羽毛布団は自宅で洗濯できます。ただし、大人用とベビー用では洗濯方法や頻度が異なります。また、誤った方法で洗濯すると、布団に大きなダメージを与えてしまうかもしれません。羽毛布団の洗濯方法・注意点についてまとめましたので、事前に目を通しておきましょう。
羽毛布団を洗濯する方法は三つ
毎日使っていると、内部の羽毛もだんだんと汚れてきます。長く清潔に使うため、適切なタイミングでお手入れしましょう。まずは、羽毛布団を洗濯する三つの方法を紹介します。
自分で洗う
羽毛布団は「自宅」でも洗えます。ダウンコートなども、洗濯するときは「必ずクリーニングに出す」という人も多いですが、案外いろいろな素材のものが自宅で洗濯できるのです。
もちろん、どんな羽毛布団でもOKというわけではありません。しかし、汚れが気になる度にクリーニングに出すと、出費がかさんでしまいます。自宅なら電気代と水道代で1回数十円程度です。
もし、手持ちの羽毛布団の仕立てや中身の素材が洗濯できそうなものであれば、自宅での洗濯にチャレンジしてはいかがでしょうか? 確認するポイントは、後でくわしく解説します。
コインランドリーで洗う
「クリーニングに出すほどではないが、自宅で仕上げるのは厳しい」という場合は「コインランドリー」を利用しましょう。費用は、コインランドリーなら2000円程度みておけば十分です。
自分で洗濯する場合、羽毛布団を回せるだけの「洗濯機の容量」が必要です。洗濯後はしっかり乾かさなければいけないので、「十分なスペースのある乾燥場所」も必要になります。
その点、コインランドリーなら大容量の洗濯乾燥機があるため安心です。羽毛の片寄りを防ぐため、洗濯するときはひもで丸めておくとよいでしょう。丸めた羽毛布団よりも、ひと回り大きいくらいの洗濯機が理想です。
乾燥機に入れるときは、効率よく乾かすためにひもはほどいておきましょう。羽毛布団は乾燥すると膨らみます。布団と洗濯槽の間に余裕があったほうがよいため、羽毛布団が「容量の3割」にとどまるようにしましょう。
プロに任せる
洗濯したい羽毛布団が1枚だけとは限りません。自分の分だけならまだしも、家族全員の分を洗うとなると、数回に分けて洗濯することになるでしょう。
自宅での洗濯はハードルが高いと感じる場合は「クリーニング店」や「布団専門店」など、プロの手を借りるのがおすすめです。金額はさまざまですが、5000円弱が相場でしょう。
なお、クリーニング店には「自分で持ち込むタイプ」と「宅配タイプ」があります。宅配クリーニングとは、専用の回収ボックスに羽毛布団を入れて送り、仕上がったら自宅に届けてもらえる便利なサービスです。
かさばる羽毛布団を持ち運ばなくて済み、布団の枚数が多い家庭や、車がない家庭でも利用しやすいでしょう。
自宅で洗う前に確認すること
自宅での洗濯にチャレンジする前に、チェックしたいポイントがあります。効果的に汚れを落とすために必要なことなので、しっかり確認しておきましょう。
洗濯表示やキルティング加工の有無
羽毛布団には、自宅で洗濯できるものとできないものがあります。洗濯する前に「洗濯表示」を見て、「洗濯可」や「手洗いOK」の表示があるか確認しておきましょう。
「水洗い不可」のマークが表示されているものは、自宅で洗濯できません。「ドライ」「P」「F」などのマークも、専門店での「ドライクリーニング」が必要です。
また、「キルティング加工」のない羽毛布団も自宅での洗濯には向いていません。キルティング加工は、羽毛を入れるスペースを区切ることで、羽毛の片寄りを防止する役割を果たしています。
羽毛布団の中には本来均等に羽毛が詰められていますが、キルティング加工のないものは、洗濯により一部がスカスカになってしまうことがあるため気をつけましょう。
2日以上晴天が続くか天気予報で確認
羽毛布団を洗濯したときは、「中まで完全に乾かす」ことがとても重要です。水分が残ったままだと、羽毛にカビが生えたり雑菌が繁殖したりする原因となります。
完全に乾燥させるには、春なら「丸2日」、夏場でも「1日半」程度は干しておいたほうがよいでしょう。中身までは、触って確認できません。乾いた手触りになってから、さらに数時間干しておくと安心です。
家に乾燥機があれば、仕上げとして30分ほど乾燥させるのも有効でしょう。また、だいたい乾いた状態で、コインランドリーの乾燥機を利用するのもおすすめです。
なお、強い紫外線を長時間浴びると、羽毛布団が傷んでしまいます。乾燥させるときは直射日光を避け、風通しのよい場所で陰干ししましょう。羽毛布団は放湿性に優れており、陰干しでも乾かす分には問題ありません。
洗濯機の容量は十分?
