子どもにお金や社会のしくみを教え、「自立する力」を育むための講座を全国で実施している『キッズ・マネー・ステーション』。子供のときから、お金のセンスを身につけ、稼ぐ力を育むマネー教育の講座は、どれも具体的でわかりやすく、「おもしろい!」「受けてよかった!」というママパパや子どもたちの声がたくさん届いています。
そんな受けてみたいマネー教育No.1の『キッズ・マネー・ステーション』の授業をお伝えするのが【HugKumキッズマネー講座】。第4回のテーマは「税金」です。
生活にかかるお金を知ることからスタート
「税金はできれば払いたくない。」そんな声は多く聞かれます。賢く節税することも、家計にとって大事なことですよね。では、税金が少なければみんながハッピーになれるでしょうか?
今回は、消費税を切り口に、親子で税金や社会保険の役割を知ろう!という内容でお届けします。まずは生活にかかるお金の全体を知ることからです。
「私たち生活にかかるお金」の講座
私たちキッズ・マネー・ステーションには、「私たちの生活にかかるお金」という講座があります。この講座では、以下の2点が主な内容です。
①日々の生活にはどんなものにいくらかかるのか、家計管理の体験をする→この中に、税金や社会保障も出てきます
②大人になったときに収入を得るための職業についても考える
「生活にかかるお金」を実際に払ってみよう
講座では教材として模擬紙幣を入れたお給料袋を配ります。子ども達はもちろん一緒に来場した保護者の皆様も、今では見ることのなくなったお給料袋と、その中身を手にすると、とても盛り上がります。そこから生活にかかるお金を順に払っていきながら、家計のやりくりを模擬体験していきます。
何にいくらかかるのか、ひとつひとつの項目に驚きもあれば、わが家の場合と照らし合わせて親子で納得している様子も見られます。たくさんあった給料袋の中身が、生活費の支払いを進めるにつれて減ってくると、子どもでもお金は思いのままに使っていたら困るということに気付くのです。
その過程で考えるのは、「お金を使う時は何を優先させる?」ということです。休校が続き、家で過ごす時間が増えた今、子どもと模擬紙幣を作って、家計のやりくりを遊びのように模擬体験してみるのもいいかもしれません。
税金や社会保険ってなに?
この講座内では、お給料から引かれる「生活にかかるお金」として、税金や社会保険について取り上げます。税や社会保険について急に説明に入るより、「生活に必要なお金」という話の流れで知ってもらう方が、わかりやすいためです。
税金は直接税と間接税の2種類がある
税金の種類は、約50種類です。税金の収め方の違いにより、直接税と間接税の2通りに区分することができ、公平な課税のために多くの種類や仕組みがあります。
◆子どもに種類をわかりやすく説明するなら…
所得税や相続税、法人税、住民税など、個人や法人が国や都道府県、市区町村に納めるのが直接税です。
消費税や酒税、たばこ税など、買う人が払った税を店が納める税を、間接税といいます。
税金は知ってるけど、社会保険料って?
小学校でも高学年になると学校で租税教室等が開かれるためか、参加してくれる子ども達も税金についてはその種類や使い道について知っている子が多く、元気良く手を挙げて発表してくれる姿が見られます。身近な消費税というのも、税を知る機会になっているでしょう。
ところが社会保険となると自信を持って手を挙げてくれる子はぐっと少なくなります。それでも耳にする機会が多い年金という言葉を出すと少し反応が良くなります。
税金と社会保険。大人でもこの2つをどちらにどれくらいかかり、どんな役割を持っているか十分理解しているでしょうか?
◆税金と社会保険料の違いを子どもに聞かれたら…
よく社会保険料は「第2の税金」と言われます。
社会保険は、国民年金、厚生年金、健康保険、国民健康保険などの保険料です。年金の保険料を支払えば将来、自分の年金として還ってきます。健康保険の保険料を支払うことによって様々な医療サービスを受けることができます。つまり給付と反対給付の関係が明確なものです。
税金は使途が多岐に渡ります。この点が大きく異なる点です。
お給料からそれら2つの「引かれるお金」を払う場面では、子供たちはがっかりした様子を見せます。大人も同じかもしれませんね。ですが、税金や社会保険が安全安心な暮らしを支えていること、さまざまな境遇にいる人たちの「支え合い」の仕組みだと伝えていくことが必要です。
税金や社会保険、なぜ払うの?
