こんにちは。離乳食インストラクターの中田馨です。
離乳食のお悩みでママからよくいただく質問のひとつは「離乳食の味つけが分からない」です。大人よりも薄味、というのはわかるけど、どのくらい薄味なの?という基準が分かりませんよね。今日は、離乳食の味つけについてお話します。
目次
離乳食の味付け基本の「き」
離乳食期の味付けは「風味付け」ととらえて
大人の味付けの目的は、しょう油や味噌などの調味料で素材の味を際立たせることですが、離乳食期は「風味付け」ととらえましょう。赤ちゃんの内臓機能は未発達です。大人と同じような味つけでは塩分が多すぎて内臓に負担をかけてしまいます。離乳食はだしや素材の味を大切にしながら、しょう油やみそで「風味をつける」というのが基本です。
離乳食の味付けはいつから?
味をつけるのは離乳食後期以降から
私たち離乳食インストラクター協会では、離乳食で味付けを始める時期を、後期以降としています。それまで使うのは、だしだけです。だしで煮ると調味料無しでも美味しくいただけるからです。後期以降もだしと食材を煮ただけで美味しければ調味料を入れる必要はありません。素材の味を楽しんでみましょう。
離乳食後期の味付けはどれくらい?
しょう油か味噌を1食0.5ml(g)を目安に
離乳食後期から調味料を使い始めます。しょう油と味噌を基本に使い、量でいうと1食0.5ml(g)です。この調味料の量は1食のうち調味料を使うメニューが2つあれば2つ合わせて0.5ml(g)です。
離乳食後期の「うどん」の味付けのめやす
だしを使う場合はナシでもOK
うどんは、塩分がありますので下茹でしてから調理します。しょう油なら1・2滴、味噌なら小豆1/2~1粒を目安に味つけをします。かつお昆布だしや煮干しだしでうどんを作る場合は、だしだけでも十分に美味しいです。塩抜きしたしらすやささみを入れると更にうまみが増しますので、調味料が必要ない場合もあります。調味料を入れる前に味見をしてみてくださいね。
離乳食後期の「おかゆ」、味付けのめやす
基本的には味付けナシで
大人はほんのり塩を効かせたり梅干しを添えて食べることもあるおかゆですが、離乳食のおかゆには基本的に味はつけません。おじやにする場合は、しょう油なら1・2滴、味噌なら小豆1/2を目安にしてみてくださいね。
ママに調査!離乳食の味付けで工夫していたことは?
Hugkumでは、先輩ママ約100人に離乳食の味付けについてアンケートを実施しました。ママたちに「離乳食の味付けで工夫していることがありますか?」と質問したところ、以下のような回答があつまりました。
素材の味を活かす
離乳食では、素材の味をそのまま知ってほしいと考えるママが多数。自然の甘味を活かしたり、味付けせずにそのまま食べさせることが多いようです。
・なるべく薄味で、素材の味そのままのことも多かった (30代・神奈川県・子ども2人)
・なるべく自然の甘みを出す(カボチャやさつまいもに頼る) (30代・長野県・子ども2人)
だしを使い、薄味にする
本記事でも紹介したように、まずはだしを使って素材の味を活かすという回答が多くあつまりました。旨味のある食材を使ったり、和風や洋風などいろいろな種類のだしを使えばバリエーションも広がりますね。
・野菜だしやかつおだしを主に使い、たまにトマトピューレを使うなど、なるべく素材の味を生かすようにした。 (30代・神奈川県・子ども1人)
・昆布や鰹節で野菜を煮て、薄味にしてました (30代・東京都・子ども1人)
・旨味のある食材を使ったり出汁をきかせて、塩分を薄くした。 (30代・東京都・子ども2人)
粉ミルクでアレンジする
また、風味付けに粉ミルクを混ぜて味付けしていたとの回答もありました。粉ミルクを牛乳の代わりに使って、ホワイトソースやミルク煮などのアレンジレシピも作れます。
離乳食後期の味付けレシピ
それでは、離乳食後期以降に食べれる味付けレシピを紹介します。
離乳食後期 納豆チャーハン
油なし、ゆで卵で作る離乳食後期用のチャーハンです。
<材料>
軟飯 90g
納豆 10g
ゆで卵 1/2個
玉ねぎ 10g
ブロッコリー 5g
しいたけ 5g
しょう油 0.5ml
<作り方>
・納豆はお湯をかけぬめりを取る
・茹で卵は1㎝角に切る
・玉ねぎ、ブロッコリー、しいたけはゆでて5㎜に切る
1.テフロンのフライパンに軟飯を入れ炒める
2.1に、他の材料すべて入れて混ぜながら炒める
3.しょう油を入れて風味をつける
完了期 さつま汁
さつまいもの甘みさが赤ちゃん好みの、具沢山さつま汁です!