洗濯機で洗おうと考えている場合は、前もって「洗濯容量」を確認しておきましょう。容量に余裕がないと、汚れ落ちが不十分になってしまいます。
洗濯可能な洗濯容量と、羽毛布団のサイズ目安は以下の通りです。
・5kg:シングル
・7kg:セミダブル
・10kg:ダブル
「5kgの洗濯機であれば5kgの布団が洗える」というわけではありません。布団を丸めて洗濯槽に入れたとき、スペースにひと回り余裕があるくらいが理想です。
なお、洗濯容量は仕様が記載されたシールなどで確認できます。このシールは洗濯機の「側面」や「ふたの内側」などに貼られていることが多いでしょう。
中性洗剤と大きなサイズの洗濯ネットを準備
洗濯洗剤には弱酸性・中性・弱アルカリ性があります。羽毛布団の洗濯には、このうちで最も生地への負担が少ない「中性」の洗剤を選びましょう。
日常の洗濯で使用する中性洗剤で構いませんが、よりダメージを軽減したい場合は「おしゃれ着用」洗剤の使用をおすすめします。
蛍光剤や漂白成分が入ったものは、肌のあまり強くない人だと敏感に反応してしまうかもしれません。また、小さな子どもは肌が薄いため、大人に比べると刺激に敏感です。刺激の少ない洗剤かどうかもチェックしましょう。
より素材のダメージを減らすため、「洗濯ネット」も利用するのも有効です。側生地の傷みや羽毛の飛び出しを防げます。布団を丸めてひもで結んでも大丈夫です。
羽毛布団の洗濯方法
自宅で洗う場合は、「洗濯機」か「手洗い」の2通りの方法があります。さらに、「縦型洗濯機」か「ドラム洗濯機」かにも分かれるでしょう。ここでは、それぞれの洗濯手順について説明します。
縦型洗濯機で洗う
縦型洗濯機で羽毛布団を洗う手順は、以下の通りです。
1.洗濯槽に水をためて洗剤を溶かす
2.ネットに入れた羽毛布団を洗濯槽に入れる
3.布団が水を十分に吸うまでしばらく待つ
4.「大物洗い」「布団」「ドライ」いずれかのコースで洗う
うずまき型とも呼ばれる縦型洗濯機は、水をたっぷり使う洗浄力の高さが魅力です。特に粉洗剤を使うときは、前もってよく溶かしておきましょう。
羽毛布団は空気をたっぷり含んでいるため、水に浸けはじめは浮いてきてしまいます。内部まで洗剤水が行き渡るまで、手で押さえつけておきましょう。
ベビー用は水流の優しいコースで
ベビー用の布団は、一般の羽毛布団よりもさらにデリケートです。洗濯表示には「水洗いはできるが、洗濯機は不可」「弱の洗濯機なら洗える」などの記載があるため、洗う前にチェックしましょう。赤ちゃんは汗っかきなため洗濯する頻度も高くなります。そのため、普段は「浸け置き洗い」だけでも十分です。
洗濯機を使用する場合は、水流の優しいコースを選びましょう。洗濯機によって表示は異なりますが、「おしゃれ着」「念入り仕上げ」「ドライ」といったコースのことです。すすぎや脱水は軽めにして、素材を傷めないようにします。
ドラム式洗濯機で洗う
ドラム式洗濯機で洗う手順は以下の通りです。
1.ネットに入れた羽毛布団を洗濯槽に入れる
2.洗剤を投入する
3.「大物洗い」や「ドライ」コースで洗う
ドラム式洗濯機は槽に水をためられないため、入れてすぐに洗濯スタートして構いません。なお、乾燥中に槽にかかる重みが片寄ると、エラーが出て一時停止してしまうことがあります。その場合は、羽毛布団をネットから出して、重みが均等になるよう槽の中に広げましょう。
浴槽で洗う
手洗いするときは、「浴槽」が便利です。浴槽で洗う手順は次の通りです。
1.浴槽に足首まで浸かるくらいの水を張る
2.適量(約キャップ1杯)の洗剤を入れる
3.羽毛布団に洗剤水を吸わせる
4.手や足を使って押し洗いする
5.よくすすいでから洗濯機で脱水する
羽毛布団をそのまま浴槽に入れると、水を吸わせるまでに時間がかかります。まずは折りたたんで軽く空気を抜き、あらかた水を吸わせてから浴槽に広げるのがコツです。
生地や羽毛を傷めないようにゆっくりと優しく押し洗いしてから、水をかえて3~5回ほどすすぎます。脱水するときは、小さく丸めて洗濯ネットに入れましょう。
どのくらいの頻度で洗うべき?
