週1で始めましょう!親子で「味覚リセット」のすすめ【人気幼児食のお弁当「子どもの食卓」に聞く“笑顔ごはん”のヒント2】

一日限定100食が、あっという間に完売。「子どもの食卓」が販売する幼児向けのお弁当は、完全無添加、旬の食材を中心に、可能な限り調味料を使わずに仕上げるおいしさがママたちに大人気です。このお弁当のメニュー監修を行ううすいはなこさんに、親子でできる、味覚トレーニングスキルのヒントを教えていただきました。

まず、調味料に頼らない「置き換え」テクニックを

最近、「スイーツ依存症」といわれるような、強い味にひかれる大人が増えています。スイーツ依存になると、甘いものばかり食べてしまうので、そのうちに「甘さ」が感じられなくなってしまうというのです。これは問題ですよね。

薄味で素材そのものの「おいしさ」を味わいましょう

「味わい」とは、一回一回、新しい味と出会う喜びです。子どもの舌には、大人にはない「繊細さ」があります。素材そのものがもついくつもの味の複雑さがわかるんですね。でも、せっかく素材の味があるのに、あえて調味料で消してしまうと、子どもの舌が持つ繊細さも鈍ってしまうのです。素材そのものの「おいしさ」が味わえないのは、子どものさまざまな「味の体験」の機会を失ってしまうことになります。そこで、薄味の入り口として、かんたんなテクニックをお伝えしましょう。それが調味料の「置き換え」です。

たとえば、甘みをつけるとき、いちばん多く登場するのが砂糖だと思います。でも、上白糖には常習性があるんです。そこで、砂糖を使うならちゃんとサトウキビから作られた洗双糖や、てんさい糖を使ってみましょう。天然素材のメープルシロップや米飴などもおすすめです。いわゆる「低GI(食後の血糖値の上昇を穏やかにする)食品」と呼ばれるものですね。素材の味が生きた、やさしい甘みが出せますよ。

知ってますか?本当の「子どもの味覚」の育て方【人気幼児食のお弁当「子どもの食卓」に聞く“笑顔ごはん”のヒント1】
「子どもの食卓」は、完全無添加、こだわり抜いた旬の食材とできる限り調味料を使わずに仕上げた幼児食のお弁当を作っています。一日100食限定のお...

積極的に取り入れたい煮干しや、かつお節、昆布などの乾物

また、万能に使えるのが「乾物」です。煮干しやかつお節、昆布、干しエビ……。うま味や塩味、ほんのり甘みも引き出せます。たとえば、野菜を蒸すときに、お鍋にこのような乾物を加えるだけで、グンと味わいが増すのです。

塩分は、味噌やしょうゆなどの発酵食品を活用しましょう。もちろん、下ごしらえなどに「どうしても塩が使いたい!」というときは塩を使っていいのです。ただ、味付けに使うのなら、天然醸造で長期熟成されたしょうゆや味噌を使いましょう。消化吸収しやすく、身体への負担もかかりません。また、うま味が高いので使う量が減ります。

また、調理法は「蒸す」「焼く」「ゆでる」ほうが、素材の味を引き出しやすいんです。蒸すといっても、お鍋にごく少量の水とお野菜をいれてふたをするのでじゅうぶん。炒め物は、どうしても調味料の量が増えてしまうんですね。

「一週間に一度」を続けていると味覚に変化が表れます

今まで「おいしい」と食べていたものが「濃い味」だったことに気づくはず

こんなふうに、まずは調味料だけでも意識していくと、ふだんどれだけ調味料に頼っているかを実感できるものです。でも、忙しい中、これを毎日続けるのはとても大変です。ですから、慣れないうちは「一週間に一度」がんばってみましょう。これだけでも「いつもと違う」「薄いけど、なんだかおいしい」と感じられるはずです。

「子どもの食卓」のスタッフたちは、お弁当の販売日はお昼ごはんのまかないがこのお弁当になるります。そうすると、だんだん味覚がリセットされてきて、それまで「おいしい」と食べていたものが濃い味に感じられてくるといいます。すると、普段の食材選びや調味料の使い方も、変わってくるんですね。いい食材であればあるほど、その味は強く出ます。ですから、自然栽培や旬の素材は、それだけでおいしいのです。

調味料を控えて、いい食材を選んだシンプル調理。これを一週間に一度でも、家族で続けてみてください。そして、素材「そのもの」のおいしさを味わってみてください。だんだんと、大人の味覚も変化してくることが実感できます。子どもと、たくさんの味を体験する「楽しさ」を共有できたらいいですね。

子どもの食卓

無添加で旬の素材を活かした幼児食のお弁当を提供している。利用者の強い要望に応えて、保育園や幼稚園の給食の監修も手がけている。無添加のため、時節柄、現在はお弁当の提供を一時休止して、冷凍食品を開発中。取り扱い店舗はFBとインスタグラムで案内。20食以上注文すれば都内23区内ならば配達してくれる。

 

お話をうかがったのは…

うすいはなこさん 空間デザイナー、博物館の企画設計として勤務。その後日本料理店で8年間修業したのち、独立。日本の食文化を次世代に残すことの大切さを感じ、現在は「子どもの食卓」のお弁当監修のほか、自宅で料理教室を開催。当たり前の和食や子どもの食の教室では、毎月100人を超える受講者が学ぶ。高校生、中学生、3歳の子どものママ。

取材・構成/三宅智佳

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