彫刻刀にはどんな種類がある? それぞれの特徴や選び方とおすすめをご紹介

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版画作成に欠かせない彫刻刀。授業で使うため子どもに買ってあげたいですが、種類が多くてどれが良いのか迷ってしまいます。刃の形、材質、柄の違いやおすすめ商品を紹介します。

彫刻刀の種類【刃の形】

彫刻刀にはさまざまな種類があります。平刀や切出し刀など、大きく6種類に分けられ、それぞれ彫り方も変わってくるのです。

適切でない使い方は怪我の原因にもなるため、使用する前に特徴を知っておきましょう。

平刀

平刀は、先端が平らな彫刻刀です。真っ直ぐ彫れば平らに彫れるため、広い面を作るのに向いています。

また、木版を浅く彫ることで、全体をぼかし柔らかな印象の仕上がりにもできます。版画で濃淡を表す際は、丸刀や三角刀で濃く表現し、平刀で淡く表現するのです。

他にも、彫り残しや微調整など、すき取る際にも平刀は使われます。

切出し刀

切出し刀は、先端が斜めに尖った彫刻刀です。「切出し」という名称の通り、彫り始めの一刀として使われます。

切出し刀で付けた線はハッキリと残り、彫る場所と彫らない場所を明確します。余分に彫り過ぎるのを防げ、輪郭が綺麗な版画に仕上がるでしょう。

また、切出し刀は左右非対称な刃なため、利き手に合わせた種類が販売されています。

利き手に合わない彫刻刀は使いにくく、誤って怪我をする可能性もありますので、利き手に合わせた切出し刀を選んでください。

他にも、刃の先端が刀のように丸く反り返った「ナギナタ」という種類もあります。反り返った刃は線を付けやすいですが、販売はあまりされておらず使う機会も少ないです。

丸刀

丸刀は、先端が曲線を描く彫刻刀です。丸みを帯びた切り口となり、縁が柔らかな溝が彫れます。

木材を広く深く掘れるため、主に丸刀が使われており、最も使う頻度が高い彫刻刀と言えるでしょう。

また、丸刀には大きさや曲線の深さが違う、さまざまな種類があります。基本は、大丸刀・中丸刀・小丸刀の3種類であり、それぞれ彫る範囲や深さは違うのです。

一本の丸刀で仕上げるのではなく、状況に合わせて使い分けます。

三角刀

三角刀は、先端がVの字に尖った彫刻刀です。丸刀と同じく版画を深く彫る際に使われますが、Vの字に溝ができるため、丸刀よりも細く鋭い線を作れます。

また、丸刀と同様にVの字の角度が違う種類も販売されており、より鋭い角度なら鋭い線が彫れ、緩い角度なら柔らかな線が彫れるでしょう。

剣刀

剣刀は、西洋の剣のように先端が尖り、両刃になっている彫刻刀です。切出し刀よりも細かく仕上げるのに向いており、微調整が必要な家具や建築に使われています。

ただ、精密な木工加工でなければ切出し刀で足りるため、授業で使われることはほとんどありません。

曲がり刀

曲がり刀は、先端が少し上方向に反った、スプーンのような彫刻刀です。反りが入ることでより深く、凹面加工をするのに使われています。

曲がり刀の先端は決まっておらず、平刀・丸刀・三角刀など、その種類はさまざまです。反り返った形状の彫刻刀を全てが曲がり刀と呼ばれます。

深い溝を彫るのに便利な彫刻刀ですが、立体的な木工加工でなければ使う機会もほとんど無く、授業で使われることもないでしょう。

彫刻刀の種類【刃の材質】

彫刻刀の刃は、形状だけではなく材質も違います。耐久性や値段が違うため知っておくと良いでしょう。

全鋼製

全鋼製は、材質に鋼のみを使用した刃です。単一の材料を使うことで安く購入できます。切れ味も十分にあるため、教材用としても広く流通していますが、そんなに丈夫ではありません。

また、鋼は固くて研ぐのも時間が掛かるため、どちらかと言えば使い捨ての彫刻刀と言えるでしょう。

二層鋼製(付鋼製)

二層鋼製は、2種類の鋼を組み合わせた刃です。硬く切れ味が鋭い特殊鋼の上に、弾力性と耐久性のある軟鉄を組み合わせることで、切れ味と耐久性を両立させています。

また、軟鉄は柔らかく研ぎやすいのも特徴です。切れ味が悪くなっても研ぐことで長く使えるでしょう。ただ、合金であるため全鋼製よりも値段は高くなりがちです。軟鉄は汗や湿気など水分によって錆びやすく、小まめな手入れも必要となります。

