江戸時代の面影を色濃く残す土地で食べる蕎麦は格別です。そのうえ、ねぎを箸の代わりにして食べるというユニークな体験は忘れられない思い出になることでしょう。ねぎそばは、「ねぎを箸にして食べるなんて面白い!」という口コミが広がり、観光名物として定着したともいわれています。お家の中での楽しみが欲しい冬の季節におすすめの食事について、詳しくみていきましょう。
ねぎそばの基本情報
江戸時代から続く宿場町、大内宿の名物料理として有名な、ねぎそばについて詳しくご説明します。
ねぎそばとは
福島県の「ねぎそば」は、特に大内宿(おおうちじゅく)で提供される独特の蕎麦料理です。一本の長ネギを箸代わりに使い、食べ進めながら時折ネギ自体もかじるという、ユニークなスタイルが特徴。
この食べ方は、江戸時代から続く宿場町の風情と相まって、多くの観光客に親しまれています。
そのスタイルとは逆に、蕎麦自体はシンプルな仕立てです。鰹節や大根おろしなどをのせた、温かいつゆで楽しむ一品です。
なぜ、ねぎを使うのか
ねぎそばの起源については諸説ありますが、一説によれば、会津地方の祝いの席や、将軍への献上品として提供される蕎麦において、「切る」という行為が縁起の悪いものとされ、ネギを切らずにそのまま使ったのが始まりとされています。
特に初代会津藩主の保科正之(ほしな・まさゆき)は、無類の蕎麦好きとして知られていました。少年期を信州高遠藩で過ごした縁から、各地に蕎麦文化を広めたお殿様として伝えられています。
ちなみに、ねぎには殺菌作用や風邪予防に良い成分(アリシン)が含まれており、寒い季節に体を温める効果が期待できます。ねぎをそのまま食べることで、栄養を無駄なく摂取できる健康面での利点もあります。
ねぎそばの食べ方
それでは、その独特な食べ方を念のため、詳しく記します。
【蕎麦をすくう】長ネギを箸代わりにして、蕎麦をすくいます。この時、ネギの断面が蕎麦に触れることで、自然な風味付けになります。

【蕎麦を食べる】ネギで蕎麦を口に運びます。
【ネギをかじる】蕎麦を食べながら、薬味としてネギを味わいます。
大内宿のねぎそば文化
大内宿は、江戸時代の面影を今に伝える建物が立ち並ぶ歴史的な町並みで、家族連れでの旅行先としても最適です。

「三澤屋」や「松本屋」など、ねぎそばを提供するお店が複数あり、本場の味を楽しめます。茅葺き屋根の建物や囲炉裏のある店内で味わう食事は、特に子育て世代にとって、子供たちに日本の伝統文化を体験させるいい機会となります。
家庭でのねぎそばの作り方
ご家庭でも手軽にねぎそばを再現できます。以下に簡単なレシピをご紹介します。
ねぎそば
このスタイルで食べることで、家族みんなで楽しい食事の時間を過ごせますよ。
・材料
(2人分)
蕎麦(乾麺) 2人前
長ネギ 2本(箸代わりに使用)
【つゆ】
水 500ml
醤油 大さじ4
みりん 大さじ4
粒状和風だし 大さじ1/2
・ネギの準備
長ネギは洗って根を切り落とし、白い部分をそのまま使用します。
・作り方
【1】つゆを作ります。
鍋に水、醤油、みりん、粒状和風だしを入れて火にかけ、ひと煮立ちさせます。
つゆは市販のめんつゆを使うと、手軽に作ることができます。
【2】麺を茹でます。パッケージの指示に従って蕎麦を茹で、湯切りします。
【3】器に茹でた蕎麦を盛り、つゆを注ぎます。
箸代わりの長ネギを添えれば完成です。
アレンジレシピ
ネギの辛みはお子さんにとって刺激が強いかもしれません。そこで、ご家庭にあるさまざまな野菜から代用してみると、新しい発見と楽しみが広がります。子供たちも喜んで参加できる食事に変身させましょう。
例えば、へら状にカットした人参は、意外にも麺をスムーズにすくうことができます。箸のつもりで細切りにすると、逆に使いづらくなってしまうので、幅広く、平たくカットするのがコツです。

人参は見た目も色鮮やかで食欲をそそり、そのままガブっとかじれる楽しさもあります。さらに、甘みと歯ごたえを楽しめる利点もあります。
次にカブの茎部分でも試してみました。ご覧ください。
2本だけでは強度が足りず折れやすいものの、4本まとめて持つことで解決できます。スパゲッティをフォークで巻き取るような要領で使うと、しっかりと持ち上げられます! これなら小さなお子さんにも食べやすいでしょう。
最後に、ネギを2本使って、お箸として試してみると……
麺は持ち上げることはできるものの、太すぎて食べづらいという結果になりました。
しかし、ネギならではの特徴として、断面から立ち上がる香りが、薬味としての役割を果たしてくれます。
このように、野菜の種類によって食べやすさや香り、食感がことなり、それぞれの特徴を楽しむことができます。「ほほぅ、なるほど~」なんて言い合いながら、愉しい食事ができますよ。野菜への興味も深まるかもしれません。ぜひ、試してみてください。
大勢で楽しむ方法
家族や友人が集まる際には、ねぎそばパーティーを開催してみてはいかがでしょうか。大きな鍋で蕎麦を茹で、それぞれが好みの野菜を使って食べるスタイルにすると、話が弾んで盛り上がります。また、野菜を箸代わりにする遊び心で、子どもたちも楽しく食事ができます。
通販情報
本場のねぎそばを自宅で手軽に楽しみたい場合、オンラインショップでの購入もできます。例えば、大内宿の「三澤屋」では、生蕎麦の販売しており、自宅で本格的な味を再現できます。
大内宿場そば
こちらはたっぷりと沸かしたお湯で茹でる乾麺です。茹で時間は5分。ねぎそばはもちろん、ざるそばやかけそばなど、さまざまな食べ方でお楽しめます。
ユニークな文化「ねぎそば」
ねぎそばは、その独特の食べ方と風味で、多くの人々に愛されています。ぜひご家庭や旅行先で体験してみてください。
この文化は、薬味を活かした昔ながらの知恵を受け継ぎながら、観光地としての魅力も加わったユニークなものです。 家庭で再現する際も、ちょっとしたイベント気分で盛り上がれるので、子どもたちと一緒にチャレンジするのも面白いですよ。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)