障害のあるアーティストたちの才能を称える場に! ヘラルボニー主催の国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2025」の開催が決定!

去年初開催で、話題となった「HERALBONY Art Prize 」が2025年の開催決定を発表!大手企業とのコラボやギャラリー契約など障害のあるアーティストの方にとって大きなチャンスとなるアワード。代表である松田崇弥氏、文登氏が登壇し、ヘラルボニー起業のきっかけになった自閉症の兄との思い出や去年の受賞エピソードを語りました。

2025年の「HERALBONY Art Prize 」が開催決定!

都内で開かれた2025年の「HERALBONY Art Prize 2025 」の開催決定の発表会の様子。審査員の黒澤浩美氏(中央)、ヘラボニーのCo-CEOの松田崇弥氏(左)と文登氏(右)。

「限界はない。障壁を越え、創造性を解き放て!」をテーマに掲げ 、2回目の「HERALBONY Art Prize 」となる2025年の「HERALBONY Art Prize 2025 Presented by 東京建物|Brillia」の開催決定が11月13日、都内で発表されました。

国内外から文化・芸術分野の専門家が審査員に!

「HERALBONY Art Prize 2025 」の審査員の紹介の様子。

金沢 21 世紀美術館チーフ・キュレーターの黒澤浩美氏をはじめ、東京藝術大学長の日比野克彦氏、海外からは、「Creativity Explored」アート・パートナーシップ担当ディレクターのHarriet Salmon (ハリエット・サルモン)氏、EUWARD アーカイブおよびアトリエ・アウグスティヌム(アウグスティヌム財団)のキュレーター兼ディレクターの Klaus Mecherlein(クラウス・メッヘライン) を審査員に迎え、国内外の文化・芸術分野の専門家の視点から異彩を放つ作家を新たに見出します。

グランプリには賞金300万円が贈られ、企業賞受賞者は協賛企業のサービスやプロダクトへの採用機会も。応募期間は2024年11月13日から12月30日まで。

国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 」とは

「HERALBONY Art Prize 2025 」の開催の発表会でヘラルボニーの創設するきっかけになった自閉症の兄(写真中央)との思い出を語る松田崇弥生氏(左)。

株式会社ヘラルボニーは、障害のある方がひとりの作家としてその才能が評価され、さらなる活躍の道を切り開いていけるようにとの思いを込め、国際アートアワード「HERALBONY Art Prize」を創設。2024年が第一回目の開催でした。

国籍や年齢制限ははなし! 世界中の障害のある表現者を対象として、1月31日「異彩(イサイ)の日」から3月15日の期間、世界28の国と地域・924名のアーティストから総数1,973点の作品が集まりました。

「HERALBONY Art Prize 2024 Exhibition」は 2024 年 9月 22 日(日)に 43 日間の会期を終えて盛況裡に閉幕し、会期中の来場者数は累計 1 万人に達しました。

「HERALBONY Art Prize 2024」のグランプリ作品

「HERALBONY Art Prize 2024」のグランプリ作品「ヒョウカ」。満月の夜の珊瑚の産卵をテーマに、切り広げた米袋に満点の星空や宇宙、満月などのモチーフが緻密に描かれています。

前回のグランプリに輝いたのは、仙台市在住の浅野春香氏の作品「ヒョウカ」。浅野氏は20歳で統合失調症を発症後、入退院を繰り返しながら闘病を続け、29歳の時に本格的に絵を描き始めたとのこと。

受賞作品である「ヒョウカ」は「評価されたい」という作家の純粋な感情から制作されました。母親の胎内にいた頃の情景や、珊瑚の研究者である父親のことなど、作家にとって大切な存在である両親からインスピレーションを受けているとのことです。

