ずっと勉強が嫌いだった
僕が子どもたちに「勉強を楽しんでほしい」と思うのは、何より、僕自身が、本当に勉強嫌いだったからです。よく、東大生の親は勉強しろって言ったことがないと聞きますが、僕は真逆。「勉強しろ」としか言われたことがありません(笑)。
3兄弟の末っ子で、家の目の前の公園でサッカーばっかりやっていました。とにかく勉強したくない。中学受験のために入った塾もテスト中に逃げてしまったことがあるくらいイヤイヤ行っていて、実は一度やめてるんです。その後、5年から復塾しましたが、ずっと勉強が嫌いなままで、第一志望には落ちてしまいました。だから、勉強をやらない子の気持ちが本当に分かるんです。
ふせん学習のメリットは?
シール遊びの楽しさを感じてポジティブに勉強できる
子どもはシールを貼ったり剥がしたりするのが好きですよね。ふせんを自由に貼ったり剥がしたりする感覚は、オリジナルのシールを作るような楽しさを子どもに感じさせてくれます。シール遊びのようなポジティブな気持ちで勉強に向かってくれたら、まずはOKです。
うちの小学1年の娘も、ふせんは楽しく使っています。娘はポケモンが好きなので、「今日は、ポケモンのゲームに出てきた“獲得”っていう漢字を書けるようになったらテレビ見ていいよ」など、ふせんにメッセージを書いて貼っておくんです。すると、“獲得”という漢字をがんばって書いてみようか、となる。楽しく取り組むきっかけ作りに、ふせんメッセージはおすすめです。
清水先生おすすめ!ふせん学習の具体例
①漢字や知識を覚えたいなら「暗記ドア」
暗記ドアは、大抵みんな楽しんでやってくれるやり方です。ルールは簡単。
暗記ドアのルール
①覚えたいものについて、ふせんの表に問題を書き、裏に答えを書く。
②リビングのドアや冷蔵庫、トイレなど、家族の目につくところのドアに貼る。
③問題が解けたらドアを開けられる!
④3回連続で正解できたらふせんを剥がす。
実は④が大事です。あちこちのドアにふせんをずっと貼りっぱなしにしておくと、「覚えよう!」という気持ちが薄れてしまいます。3回連続で正解できるようになったら、カードを剥がすようにすると学習意欲を維持できるでしょう。
漢字を10回繰り返し書いて覚える、という方法もありますが、子どもは書いているうちに、途中から思考停止してしまい、単に上の漢字を下に写すだけになりがちです。たくさん書いたのに結局覚えていない、なんてことになりかねません。暗記ドアを使うことで、10回も書かずに覚えられます。
②本や教科書を読んで学力アップを図るなら「書き込み読書メモ」
本や教科書を読むとき、考えたり覚えたりしながら読むことで、理解力や思考力が養われます。「読み流すだけ」では学力はなかなか向上しません。
そこで使えるのが、書き込み読書メモです。
書き込み読書メモのやり方
①「あとで何を復習しよう」と考えながら読む。
②復習したいところにふせんを貼る。
③表紙裏に「次にその本や教科書を読むときに気をつけたいこと」を書いて貼っておく。
ふせんには、自分の考えや疑問を書いておくのがおすすめ。本や教科書に直接書いてもOKですが、ふせんに書いて貼ることで、本を汚さずに済むだけでなく、重要なポイントを目立たせることができます。後から見返したとき、必要な情報をすぐに見つけやすくなるのも特長です。
③作文や読書感想文で困ったら「アイデア出しふせん」
作文や読書感想文は、文の型を知り、その型に対応したふせんを使って文章を書いていくだけで、相手に伝わる文章を書くことができます。
書き出し方法のやり方
おすすめの型の一つがこちらです。
①意見「私はこう思います」
②理由「最も面白かったのはこの場面です。なぜなら…」
③経験「主人公と似た経験がありますが、私はこうできませんでした。だから、こう生きたいです」
④結論「だから私はこう思います」
このように、まずは意見をいくつか書き出し(①)、なぜそう思ったのか(②)、どんな経験をしたのか(③)などをふせんに書いていきます。その中で、一番伝えたいことを軸に文章を組み立てていくと良いでしょう。
作文のあらすじを書く時も、いくつかの場面を大きめのふせんに書き出して整理し、組み合わせてまとめます。原稿用紙に書き始めてから修正するのは大変ですが、ふせんなら途中で間違えても、簡単に直せますよね。
ふせんを使ってアイデアを整理することで、作文を書くハードルが下がり、スムーズに書き進められるようになります。
ふせん学習を楽しくやるためには?
子どもがルールを作ること
大切なのは、子どもにルールを決めさせてあげることです。
・どの内容を覚えるときにどのふせんを使うか
・ノートにメモを追加する際にはどのサイズが良いか
・最初に覚えたいことは青で書き、覚えられなかったことは黄色に書き直す
など、ふせんを自分で選ぶ楽しさをぜひ味わわせてあげてください。
文房具を選ぶとき、子どもたちは最初、かわいい、かっこいい、流行っているもの、隣の人が使っているものなどを基準に選びますが、最終的には機能性を考えるようになります。
実際に使ってみてうまくいかなかった場合も、「ほら、言ったでしょ」と責めるのではなく、「次はどの大きさのふせんがいいと思う?」と自分で選ぶ経験を積ませてあげましょう。親がサポートしながら、子どもが自分でルールメイキングできるように階段を作って導いてあげてください。
子どもにとって大切なのは、効率よりも納得感
「こうすればうまくいく」と、つい言ってしまうことはありませんか?
子どもにとって重要なのは、効率よりも、納得感なんです。例えば、納得感があり効率的な方法なら、子どもは喜んで取り組みますが、効率的でも納得感がないと子どもはやる気を失い、逆に効率的でなくても納得感があると子どもは頑張ります。親からすると、「そのやり方は効率的じゃない」と思っても、子どもからすると「YouTuberの○○さんがやってるから」とやりたくなってしまうんですよね(笑)。それなら、まずやってみて、うまくいかないタイミングで声かけをしていくというのがベストだと僕は思います。
「勉強をやりたくない」と言える子だっていい子
僕は、「勉強がやりたい」という子も、「どうしても勉強したくない」という子、どちらも同じくらいいい子だと思っているんです。勉強しなさいと言われてもやらない子も、エネルギーがあってすごくいいじゃないですか。
だから、うちは子どもを育てるときに、口ごたえといたずらをさせようと妻と話したんです。どちらも頭を使いますから。そのおかげで、小1の娘は妻を言い負かすほどになってきたので、1歳の息子にはちょっとほどほどにするかも知れません(笑)。
子どもの気持ちに寄り添うアイテムとして、ぜひふせんを活用してみてください。 これまで大変だと感じていた勉強の時間が楽しいひとときになるのではないでしょうか。
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こちらの書籍も参考に
プラスティー代表の清水先生が、子どもが自分から勉強するようになる、「ふせん」を使った勉強法を紹介。なんと、「やってみた子どもたちの96.5%が効果を実感!」というエビデンスもあり。※259人の小中高生のうち250人が「今後も勉強に取り入れたい」と回答(プラスティー教育研究所調べ)。「暗記ドア」「書き込み読書メモ」「ミスらんノート」「時間管理マトリクス」「おうち英語図鑑」「記述分解」などなど9種類の勉強のやり方を、カラー写真入りでわかりやすく解説しています。
お話を伺ったのは
取材・文/黒澤真紀