【6年生からの中学受験】まだ間に合う? 算数攻略は苦手な「単元」を見極める、無学年フローチャートが鍵!

『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一の子ども30人を生み出した究極の勉強法』の著者で、タブレット教材 RISU Japan 代表・今木智隆さんの執筆によるシリーズ記事。今回は、小6から中学受験に間に合わせる「算数の苦手単元」の見極め・克服法です。

中学受験の勉強を6年生から始めると、遅すぎるんじゃないかなどと不安になる保護者の声をよく耳にします。しかも、前まではそれほど算数の成績は悪くなかったのに、高学年になると算数の点数がイマイチ…。本当に今から間に合うの?と悩んでしまうのも無理はありません。

しかし、算数は適切な方法で学習を続ければ、短期間でも成績を伸ばせる可能性が十分あります。この記事では、算数の苦手を克服するための具体的なステップや、応用問題への取り組み方などについてお話します。

6年生からの中学受験!算数が苦手でも間に合うのか

最近では中学受験のために早くから通塾する子どもも多く、6年生からの中学受験スタートに不安を感じる保護者も少なくありません。なかでも算数は、配点が高く設定されている学校もあり、合否に大きく影響する教科といわれています。そのため、算数が苦手な場合は特に焦りを感じる方が多いでしょう。

しかし、6年生であっても決して間に合わないわけではありません。算数は積み上げ型の科目であるため、適切な勉強法を続けることで短期間でも成績の向上が見込めます

とくにポイントとなるのが「基礎固め」です。算数の基礎概念をしっかり理解した上で、苦手な単元を一つずつ克服していくことが求められます。入試までの時間が短いからこそ、限られた時間を有効に使い、合格に必要な力を焦らず確実に身につけることが重要です。

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算数克服法「短期間で効果を上げる3つのステップ」

中学受験まで時間が限られる6年生でも、算数の苦手を効率よく克服する方法があります。短期間で最大限成果が出せるよう、次で紹介する3つのステップを活用してみてください。

苦手な単元の特定
算数検定などの活用

まずは苦手な単元を特定しましょう。学年で振り返らず、実力テストや模擬試験などを活用し、間違えた問題を分析して弱点を見つけます。

その際に、「算数検定」の活用もおすすめです。算数検定を受けると、試験後に個別成績票が発行され、小問ごとに成績が表示されます。どの単元の問題を間違えたのか一目で分かるため、苦手分野の把握にとても役立ちます。

算数検定を受ける場合は、お子さんの年齢に合った級を受検します。6年生であれば6級が目安です。お子さんだけで苦手分野を見極めるのが難しい場合もあるため、保護者の方も一緒に間違えた問題の分析をして、どこでつまずいているのかを見極めていくとよいですね。

苦手な単元は大胆に戻って復習

苦手な単元が判明した後は、弱点克服のための勉強に入ります。ここで重要なのは、思い切って戻る復習です。

例えば、小数や分数を苦手とするお子さんは多いですが、その大半は「位」についてしっかり理解できていないことに原因があります。位の理解が不十分だと、小数・分数の基本的な計算はもちろん、文章題や円周率を使った図形問題など広範囲にわたって、できない問題が増えていきます。

しかし、小数の理解が足りないからといって、小数の練習問題をたくさんこなしても、根本的な解決にはなりません。小数を正しく理解するには、まず算数の基礎である「位」について学ぶ低学年の内容に戻って、しっかり復習する必要があります。

学年を超えて戻ることを嫌がるお子さんもいるかと思います。学年を意識して遡ったり、少しずつ戻るだけでは「どこから分からないのか」が見えにくくなり、混乱することもあります。

少し試してみよう!など声掛けを工夫し、気軽に取り組ませるとよいでしょう。意外なことに、基本に立ち返ってしっかり理解すると、その後の難しい単元も驚くほどスムーズに進むことがあります。大胆に戻って復習することは、遠回りに見えて実は一番の近道なのです。

効率的な復習を行う

算数の復習を効果的に進めるには、教科書や学年にとらわれず、「単元」を意識して取り組むことがポイントです。

学校の授業では、比例・反比例について学んだ後、立体の体積について学ぶなど、単元のつながりがないケースが多くあり、つまずきを引き起こす一因になっています。

一方、算数は単元同士の連続性が非常に重要な科目です。立体図形が苦手な場合は、関連する平面図形の知識に戻る、割り算が難しいと感じる場合は、基礎となる九九に戻るなど、単元のつながりを意識して復習を進めると、理解が深まりやすくなります。