税金や社会保険を納めるとき、皆さんは高いな~と思ったり、やだな~と感じたりしがちだと思います。しかし反対にその恩恵を受け取る側に立ったときは、当然のように受け取ってしまう事が多いような気がします。
税金や社会保険の「支え合い」の仕組みのおかげで実現していることはたくさんあります。
◆税金や社会保障のおかげで成り立つ身近な例は…
・公立の小中学校に学費の負担が無く通えること
・多額の負担をせずに医療が受けられること
親子でこうした恩恵を受けとっていることに改めて気付き、否定的な言葉ばかりでなく、税金や社会保障の仕組みのありがたさについても子どもに伝えていけるといいのではないでしょうか?
消費税は税金を考えるのにもってこいの教材
消費税は子供が普段の買い物で触れることのできる身近な税金ですので、社会の仕組みに目を向けるきっかけとして、もってこいの教材になります。
◆税別・税込みの値段表示を意識させる
子どもが小さなうちは、税込、税別の値段の表示を見て、消費税分はいくらなのかを意識しながら一緒に買い物をしてみるのもいいですね。
◆税金の使われ方を親子で話す
大きくなってきて、おこづかいをもって自分で買い物をするようになってきたら、払って終わりでなく、その先にある税金の使われ方まで親子で話すのもいいでしょう。町の整備や身近な公園、図書館なども税金で成り立っています。災害が起きたときの災害対策費も税金の使われ方のひとつだと伝えましょう。
◆家族の消費税=みんなの貯金を設けてみる
家庭内に家族の消費税という名目で、みんなで使うためのお金を貯金する貯金箱を設けてみるのもいいかもしれません。税金の仕組みを家庭内で体感でき、家族のための使い道を皆で考えるのも有意義な時間ですね。
お金は「ありがとう」との交換。税金も?
私たちキッズ・マネー・ステーションで、どの講座でも必ず伝えていることがあります。
「お金は感謝のしるし」という一節です。お金を受けとるときはもちろん感謝すると思いますが、自分のお財布からお金が出ていくときも相手のしてくれたことへの感謝の気持ちの表れなのです。
税金も社会の仕組みへの「ありがとう」
税金として納めるお金も、自分の手元からお金が消えて無くなるのではなく、社会に出てまわりまわって自分達の生活を支えてくれていると考えれば、感謝の気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。消費税という身近な税金から、親子で社会の仕組みに目を向け、自分もその一員として参加していることに「ありがとう」の気持ちを持てるとしたら、増税に対する感じ方も変わってくるかもしれません。
将来子ども達が職業を持ち、社会を支える立場になったとき、こうした考え方を思い出して、感謝の気持ちをもちながら幸せにお金と付き合っていけるよう、税金だけでなく、お金の使い方をしっかりと次世代に伝えていけるといいですね。
執筆者:小峯洋子
キッズ・マネー・ステーション認定講師/ファイナンシャル・プランナー/DCプランナー(企業年金総合プランナー)/FP事務所 はっぴーまねープランニング代表
不動産会社、住宅メーカーで設計部勤務を経て、夫の転勤により退職、子育てに専念。第2子の乳児期にファイナンシャル・プランナー資格を取得し、2014年にFP事務所を立ち上げた。子育て世代に役立つマネー講座の開催や、若い世代への金融教育に力を入れている。
記事監修
「見えないお金」が増えている現代社会の子供たち。物やお金の大切さを知り「自立する力」を持つようにという想いで設立。全国に約160名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行う。2018年までに1100件以上の講座実績を持つ。
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キッズ・マネー・ステーション主宰の八木陽子さん監修の本はこちら↓
「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)