ステンレス

ステンレスは、鉄にクロムやニッケルなど組み合わせた鋼鉄です。

クロムでコーティングすることで薄い酸化皮膜ができ、錆びにくく丈夫で長持ちする彫刻刀になります。ただ、丈夫である反面、切れ味は他の材質よりもやや劣ります。料金も、全鋼製や二層鋼製より高額になりがちです。

彫刻刀の種類【柄】

彫刻刀の種類は刃だけと思われがちですが、実際には柄(持ち手)にも種類があります。使いやすさに大きく影響するため、刃同様におろそかにはできません。柄にはどのような種類があるのでしょうか。

伝統型

伝統型は、凹凸の無い楕円形の彫刻刀です。昔から続く型であり、それゆえ伝統型と呼ばれています。

凹凸の無い均一な形をしているため、持つ位置を選びません。持つ場所を変えれば角度の調整もしやすく、さまざまな彫り方ができるでしょう。

他にも、材質にゴムやプラスチックなどを使った、伝統型もあります。ゴムなら持ち手が滑りにくく、プラスチックなら軽量で丈夫といったように、木製とは違う特徴があるのです。

貫通型

貫通型は、柄が長く太い彫刻刀です。底面から金槌で叩いて彫れるため、深く彫るのに向いています。金槌を使わずともしっかり握って彫れるため、力強く彫刻ができるでしょう。

ただ版画作成には向いていません。基本的には金槌で叩いて彫るような、大きい彫刻専用と言えます。

ダルマ型

ダルマ型は、柄がやや短めで凹凸がある彫刻刀です。達磨のようなクビレがあることからダルマ型と呼ばれています。

凹凸部分に指を引っ掛けて彫れるため、持ちやすく疲れにくいのが特徴です。手から滑って抜ける心配も少なく、安全性も高いと言えるでしょう。

電動式

電動式は、電気ドリルと同じように電動で動く彫刻刀です。自動で彫り進めてくれるため、力を入れる必要がありません。先端のアタッチメントを変えれば、平刀・丸刀・三角刀を使い分けられ、初心者でも簡単に版画・彫刻ができます。

ただ、パワーが強すぎるため、細かい仕上げには向いていません。

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おすすめの彫刻刀4選

使いやすく人気の彫刻刀を4つ紹介します。

よしはる彫刻刀・GX – 義春刃物

使いやすさと安全性を兼ねそろえた彫刻刀です。エラストマー樹脂を使った柄は滑りにくく、しっかりグリップして使えます。

また、版画が動かないように敷くノンスリップシートも付属しており、使う人の安全をしっかり考慮されています。

よしはる三友彫刻刀 – 義春刃物

切れ味が良い伝統型の彫刻刀です。付鋼製の刃を使用しており、固い木材をスムーズに彫れます。切れ味が悪くなれば研ぐこともできるため、長く愛用可能です。

また、彫刻刀はバラ売りもされています。切出し刀の4~12ミリ、丸刀の6~9ミリといったように種類も豊富で、自分に合った使いやすいセットを用意できるでしょう。

プロでも愛用している人は多く、初心者から専門家まで、広く人気のある商品です。

パワーグリップ彫刻刀 – 三木章刃物

握りやすく疲れにくい彫刻刀です。ダルマ型の柄を採用しており、手に良く馴染みます。

切れ味の良い付鋼製の刃を採用し、熟練の職人が手作業で研ぐことで、より鋭い刃となります。

機械研磨された彫刻刀よりも切れ味は良く、固い木材でも、力を必要とせずに簡単に彫れるでしょう。

電動彫刻刀 DC-501 – RYOBI(KYOCERA)

 

電動式の彫刻刀です。スイッチ一つで簡単に彫刻ができるほか、平刃・角刃(三角刃)・丸刃を使い分けられます。パワーもあるため、女性や子どもでも無理なく簡単に彫れるでしょう。

版画から木彫り作業まで広く活用できます。

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彫刻刀は状況に合わせて使い分ける

彫刻刀には、さまざまな種類があります。刃先の違いはもちろん、材質や柄の種類まであり、それぞれ違った特徴があるのです。

ただ、一般的に学校の授業で使う場合には、平刀、切出し刀、丸刀、三角刀があれば問題はありません。柄の種類も伝統型であれば、汎用的に使えます。

子どもの授業で用意する際は、4~5種類ほどの刃先が用意された、伝統型のセットを用意してあげるといいでしょう。もっといろいろなことに挑戦したいようであれば、他の種類も検討してあげてください。

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文・構成/HugKum編集部

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