コンゴ民主共和国ってどんな国?
アフリカ大陸にある「コンゴ民主共和国」。最近のニュースで、その国名を耳にしたこともあるのではないでしょうか。
コンゴ民主共和国は、隣接するコンゴ共和国とともにかつては一つの国でした。しかし、コンゴ民主共和国はベルギーに、コンゴ共和国はフランスに支配され、現在は別の国となりました。
そんなコンゴ民主共和国は、どんな国なのでしょうか? 順に見ていきましょう。
コンゴ民主共和国基本情報
まずは、コンゴ民主共和国の場所や人口、歴史などの基本情報をご紹介しましょう。
国名
コンゴ民主共和国
首都
キンシャサ
場所
コンゴ民主共和国があるのは、アフリカの中央部。北は中央アフリカ、北東は南スーダン、東はウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、南はザンビア、西にアンゴラと、コンゴ共和国とに接しています。
日本との時差
8時間
日本がコンゴ共和国より8時間進んでいます。
面積
234万5000㎢
日本の面積は約37万8000㎢ですから、コンゴ民主共和国の面積は日本の約6倍になります。
エリア
首都キンシャサ特別州と、それ以外の25の州があります。
人口
9901万人
日本の人口は約1億2400万人ですから、コンゴ民主共和国の人口は日本の人口の8割弱です。
言語・公用語
フランス語(公用語)、リンガラ語、スワヒリ語、チルバ語、キコンゴ語等
通貨
コンゴフラン
1コンゴ・フラン=0.05円(2024年12月13日時点)
宗教
キリスト教(80%)、イスラム教(10%)、その他伝統宗教(10%)
歴史
コンゴ民主共和国は、1908年にベルギー領となり、独立する1960年までの50年以上にわたりその状態が続きました。第二次世界大戦で、アジアやアフリカの民族運動が高まり、1960年にアフリカ諸国とともに一斉独立を果たしました。
しかし、1965年にはモブツ将軍によるクーデターが勃発し、1965年にはモブツ政権が成立。1971年には「ザイール共和国」という国名に変更となりました。
その後、1996年から1997年に第一次コンゴ内戦が発生。1997年には再び国名が「コンゴ民主共和国」に戻ったのです。しかし、1998年には第二次コンゴ内戦が起こり、大統領の暗殺事件が起きるなど、不安定な状況が続きました。
コンゴ民主共和国はもともと、隣接するコンゴ共和国と一緒にひとつの国でした。しかし、コンゴ民主共和国はベルギーに、コンゴ共和国はフランスに支配され、現在は別の国となりました。
コンゴ民主共和国の国旗は、青地に、黄色と赤の斜め帯が入って、左上には黄色の星が描かれたデザイン。青は平和や希望、黄色は天然資源、赤は国家の統一で流された人々の血、星は民族と国家の統合を表しています。
天気・気候
コンゴ民主共和国には赤道が走っていて、熱帯雨林気候気候です。コンゴ盆地には、世界で2番目に広いと言われる熱帯雨林が広がり、年間2500㎜もの降水量があります。
コンゴ民主共和国の治安・住みやすさ
コンゴ民主共和国の治安はどうでしょうか。
治安は危険
コンゴ民主共和国の治安は、全土にわたり危険。外務省「海外安全ホームページ」によると、コンゴ民主共和国では、「渡航を止めてください」という危険が最も高いレベル4が発令されている地域があり、それ以外は全土で「不要不急の渡航を中止する」のレベル2が発令されています。
とくに注意したいのは、レベル4が出ている地域。コンゴ民主共和国以外の他国軍が侵入したり、難民が流入したりして、治安悪化が懸念されています。さらに、反政府武装勢力による地元住民の虐殺や誘拐等が起きている報告があるため、ただちに退避するよう外務省では呼びかけています。
またレベル4以外の地域でも、ストリートチルドレンによるひったくり、「クルナ」と呼ばれる不良暴力集団による殺人、強盗、恐喝、武装グループによる強盗などが起きています。地元の軍人や警察官がグルになっていることも珍しくありません。警察官を装った人物が近づいて、金品を要求するといった事例も起きており、常に安全面には気を抜けません。
住みやすさも「不安・危険」
コンゴ民主共和国では、広大な国土の全土で治安に不安があることから、安心して生活できる国とは言えません。また全土でインフラがあまり整っていません。
さらに、コンゴ民主共和国などのアフリカ諸国ではマラリアの危険性も心配です。コンゴ民主共和国を流れるコンゴ川の豊富な水があるため、乾季であっても蚊が多く、それによってマラリアなどの感染症が広がりやすいのです。
2024年12月には、マラリア検査に陽性となる原因不明の病気が広がっていて、WHO(世界保健機関)は調査を続けています。
コンゴ民主共和国の見どころ・観光
コンゴ民主共和国には、どんな観光地や見どころがあるでしょうか?
