春になるとニュキニョキと穂先を出すたけのこ。すぐには食べ切れない量が手に入った場合、みなさんはどうしていますか? 水煮の保存が定番ですが、たけのこは冷凍保存も簡単にできます! 上手な保存法で旬の味覚を長く楽しみましょう。
たけのこを冷凍保存するメリット
たけのこには、特有のエグミがありますが、これはホモゲンチジン酸やシュウ酸などが含まれているから。掘ってから時間が経つほどエグミがどんどん強くなっていきます。たけのこを美味しく食べる秘訣は、とにかく“すぐに茹でる”、これにつきます!
茹でた後に冷蔵保存もできますが、冷凍すれば長く楽しむことができます。土佐煮や肉味噌に刻んで加えるなど、先に味つけをしてから冷凍する方法も◎。冷凍することで細胞が壊れて味がしみやすくなるので、作り置きにも最適です。
たけのこの冷凍時の注意点
たけのこは、とても食物繊維の多い野菜です。あのシャキシャキとした食感は、繊維質の塊だから。そのため、保存法を失敗すると筋ばってしまいがちに。それでは、たけのこ本来のおいしさを味わうことができません。冷凍保存は、“繊維を断ち切る”ことが重要です。
扱い方のポイントをまとめてみました。
スカスカになってしまう理由
たけのこを冷凍してスカスカになった経験はありませんか? 原因は、2つ。たけのこを生のまま冷凍した場合と、切り方が厚すぎることが考えられます。生のまま冷凍してしまうと繊維がくずれ、味はもちろん食感がスカスカになりがち。厚切りの場合も同じように筋ばって噛み切れないという残念な結果に。たけのこ本来の食感を楽しむためには、下処理が何よりも大切なんです。
たけのこの冷凍保存のやり方
たけのこを美味しく冷凍保存するためには、まずは一度茹でること。
手順やコツを順を追ってご説明します。
解凍後の調理方法に合わせた切り方がおすすめ
たけのこを解凍する時は、凍ったまま調理をするのがベスト! あらかじめ調理に合わせて切り分けておくとラクです。
大きめに切ると筋っぽくなりやすいので、細かく切り分けるのも冷凍保存のコツ。なるべく繊維を断ち切るように、薄切りや細切りなどにすると食感が損なわれにくくなります。
生のまま冷凍するやり方
たけのこは、繊維質が多いため生のまま冷凍するのは難しい野菜です。一度、茹でてから冷凍保存するようにしましょう。
茹でてから冷凍するやり方
1.外側を2~3枚ほどはがして、汚れを洗い流します。
2.穂先を5㎝ほど斜めに切り落とし、さらに縦に包丁で切り込みをいれます(アクが抜けやすく、ゆであがった後に皮がむきやすくなるため)。
3.鍋にたけのこがかぶるくらいの水を入れ、米ぬかをひとつかみ、鷹の爪1~2本(えぐみをやわらげる働きがある)を入れて火にかけます。
4.たけのこが浮いてくるようなら皿などで重しをしましょう。
5.沸騰したら、弱火で1時間ほど茹でます。たけのこに竹串がすっと通るくらいやわらかくなれば茹であがり! 火を止めて、たけのこを茹で汁ごと冷ましましょう。粗熱がとれたら、皮を剥いて適当な大きさに切り分けます。
6.冷凍保存用のジップロックなどに入れて冷凍庫で保存すればオッケーです。
冷凍たけのこの保存期間
茹でてアク抜きした状態で、1か月くらい冷凍保存が可能です。
おすすめの解凍方法
冷凍後は、凍ったまま解凍するのが一般的。調理時には、熱したフライパンなどに入れてすばやく加熱するように心がけましょう。
砂糖を使えば食感が変わりにくい!?
たけのこを茹でてから、砂糖をまぶせば食感を損なわずに保存することができます。方法は、たけのこを薄く切り分けてから砂糖をまぶすだけです。
使う場合は、凍ったまま砂糖をさっと洗い流してから加熱しましょう。砂糖やみりんなどの甘味を使わなくてもよいので調理も簡単です♪
たけのこは、食物繊維以外にもカリウムを多く含みます。カリウムは、体内の余分な塩分を排出してむくみの解消もしてくれる頼もしい味方。冬の間にため込んだ老廃物を体外に出してくれる働きもあるとか。春の恵みのたけのこを正しい保存法で美味しくいただきましょう!