<材料>
かつお昆布だし 200ml
豚肉 15g
玉ねぎ 15g
大根 15g
にんじん 10g
さつまいも 10g
蒸し大豆 5g
味噌 0.5g
<作り方>
・玉ねぎ1㎝スライス
・他野菜、皮をむいていちょう切り
・豚肉脂肪を取って1㎝に切ってサッと下茹でする
・蒸し大豆 湯がいて薄皮をむいて1/2にカット
1.かつお昆布だしに、野菜⇒豚肉、大豆の順に入れて煮る。
2.味噌で風味付けする
離乳食完了期後半 こふき芋のバターカレー風味
カレー粉は離乳食完了期後半ごろから使えるようになります。ただし、辛さが気になるので、使うのはごく少量だけにします。
<材料>
じゃがいも 40g
バター 5g
カレー粉 ごく少量
<作り方>
・じゃがいもの皮をむき、乱切りにして水につけあくを取る
1.鍋に、水とじゃがいもを入れ火にかけ、やわらかく湯がく
2.1のお湯を捨て、鍋を振ってこふきにする。
3.バターとカレー粉を混ぜ入れる
離乳食の味付けについて、ママの疑問にお答えします!
離乳食の味付けでママの疑問に多いものを紹介します。
Q.離乳食中に味付けのりはOKですか?
A.味が濃すぎるので1歳未満は控えましょう
大人も子どもも大好きな味つけのり。離乳食期には食べさせないほうがいいでしょう。私も子どもを産むまでは、食卓に味付けのりを用意していました。でも、子どもに食べさせるなら「焼きのり」がいいと思い、焼きのりに変えました。子どもは13歳ですが、今でも我が家は焼きのりです。焼きのりを食べ慣れると、たまに味付けのりを食べると口の周りがピリピリするくらい濃い味がついているということが分かります。大人でも感じるということは、赤ちゃんには味が濃すぎるということですね。
焼きのりを食べさせる場合は1歳以降。口の中やのどの奥に引っ付いてしまうことがありますので、ご飯に巻くというよりは「細かく切る」「煮る」ようにしましょう。
Q.味付けしないと離乳食を食べません。どうすればいいですか?
A.だしをうまく使ってみては
「味のある物じゃないと食べないんです」という質問も良く伺います。そんな場合はぜひ取り入れていただきたいのが「だしで離乳食を作る」ということ。調味料の味に慣れていると、だしの風味だけの離乳食にビックリして最初は食べてくれないこともあるかもしれません。しかし、数日続けると食べてくれるようになります。それでも食べてくれない場合は、それまで使っていた調味料の量を少しずつ減らしていくことから始めてみましょう。
「離乳食にだしを使い、調味料を少なく使う」。これは大人の料理にも生かせます。大人の料理もだしを使い、薄味にしていくことで、離乳食から幼児食になった時に大人と同じ食事を食べられるので料理がラクチンです。離乳食づくりは、大人の食生活も改善できるチャンスなのです。
記事執筆
一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事。中田家庭保育所施設長。現在13歳の息子の離乳食につまづき、離乳食を学び始める。「赤ちゃんもママも50点を目標」をモットーに、20年の保育士としての経験を生かしながら赤ちゃんとママに寄り添う、和食を大切にした「和の離乳食」を伝えている。保育、講演、執筆などの分野で活動中。自身が開催する離乳食インストラクター協会2級・1級・養成講座はこれまで2500人が受講。