キンシャサ
キンシャサは、コンゴ民主共和国の首都。人口が1,500万人弱の、アメリカでとくに著しい成長を見せている都市のひとつです。
コンゴ川の下流に位置しており、コンゴ川の向こうにはコンゴ共和国の首都ブラザヴィルがあります。2つの国の首都が隣接しているのは、ここだけと言われています。
ボノボ保護区
ボノボとは、チンパンジーとよく似た大型類人猿の一種で、ヒト科チンパンジー属に分類され、人に最も近い生き物のひとつと言われています。
そんなボノボの数は減少しており、現在は保護区が設けられているのです。コンゴ民主共和国のボノボ保護区では、自由に生活するボノボの姿を見ることができます。
ゾンゴ滝
熱帯雨林の中にある絶壁から流れ落ちるのが、ゾンゴ滝。コンゴ川の支流の細くなった渓流部にある滝です。熱帯雨林の緑と、水が流れ落ちる音が癒しをもたらしてくれるスポットです。
コンゴ民主共和国の特徴・有名なもの
コンゴ民主共和国で有名なものは、ほかに何があるでしょうか。
コンゴ共和国との違い
「コンゴ」という国があっても、「コンゴ」には2つの国があることを知っている人は少ないかもしれません。
コンゴ民主共和国とコンゴ共和国は、それぞれ別の国です。もともと、15世紀まではコンゴ王国という同じ国だったのですが、コンゴ民主共和国はベルギーの植民地に、コンゴ共和国はフランスの植民地になり、それぞれで独立して別の国となった経緯があります。
つまり、コンゴ民主共和国とコンゴ共和国は、もとは同じ1つの国だったけれど、植民地時代から別の国となっているのです。
アフリカ・ミュージックへ影響をもたらした地
コンゴ民主共和国は音楽大国であり、アフリカミュージックに大きな影響をもたらした場所。例えば、首都キンシャサでは「リンガラ・ミュージック」が生まれましたが、これはコンゴの伝統音楽とルンバが融合したもので、世界中で親しまれています。
そのほか、アフリカの伝統民族舞踊「リ・ンゴマ」などもよく知られています。
2024年に原因不明の謎の病気が拡大
2024年にはコンゴ民主共和国でインフルエンザ症状にも似た謎の病気が拡大。12月中旬時点で100名以上の死者が出ているとみられ、WHO(世界保健機関)は調査を行い、原因究明を急いでいます。
WHOは、感染者の一部がマラリアの検査に対して陽性を示したことを明らかにしましたが、複数の病気が関係している可能性もあるとして調査が続けられています。(2024年12月現在)
日本から遠く離れたコンゴにも注目
「コンゴ」という名前を聞いても、いまいちピンとこない方がきっと多いはず。ですが、アフリカには「コンゴ民主共和国」と「コンゴ共和国」という2つの国があることを知り、もとは1つの国であったことなど、知れば知るほど「なるほど!」と思うことがあるに違いありません。日本から遠いアフリカですが、コンゴにも目を向けてみてはいかがですか?
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文・構成/HugKum編集部