撮影・文/川越光笑(たべごとライター・発酵食スペシャリスト)
冷凍たけのこを使ったおすすめレシピ
【1】具が大きめ春巻き
カリッとおいしい春巻きは大人にも子供にも人気のメニュー。たけのことしいたけはあえて大きめにカットして食感をアップ! 揚げるときは低温からはじめるのが失敗しないポイントです。
◆材料
(作りやすい分量=10個分)
春巻きの皮 10枚
豚ひき肉 300g
たけのこ(水煮) 150g
干ししいたけ(スライス) 15g
玉ねぎ 1/2個
にんじん 1/2本
はるさめ(乾) 30g
ごま油 大さじ1
【A】
しょうゆ 大さじ1と1/2
酒 大さじ1と1/2
水 1/4カップ
鶏がらスープの素(顆粒) 小さじ1
砂糖 大さじ1/2
片栗粉 大さじ1
水溶き小麦粉 適量
揚げ油 適量
◆作り方
【1】干ししいたけは水に30分ほど浸けて戻す。はるさめは湯に4分ほど浸けて戻し、4等分程度に切る。
【2】たけのこと干ししいたけは8mm角に切り、玉ねぎとにんじんは粗みじん切りにする。
【3】フライパンにごま油を熱して、豚肉を炒め、【2】を加えてさらに炒め、火が通ったらはるさめと【A】を加え、中火でとろみがつくまで煮て、冷ます。
【4】春巻きの皮に【3】を等分にのせて巻き、巻き終わりを水溶き小麦粉で留める。
【5】フライパンに油を2cm入れ、低温(150~160℃)に熱して【4】 を入れ、徐々に中~高温(170~180℃)にし、上下返しながら揚げる(油の量が少ないと温度が上がりやすいので注意)。
*お好みでポン酢しょうゆをつけても。
教えてくれたのは
阪下千恵さん
料理研究家、栄養士。家族 のために作り続けてきたおいしくて、栄養バランスのよいレシピが人気。二人の女の子のママ。
『ベビーブック』2015年9月号
【2】ガパオ麺
タイ料理の人気屋台飯のガパオ。ごはんを麺に替え、子供も食べやすくアレンジを加えます。オイスターソースの味付けは、臭みもなく食材ともよく合います。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
中華麺 3玉(300g)
豚ひき肉 300g
たけのこ 60g
赤パプリカ 1/2個
いんげん 4本
にんにく(みじん切り) 小さじ1
サラダ油 小さじ1
【A】
しょうゆ 大さじ1/2
オイスターソース 大さじ1/2
砂糖 小さじ1/2
塩・こしょう 各少々
うずらの卵 4個
◆作り方
【1】中華麺は表示時間どおりにゆで、冷水にとり、水けをきる。
【2】たけのことパプリカは1cm角に切り、いんげんは1cm幅に切る。
【3】フライパンにサラダ油とにんにくを入れて中火にかけ、香りが立ったらひき肉と【2】を入れて炒め、混ぜ合わせた【A】で調味する。
【4】フライパンをサッと拭き、うずらの卵を割り入れて目玉焼きを作る。
【5】器に【1】を盛り、【3】をかけ、【4】をのせる。
教えてくれたのは
みないきぬこさん
女子栄養大学を卒業後、料理研究家のアシスタントを経て2007年独立。料理家、フードコーディネーターとして幅広い分野で活躍中。女の子のママ。
『めばえ』2014年8月号
【3】毎日のおやつに!パンダのプチ肉まん
ホットケーキミックスを使った食べ応えのある肉まん。野菜も加えて栄養も満点!
