成績優秀な子の習い事は3つ以下!「習い事の詰め込みすぎ」が、学力低下の原因になるのはなぜか【30億件の学習データからRISUが検証】

『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法』の著者で、タブレット教材 RISU Japan 代表・今木智隆さんの執筆によるシリーズ記事。今回は「習い事の詰め込みすぎ」の弊害についてです。

子どもの習い事といえば、水泳にピアノ、英会話に塾など毎日のように通っていませんか。さらには塾になると、電車で通う、または車で送迎など、親御さんの予定を調整している家庭もあるようです。特に、子どもが自ら望んでいない習い事を親の希望で詰め込んでしまうケースも多く、その負担が学力や健康面に悪影響を与えることが懸念されます。

RISUが30億件の学習データを分析した結果、過度な習い事は学力向上の妨げになることが明らかになっています。今回は習い事と日々の学習に焦点を当て、どのようにバランスを取るべきなのか、具体的にアドバイスしていきます。

現代の子どもたちは忙しすぎる

子どもたちと面談する機会があるRISUでは、ストレスや睡眠不足から顔色が悪い子どももしばしば目にします。その際、子どもたちの口からは「忙しい」「毎日疲れている」など子どもらしからぬ言葉を聞くケースがあります。

昨今の小学生は忙しいといわれています。学研教育総合研究所(2020年度調べ)によると、75.2%(=小学生の4人中3人)が何らかの習い事に通っているとのデータがあります。さらに1つや2つではなく、複数の習い事をしているケースも珍しくありません。子どもたちは朝から学校のカリキュラム内で勉強し、その後塾や習い事に向かうため、到着した時点ではすでに夕方、心身ともに疲労している状態です。

そのような状態だと脳自体が疲労状態にあり、学力向上のために通っている場合、学習の妨げになっているケースも少なくありません。

さらに習い事が増えている背景には、価値観が多様化している現代社会にあります。一昔前までは、子どもの習い事といえば、水泳・ピアノ・習字・そろばん・サッカー・野球などが一般的でしたが、現代ではプログラミングや化学実験、さらにはYouTuber向けの動画制作スクールなど、多岐に渡りさまざまな習い事があります。

子どもの習い事は極力減らしたほうが良い!

「習い事を減らす?」と驚く親御さんも多いでしょう。子どもの将来のことを考え、英会話はできないよりできたほうがよい、プログラミングは将来の仕事にも役立ちそう、ピアノはやらせておきたいなど、さまざまな考えや思いにより、習い事をさせている親御さんもいらっしゃると思います。

ですが、RISUの30億件の学習データ分析からは、習い事の多さと学力の関連性が示されており、成績が優秀な子どもたちは、3つ以上の習い事をしていないという実情があります。

習い事を減らすべき理由 

子どもの脳は発達途上にあり、過度な負荷をかけると脳が疲労しやすくなります。この疲労が蓄積すると、集中力が低下し、学習意欲を損なう原因となります。さらに、疲れた脳で学習を続けると、全体的なパフォーマンスが低下し、学校での勉強や他の活動にも悪影響が及ぶ可能性があります。

つまり、習い事の詰め込みすぎによって、脳が疲労し、その結果としてパフォーマンスが下がるという問題が生じるのです。

脳の疲労には、適度な「休憩」が必須

夕飯の時間がとれないハードスケジュールの子どもも

子どもが学習で最大限の効果を得るためには、適切な休憩が不可欠とRISUの学習データ分析からも明らかになっています。具体的にどのように良いのか解説していきましょう。

学習効果を高める「脳の休憩」

脳が学んだことを定着させるためには、集中して学ぶ時間の後に、必ず休息を取ることが必要です。

休憩を取ることで、脳は情報を整理し、長期記憶に変換する作業を行います。時間をかければかけるほど良いというわけではなく、脳の仕組みから考える効果的な学習を支える重要な要素の一つが「休憩」です。

ストレスを軽減する「脳の休憩」

脳には危険察知機能が備わっており、これが過度に働くとストレスや疲労が蓄積します。脳がストレスを感じている状態で無理に学習を続けると、学習内容が頭に入らないだけでなく、さらに疲労が増し、学習効率が著しく低下します。適度な休憩を挟むことで、脳のストレスを軽減し、次の学習に向けてリフレッシュさせることが重要です。

このように休憩を適切に取り入れることで、集中力を維持するための「リズム」作りがポイントです。長い時間取り組めることは悪い事ではないですが、脳的には「休憩」をうまく取り入れることで、学習における集中力を維持しやすくなります