自宅で洗えるとなれば、シーツや枕カバーなどのように頻繁に洗濯したくなるかもしれません。しかし、羽毛は「洗濯に向かない素材」でもあるのです。劣化をなるべく抑えつつ、清潔さをキープできる洗濯の頻度について見ていきましょう。
大人用の場合
一般的な羽毛布団の洗濯頻度は「年に1度」くらいが最適といえるでしょう。どれだけ丁寧に行っても、洗濯による羽毛へのダメージは避けられません。洗濯を繰り返すことで、側生地の縫い目が広がったり破れたりすることもあります。
「汚れが目立ってきた」「臭いが気になる」というタイミングで、洗濯するのでも大丈夫です。必要以上に羽毛布団の機能性を損ねないよう、長期保管の前に1度洗濯するようにしてはいかがでしょうか?
ベビー用の場合
赤ちゃんは大人に比べて体温が高く汗っかきです。真冬でもおでこや首まわりにびっしょりと汗をかく子も少なくありません。
そんな赤ちゃんが使うベビー布団は、大人よりもたくさんの寝汗を吸っています。よりまめなお手入れが必要となるため、だいたい「月に2度」を目安に洗濯しましょう。
また、デリケートな赤ちゃんの肌は、雑菌汚れなどにも敏感に反応します。椅子の背などにかけておくだけでも布団の湿気は取りのぞけるため、できるだけ毎日干してあげるとよいでしょう。
羽毛布団のお手入れ方法
年に1度の洗濯だけでは、衛生面に不安が残ります。羽毛への汚れを最小限に食い止めるため、次に紹介する日々のお手入れ方法を実践しましょう。
布団を干し、カバーを洗濯しよう
羽毛布団の大敵となるのが「湿気」です。人は寝ている間にコップ1杯分(約200ml)の寝汗をかき、その3分の1が掛け布団に、3分の2が敷布団に吸収されるといわれています。
寝汗によるカビや雑菌汚れを防止するには、「こまめに干して乾燥させる」のが効果的です。なお、直射日光には殺菌効果がありますが、長時間干すと紫外線によるダメージを負ってしまいます。天日干しは1時間程度にとどめ、後は風通しのよい場所で陰干ししましょう。
また、肌に直接触れる部分は、皮脂や角質などで汚れやすくなります。布団本体の洗濯回数を抑えつつ、清潔に使えるように「布団カバー」を使用しましょう。
何枚か用意しておけば、付け替えだけで天気のよい日に洗濯できます。不測の事態でカバーを汚してしまったときも、すぐに取り換えれば本体への影響は抑えられるでしょう。
自宅で洗って清潔ふかふかに
暖かく軽い羽毛布団は、寒い冬場に大活躍するアイテムです。毎日使うものだからこそ、いつも清潔にしておきたいものですね。
デリケートな寝具ではありますが、一部の羽毛布団は自宅でも洗濯できます。適切なお手入れを続ければ、お気に入りの羽毛布団の寿命も延びるかもしれません。
特に赤ちゃん用布団は湿気がたまりやすいといえます。まめに洗濯や布団干しをして、健やかな眠りを守ってあげましょう。
文・構成/HugKum編集部