商品
オンラインで購入できる、よもぎ餅をご紹介します。
よもぎ餅
餅米(国産)とよもぎ、食塩だけを使った杵つきの丸餅です。オーブントースターで焼いてから、あんこやきな粉を添えてお召し上がりください。
よもぎ餅 草餅 8個入 つぶあん
冷凍で届くよもぎ餅です。凍ったまま、フライパンで焼いて食べると絶品です。
特有の香りを楽しむよもぎ餅
春の野原を揉み込んだような、よもぎ餅の作り方をみてきました。温かくなった戸外で摘む楽しみから始まり、お餅に仕上がっていく工程は、お子さんにはたまらない喜びだと思います。特有の青い香りも、春の味覚として味わえるといいですね。
こちらの記事もおすすめ
構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)