企業賞でアーティストとして自立への道の後押し

「JAL 賞」を受賞した、水上詩楽氏の作品「タイトル不明」は JAL 全路線の機内紙コップに起用されました。

また企業賞の一つの「JAL 賞」を受賞した、水上詩楽氏の作品「タイトル不明」は JAL 全路線の機内紙コップに起用され、11 月より一部路線のビジネスクラスアメニティに起用、空の旅を彩りました。

企業賞は、「HERALBONY Art Prize 」の協賛企業が複数社が選出する賞です。受賞作品は、その企業のサービス・プロダクト・事業のいずれかに採用される可能性があり、アーティストとしての自立の道を開く素晴らしい機会となります。

黒澤氏の語る福祉とアート「アールブリュット」について

2024年度の審査の経験や「アールブリュット」について語る審査員の一人の黒澤氏。

ヘラルボニーが支援する障害のある人が表現する作品はフランス語で「アールブリュット(生きの芸術)」とも呼ばれています。

正規の芸術教育を受けていない人による、技巧や流行に囚われない自由で無垢な表現を讃えて、1945年にフランス人画家のジャン・デュビュッフェが創り出した言葉です。

黒澤氏は、2024年度の作品の審査経験を経て、これまでにない多様性に満ちた作品に出会うことで、なぜこれまでこれほど素晴らしい「アールブリュット」の作品群が歴史に残らなかったのかと疑問に思うほどだったそうです。

一つ一つの作品を丁寧に審査

また、これまで多くの人の目に触れられる機会のなかった作品が社会に出るチャンスである責任を重く受けつつ、作家の勇気に感動し、障害があるかないかではなく、一人のアーティストとして真剣に向き合って、送られてきた作品には全て丁寧に目を通している。ぜひ、多くの方に応募してもらいたいと、熱く語りました。

松田崇弥氏、文登氏のアワードへの想い

「HERALBONY Art Prize 2025 」の開催の発表会でアワードについて語る松田崇弥氏(左)と文登氏(右)。

文登氏は、ヘラルボニーのCo-CEOとして、芸術面のサポートとともに、アーティストの経済的な自立を目指し、キュレーターとの出会いの場として、ギャラリーとの契約など「出口のあるアワード」を目指していると話していたのが印象的でした。

また、去年のセレモニーでの興味深いエピソードも。厳かな雰囲気のセレモニー会場で、崇弥氏がスピーチを始めようとしたら、受賞者が壇上に上がり「そろそろ終わりです!」とその場を締めてしまったそう。エピソードを聞き、報道陣の集まる発表会もほっこりした雰囲気に。

崇弥氏は、「そんな空気が読めないところも才能であり、見方を変えれば面白い個性と感じられる、社会の価値観を変えていくアワードを目指したい」と話していました。

「HERALBONY Art Prize 2025 」の展覧会は2025年5月から

2025年もどんな受賞作品が集まるか楽しみな「HERALBONY Art Prize 2025」。展覧会の開催は、2025年5月31日(土)〜2025年6月14日(土)に予定されています。2024年は子どもが楽しめる企画として、キッズアートクイズラリーや小学生向けアートクルーズも行っていました。

また、グランプリ作品は、2025 年秋冬に東京、ヘラルボニー本社のある岩手、そしてフランス・パリの3都市にて特別に展示される予定。

来年の展示会を楽しみにしてくださいね!

展覧会概要

会期:2025/5/31(土)〜2025/6/14(土)
会場:三井住友銀行東館 1F アース・ガーデン(東京都千代田区丸の内 1-3-2)
主催:株式会社ヘラルボニー

株式会社ヘラルボニー

ヘラルボニーは「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、障害のある作家の描く 2,000 点以上のアートデータのライセンスを管理し、さまざまなビジネスへ展開。支援ではなく対等なビジネスパートナーとして、作家の意思を尊重しながらプロジェクトを進行し、正当なロイヤリティを支払う仕組みを構築している。

>>>コーポレートサイトはこちらから
>>>オンラインストアはこちらから

 「HERALBONY Art Prize 2025 」についてはこちらから

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