次に示したフローチャートを参考にして、苦手な単元の復習にぜひ取り組んでみてください。

RISUが奨励する、学年の枠にとらわれない「単元」の整理図。つながりのある単元が左(低学年)から右(高学年)へと積み上げられていく。ある単元のつまずきは、同系統の単元の基礎へと(右から左へと)戻って確認していくとよい

ここで注意していただきたいのが、総合的な問題を中心とした復習です。

総復習として、塾の授業や学校で使うドリルなどにもたびたび登場しますが、総復習は要する時間に対して成績アップ効果が少ない場合があります。

総復習を重ねることで得意と苦手がはっきりすることはありますが、それだけでは苦手克服とはなりません。苦手な単元をピンポイントで復習し、単元の関連性を意識した学習に時間を割くほうが、効率的な方法だといえます。

中学受験のための学習戦略「基礎から応用へ」

苦手な単元の基礎固めができたら、次は応用問題へステップアップしましょう。ここでは、多くのお子さんが苦手意識を持つ文章題の取り組み方についてや、応用問題でつまずいた時の対応について解説します。

また、受験勉強はモチベーションの維持も大切。モチベーションアップに効果的な脳の仕組みを利用した働きかけについてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

応用力が問われる文章題への取り組み方

文章題は入試で大きな配点を占め、苦手意識を持つお子さんが多い分野です。その原因は、問題文を正確に読み取れていないことにあります。焦りやプレッシャーから、じっくりと問題文を読むことができず、結果として問題内容を誤解してしまうケースが少なくありません。

そこで、文章題対策として有効なのが「音読」です。自宅で勉強する時は、問題文を大きな声で音読し、内容を正確に理解する練習をしましょう。試験中であれば、重要な箇所に線を引いたり、頭の中で繰り返し黙読したりするのも効果的です。

こうしたアプローチをRISUの指導に取り入れた結果、90%のお子さんが2か月以内に文章題の得点力が向上したという実績があります。

応用問題ができないときは基礎に戻る

応用問題は、基礎知識がしっかりと身についているからこそ解けるものです。応用力が十分に発揮できない場合、基礎がまだ不十分である可能性があります。特に、算数のような積み上げ型科目では、基本がしっかりしていないと次のレベルへ進むのが難しいという特徴があります。そのため、むやみに応用問題を解き続けても、理解不足が解消されることは少ないでしょう。

応用問題で苦戦する場合は、焦らずに基礎に戻り、理解不足を丁寧に埋めていく学習が大切です。基礎と応用を行き来しながら応用力を養っていきましょう。

失敗から学び、成功体験を積み重ねる

受験勉強中は、思うような結果が出なかったり周りと比べてしまったりと、落ち込むことがあるかもしれません。しかし、問題がまったく解けずテスト結果が目標に届かなくても、「できなかった経験」も成長する上ではとても大切です。できなかったことができるようになったと脳に記憶させることで、「自分は成長できる」というモチベーションに変わります。

例えば、1か月前に解けなかった図形の問題が今日は解けた!といった「成功体験」を積み重ねていきましょう。保護者の方は、「前はできなかったけど、今はできるようになったね」という時間軸を意識した声掛けをすると、脳科学的なアプローチができるのでおすすめです。

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【まとめ】苦手な「単元」の見極めは、小6からでも間に合う

6年生から受験準備を始めると、「もう遅いのでは?」と不安を抱く方も多いでしょう。しかし、限られた時間を有効に使い、効果的な勉強法を実践すれば、十分に合格を目指せます。特に算数は、基礎をしっかり固めることで、苦手分野も克服できる教科です。

まずは、苦手な単元を見極め、必要に応じて大幅に戻った内容を復習することが大切です。そして、「できなかったことができるようになった!」という小さな成功体験を積み重ねていくと、脳が「自分は成長できる」と認識し、モチベーションが上がります。

保護者の方も、「今はこれができるようになったね」と前向きな声掛けを意識し、お子さんの自信を支えていきましょう。

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記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。ユーザー行動調査・デジタルマーケティングのbeBitにて国内コンサルティング統括責任者を経験後、2014年、RISU Japan株式会社を設立。小学生の算数のタブレット学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムを考案。国内はもちろん、シリコンバレーのスクール等からも算数やAI指導のオファーが殺到している。HugKumでの過去の記事はこちら≪

〈タブレット教材「RISU算数」とは〉

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構成/HugKum編集部 

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