ほうとうの麺には塩が入らないことから、形成されるグルテンが弱く、煮込むことによってだしが染み込みやすい特徴があります。
冬は熱々を口にすることで、身体全体が温まりますし、夏は汗が出るので、かえって涼しくなるとの評判です。年間を通して食べられるだけでなく、モチモチの平たい麺は消化しやすいため、小さいお子さんや、疲れた時の食事としてもおすすめできます。
お家で簡単に作る方法や、具材に使う野菜など、詳しくみていきましょう。
山梨の伝統料理ほうとう
素朴で優しい味がするほうとうには、伝統的な暮らしを営んできた長い歴史と、暮らしの温かみが感じられます。
山梨県の伝統料理
その昔、ほうとうは囲炉裏にかけた鍋で、グツグツと煮込みながら作る料理でした。家族でその鍋を囲み、その日の出来事を語らいながら食事を楽しんだそうです。
翌日の朝にも、温め直して麦飯の上にのせて食べると、体が温まり、仕事への活力となりました。
いりこだしに、自家製の麺と季節の野菜を豊富に入れて煮込むのが、定番の作り方。とくに、柔らかく煮溶けたかぼちゃが麺にからみつき、味わい深いおいしさです。
お手伝いの定番
稲作が盛んだった頃は、田んぼや畑での仕事を終え、帰宅してから生地を打つのが日常でした。といっても、ほうとうの麺は小麦粉と水分を混ぜるだけで出来上がるもの。子どもが小学校5、6年になると、学校から帰宅後は小麦粉をのして、夕食の準備をするのが日課だった、というご家庭もあります。
ほうとうの麺は、うどんとは違って塩が入らないことから「ねかし」の時間がなくても食べられるんです。あとは煮るだけになっているので、帰りが遅くなった親御さんが、大いに助かったんだとか。
ほうとうのレシピ
お家で作るほうとうのレシピをご覧ください。まずは、煮込みスープの作り方です。
基本の材料
(2人分)
大根 160g
にんじん 30g
ごぼう 30g
かぼちゃ 50g
しいたけ 2枚
油揚げ 10g
【煮汁】
煮干しのだし汁 800ml
味噌 50g
長ネギ 適量
作り方
【1】大根は2×3cm、厚み3mmの拍子木切りにカットします。にんじん、ごぼう、かぼちゃは一口大にカットし、しいたけは薄切り、油揚げは1×3cmを目安ににカットします。
【2】だし汁を温め沸騰させてください。ごぼう、大根、にんじんを入れてください。さらに、ほうとう、かぼちゃを入れ、最後にしいたけ、油揚げを入れたら7分間加熱します。
とろみが強く、焦げやすいので注意。水分が足りない場合は、50ml程度のお湯を加えて調節してください。
【3】最後に味噌を溶き入れ、小口切りにした長ネギを加えます。
味噌としょうゆの煮汁
しょうゆを使い、あっさりとした煮汁で仕上げる場合は、こちらをご参考にしてください。
煮干しだし 800ml
薄口しょうゆ 小さじ1/2
みりん 小さじ1
味噌 30g
伝統的な作り方
打ち粉がついたままの生麺を、煮汁で炊くのが伝統の作り方です。これが、とろみの強いスープに仕上がる秘訣。一晩ねかせると、より具材が煮溶けておいしくなるのだとか。
「少し煮込みすぎくらいの麺がおいしい」という声もありますよ。
ほうとうの具材について
かぼちゃがたくさん入ると「かぼちゃほうとう」、きのこがたくさんなら「きのこほうとう」と呼ばれるようですが、他にはどんな野菜が使われるのでしょうか?
定番の具材
ほうとうにはかぼちゃが入ることが多く、里芋やきのこも相性抜群です。その他には、季節の野菜に応じて変化するので、お好みのお野菜を足してください。
かぼちゃは煮溶けやすいよう、あえて小さめに切るのがポイント。
祭りや祝い事の際には、甘く煮た「小豆ほうとう」が特別な食事として食べられていました。
おすすめの具材
豚肉や鶏肉など、お好きな具材を加えれば、より滋味深く味わうことができます。現地のお店では鹿肉や、猪肉の他、海鮮やカレー味に仕立てたメニューも豊富です。
また、白味噌仕立てにすると、まるで生麺入り和風シチューの仕上がりに。
ほうとう麺の作り方と入手先
粉を混ぜる鉢は「ごん鉢」と呼ばれ、陶器製、または木製のものがどこのご家庭でもありました。
専用鉢がなくても、お家で麺を作ることは簡単です。お子さんでも作りやすい生地なので、ぜひ一緒に作ってみてください。市販品にはない、優しい味の麺が味わえます。
中力粉を使用したほうとう麺レシピ
・材料
(2人分)
中力粉 200g
ぬるま湯 80〜90g
・こね方
【1】ボウルに粉を入れ、ぬるま湯を加えて指先で混ぜてください。
ボソボソのフレーク状になります。
【2】底や、側面に散らばった粉をまとめながら力を入れ、約400回を目安にこねます。
耳たぶくらいの柔らかさにこねあげてください。
【3】10分程こねると、次第になめらかになり、ボール状にまとまります。
濡れ布巾をかけ、30分ほどねかせてください。
・のし方
【1】板に打ち粉をまいて、生地をのせ、のし棒で伸ばします。
「生地を5回のして、90度回す」これを10〜15回繰り返してください。
生地の上下左右を入れ替えながら、2mmの厚さになるまで伸ばします。
・切り方
ほうとうは、「うどんよりも短く幅広に」を、意識して切るのがポイント。
のし棒に生地を巻いたまま、包丁を横に引いて切れ目を入れてください。
そうして割れた生地を広げて、3cm幅にカットします。
通販で手に入るほうとうの紹介
生麺と、スープのセットが通販で手に入ります。お好きな具材を一緒に煮込んで、お召し上がりください。
麺の賞味期限は製造日より50日間。
栄養バランスに優れたほうとう
山梨県の伝統料理、ほうとうについて詳しくみてきました。
たっぷりと野菜が入ることから栄養バランスも優れ、作り方も驚くほど簡単です。お子さんと一緒に作ると、楽しい時間になりますよ。胃腸に疲れを感じた時に作っても元気が出ます。温かみのある味を、ご家族で味わってくださいね。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)