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寝返りなど子ども自身の転落がトップ~子どもの睡眠環境における事故の実態

上の表は、事故種別ごとの発生割合(2019年~2022年)です。寝返り等本人動作による転落がトップでした。

また乳幼児期の睡眠中の事故発生場所は、家庭内の寝室・寝具が約90%(表を参照)。睡眠中の事故を防ぐには、家庭内の予防策を見直すことが第一です。
寝返りなどで移動する、ひと晩の距離の合計は最大で15m

18か月未満の乳幼児の寝ている様子を撮影して行動分析をしたところ、寝返りなどによって5時間で移動した距離の合計は最大で15mでした。そのためベビーベッドなど、寝返りをしても落ちない場所で寝かせて事故を防ぎましょう。床や畳に直接布団を敷いて、寝かせてもいいでしょう。
10cm未満の隙間でもはさまると、窒息の危険性が

子どもの寝ているまわりに隙間を作らないことも事故対策には必要です。10cm未満の隙間でも、子どもははさまってしまいます。10cm程度の隙間でも胴がすり抜けて頭がはさまり、窒息する危険性があります。また隙間に、手足がはさまったまま寝返りをすると脱臼などのけがにつながることも。
訪問調査で家庭の寝室を調べたところ、30%超の家庭で10cm程度の隙間がありました。たとえば大人用ベッドを並べた隙間、ベッドと壁の間の隙間、ベッドフレームとマットレスの隙間などです。子どもが寝ている場所に隙間がないか改めて確認してください。
過去には、ベッドガードとマットレスの間できた隙間にはさまれて乳児が亡くなる事故も発生しています。ベッドガードは、生後18か月未満の子どもには使用できないので注意しましょう。
スマホの充電ケーブルなどが首に絡まることも

乳幼児は睡眠中でも手足を活発に動かしたり、寝返りしたりします。しかし訪問調査では、約83%の家庭が睡眠時に子どもの手足が触れる範囲に、物を置いていることがわかりました。
たとえば子どもが寝ているそばにスマートフォンの充電ケーブルなどのコード類があると、睡眠中に首に絡まって窒息する危険性があります。6歳ごろまでは、コード類やぬいぐるみ、タオルなどは、子どもが寝ているまわりに置かないようにして睡眠中の窒息事故を防いでください。
柔らかい大人用の寝具は、乳幼児には危険

睡眠中の窒息を防ぐには、体の沈み込みが少ない硬めの寝具を使うことも大切です。寝具の硬さを計測したところ、大人用のベッドに子どもを寝かせている家庭では60%が、寝具が柔らかくて、睡眠中に子どもが顔を埋めてしまい窒息する危険があることが判明しました。子ども用寝具は、大人用寝具よりも硬く作られていて沈み込みが少ないです。6歳ごろまでは、沈み込みが少ない子ども用寝具で寝かせましょう。
大切な子どもの命を守るために事故の予防策をチェック
「科学で探る こどもの事故予防策-睡眠環境における事故-」では、ほかにもベビーカー使用時の熱中症対策についても紹介しています。大切な子どもの命を守るために、ぜひチェックしてください。
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構成/麻生珠恵