◆材料
(10個分)
【A】
ホットケーキミックス 250g
ラード 大さじ1
水 100cc
【B】
豚ひき肉 100g
玉ねぎ(みじん切り) 1/6個
たけのこ(水煮・みじん切り) 50g
砂糖 小さじ1
オイスターソース 小さじ1
酒 小さじ1
片栗粉 小さじ1
しょうゆ 小さじ2
焼きのり 1枚
◆作り方
【1】ボウルに【A】を入れ、ひとかたまりになるまで手でこね、10等分にする。
【2】別のボウルに【B】を入れ、手でよく混ぜ合わせ、10等分にする。
【3】【1】を手のひら大にのばし、【2】を包む。
【4】クッキングシートを10×10cmに10枚切り、【3】をのせ、蒸気の上が った蒸し器で12分蒸す。
【5】のりでパンダの顔を作る。
教えてくれたのは
YOMEちゃんさん
本名・大井純子。毎月200万アクセスを誇る人気ブロガーとして大ブレイク。現在はメニュープランナーとして活躍。夫と長女の3人家族。愛情たっぷりの育児日記と日常のアイデアあふれる献立を綴ったブログが人気。「よめ膳@YOMEカフェ」
衣装協力:おうちブレンド(ワコールウイング)
『ベビーブック』2011年12月号
【4】豆腐と野菜のあんかけうどん
具材の赤は唐辛子でなく、赤ピーマン。辛みはないけれど、ひき肉、たけのこ、長ねぎ、にんにくが本格的中華の味わいを引き立てるジャージャー麺風。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
冷凍うどん 3玉
絹ごし豆腐 1丁(300g)
豚ひき肉 150g
ゆでたけのこ 50g
赤ピーマン 1/2個
長ねぎ 1/2本
にんにく(みじん切り) 少々
【A】
中華スープの素 小さじ1/2
オイスターソース 大さじ1
しょうゆ 大さじ1/2
みりん 小さじ1
塩 少々
湯 1カップ
ごま油 小さじ1
【B】
片栗粉 大さじ1
水 大さじ2
◆作り方
【1】豆腐は1cm角に切り、1分ほど下ゆでする。
【2】たけのこ、ピーマン、長ねぎはみじん切りにする。
【3】フライパンにごま油とにんにくを入れて中火で熱し、香りが立ったらひき肉を加えて炒める。肉の色が変わったら【2】を加えて炒め、混ぜ合わせた【A】を注ぐ。沸騰してきたら【1】を加えて1~2分煮、混ぜ合わせた【B】を加えてとろみをつける。
【4】うどんを表示時間どおりにゆでて器に盛り、【3】をかける。
*お好みで、ゆでた絹さやをトッピングしても。
教えてくれたのは
みないきぬこさん
女子栄養大学を卒業後、料理研究家のアシスタントを経て2007年独立。料理家、フードコーディネーターとして料理雑誌や広告、メニュー開発など、幅広い分野で活躍。女児の母。
『ベビーブック』2015年3月号
【5】ゆでえびと炒り卵のちらし寿司
えびの赤と、卵の黄色、絹さやの緑が鮮やかです。細かく刻んだ野菜をたっぷり混ぜて。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
ご飯(炊きたて) 2合分
しいたけ 4個
たけのこの水煮 100g
にんじん 小1本(100g)
絹さや 10枚
えび 10尾
桜でんぶ 適量
卵 3個
【A】
だし汁 1カップ
みりん 大さじ2
砂糖 大さじ1
しょうゆ 大さじ1
塩 小さじ1
酒 大さじ1
【B】
砂糖 大さじ1
塩 ひとつまみ
水 大さじ1
サラダ油 少々
酢 大さじ2
◆作り方
【1】しいたけは石づきを除いて1cm角、 たけのことにんじんは8mm角に切る。ともに小鍋に入れ、【A】を加えて火にかける。沸いてきたらアクを取り、落としぶたをして、10分ほど煮る。
【2】えびは殻をむき、背に包丁で切り 込みを入れて背ワタを取る。片栗 粉(分量外)をふってもみ、流水で洗い流し、酒をふって5分おく。色 が変わる程度に塩(分量外)ゆでし、 子ども用は1cm長さに切る。絹さやも塩(分量外)ゆでして、斜め半分 に切る。
【3】ボウルに卵を溶きほぐし、【B】を加えて混ぜる。サラダ油を熱したフライパンに流し入れ、炒り卵を作る。
【4】ご飯を飯台(なければボウル)に 移し、酢を回しかけて切るように混 ぜ、【1】を加えてさっくり混ぜる。器 に盛り、【3】、【2】、桜でんぶを彩りよ くのせる。
教えてくれたのは
八木佳奈さん
雑誌、広告などで料理撮影スタイリングや料理製作を手がける。二人の女の子のママでもあり、子どもが喜ぶ、簡単でかわいいレシピが人気。
『ベビーブック』2017年3月号
構成・文/HugKum編集部