脳は短いスパンで集中力が続くため、長時間の連続学習は逆効果です。RISUタブレットでも採用しているように、学習と休憩のリズムを作ることで、集中力が持続し、学習効果を最大限に引き出すことができます。

▼脳危険察知機能について詳しくはこちら

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習い事は週に1つ、多くても2つがおすすめ

以上のように習い事の数と脳の疲労には密接な関係があり、特に体力づくりを目的とした習い事についても、その数やバランスが重要です。

過度な負荷がかかると、学力向上に必要な集中力や学習意欲が低下するリスクがあります。ですから、運動系の習い事を取り入れる際も、家庭での簡単な運動などと組み合わせ、無理のない範囲で行うことが効果的です。

次は、体力づくりを目的とした運動系の習い事を取り入れる場合の習い事と学習の関係性を、体力作りの側面で解説します。

習い事を通じた体力づくりと学習のバランス

日々の学習には体力が欠かせませんが、特に受験を控えたお子さんにとって、体力づくりは一層重要です。受験勉強を頑張りすぎた結果、当日に体調を崩してしまっては努力が台無しになってしまいます。

そのため、体力づくりを目的として、運動系の習い事を取り入れる方も多いでしょう。しかし、その効果を最大限に引き出すには、運動と学習のバランスに配ることが大切です。

以下のポイントを考慮して、効果的な習い事の選択と家庭でのサポートを行いましょう。

体力作りと学習効率

学力を支えているのは、体力といっても過言ではないでしょう。勉強時間ももちろん重要ですが、身体をしっかり動かし、体力をつけることで集中力が持続し、学習効率も向上します。特に子どもは成長期にあり、体力が学力の基盤を築く重要な役割を果たします。

例えば、水泳は全身運動であり体力や持久力の向上に、体操は柔軟性や全身のバランスなどに役立ちます。お子さんにあう習い事をみつけてあげられるとよいですね。

運動系の習い事はオーバーロードに注意

運動をすることで脳への血流が増加し、認知機能や記憶力が向上することが確認されています。特に理数系の学習においては、複雑な問題を解くための思考力が求められますが、適度な運動を取り入れることで脳が活性化し、その思考力が高まります。

しかし、運動系の習い事を詰め込みすぎると、逆に肉体的・精神的な疲労が蓄積され、学習効率が低下する可能性があります。運動系の習い事も、適切な負荷とバランスを考慮して選択することが重要です。

運動系の習い事も総量を考えて

体力づくりは家庭でできる

習い事という選択肢もありますが、家庭での運動習慣でも十分体力作り可能です。例えばお子さんの都合に合わせて、毎日時間を決め親子で一緒に体を動かしてみてはいかがでしょうか。体力作りだけでなく、コミュニケーションも深められます。週末のジョギングや散歩、簡単なスポーツなどを通じて、親子で楽しみながら体力をつけ、学習へのモチベーションを維持し、学習意欲を高める良い機会となります。

小学校に入ると、子ども同士で遊ぶ時間、習い事や塾などで忙しいという理由で親子で楽しむ時間が少なくなります。さらに親御さん自身もリモートワークなどで運動の機会が減っている方も多いのではないでしょうか。

これをきっかけに家族での運動習慣を取り入れ、学習の効果も高め、親子でパフォーマンスの向上に役立てましょう。

【まとめ】習い事は量とバランスを考えて

習い事や学習に対する過度な負担が、子どもの脳や体にどのような影響を与えるかを考えることは、親御さんとしての重要な責任です。今回の記事では、RISUのデータ分析に基づく学習効率の観点から「習い事の数の見直し」「適度な休憩」「運動習慣」を取り入れることの大切さについて解説しました。

特に現代の子どもたちは、学習や習い事に追われがちですが、それが逆に学力向上の妨げになるケースも少なくありません。習い事を減らし、休息や体力づくりに時間を割くことで、子どもたちが本来のポテンシャルを発揮できる環境を整えましょう。

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記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。ユーザー行動調査・デジタルマーケティングのbeBitにて国内コンサルティング統括責任者を経験後、2014年、RISU Japan株式会社を設立。小学生の算数のタブレット学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムを考案。国内はもちろん、シリコンバレーのスクール等からも算数やAI指導のオファーが殺到している。HugKumでの過去の記事はこちら≪

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『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法』

文響社より2023年7月6日刊行

構成/HugKum編集部 

 

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