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観葉植物の植え替えが必要なのはどんなとき?
観葉植物は、こまめに世話をしていても元気がなくなって見栄えが悪くなったり、さらには枯れてしまうこともあります。
葉や根、土などの様子がいつもと変わってきたら、植え替えのタイミングかもしれません。
観葉植物の植え替えが必要な理由
観葉植物の根が成長し、鉢いっぱいに広がると、根が伸びる空間がなくなり、土の栄養分も不足します。そんなときは、大きな鉢に新しく土を入れ、植え替えをして、水や栄養分をしっかり吸収できるようにすることが必要です。
観葉植物がどのような状況になったら植え替えが必要なのでしょうか。3つのパターンを解説します。
その1.鉢の底から根が出ている
観葉植物の根は、土の中で成長して大きくなり、鉢から出てしまうことがあります。
これは、植物が水や栄養分を吸収できず、根がそれ以上成長できなくなる「根詰まり」の原因になります。
根が鉢から出てきたら、ひとまわり大きな鉢に植え替えましょう。
その2.水の染み込みが悪い
水やりをしても土に水が染み込まなかったり、水はけが悪かったりするときも、植え替えを考えたほうがよいでしょう。
土が古くなって、固まってしまっている、または、根が鉢の中で成長して、水が通りにくくなっていることが原因です。
新しい、軟らかい土に交換し、適したサイズの鉢に替えてあげましょう。
葉っぱの色が薄い
葉っぱの色が、本来の色よりも薄くなっていたり、黄色がかっている場合は、土の栄養分が足りないのかもしれません。
鉢の中の土の量は限られているため、植物が栄養分を吸収してしまえば、土にはほとんど栄養分がなくなってしまいます。
新しい土に替えて、栄養分を十分取れるようにする必要があります。
観葉植物の植え替え時期にふさわしいのはいつ?
観葉植物の植え替えは1~2年に1度がよいと言われています。しかし、種類によって異なるので、育てている植物に合った時期を調べてから行うようにしましょう。
ここでは、一般的な植え替え時期について解説します。
5月〜9月
観葉植物の原産地は熱帯地域が多く、寒さに弱いため、植え替えは、5月〜9月、気温が15度以上になる時期が最適です。
この時期以外は、観葉植物を弱らせたり、枯らせたりしてしまうことがあります。もし植え替えに適した期間を逃してしまったら、無理をせずに次の時期まで待ちましょう。
ベストは6月後半の高温多湿な時期
観葉植物は、気温が上がり、暑くなり始める6月頃から本格的に成長し始めます。また、植え替え後は、乾燥させないように注意する必要があるので、植え替えは湿度が高い時期が向いています。
植物の成長と多湿の時期を考えると、6月後半が適しています。ただし、真夏は成長も鈍くなるので、避けたほうがよいでしょう。
1年に1度
毎年植え替えを行うと、観葉植物にとって最適な環境を維持することができます。小型の鉢の場合、土に含まれる栄養分が1年でなくなることもあります。
十分な栄養分を与えるためには、もちろん肥料を使う方法もありますが、土を入れ替えることも大切です。
可能であれば、毎年植え替えを行うと、元気に育ちます。
観葉植物の植え替え準備
観葉植物の植え替えを行う前には、必要な道具や、植え替える鉢、土を用意します。その際、気をつけたい鉢の選び方や土の作り方などを紹介します。
サイズが大きい場合は、成長を抑える方法もあります。植え替える前にどのくらいの大きさにしたいのか、決めておきましょう。
必要アイテム
観葉植物の植え替えるときには、下記のアイテムを準備しましょう。
・鉢
・新しい観葉植物用培養土
・鉢底ネット
・鉢底石
・移植ゴテ
・はさみ
・根鉢をほぐすのに使う割り箸か棒
「観葉植物用培養土」や「移植ゴテ」「鉢底ネット」「鉢底石」は100均でもそろいます。
観葉植物の種類によっては、樹液でかぶれたりすることもあるので、ゴム手袋や軍手があると安心です。屋内で植え替え作業を行う場合は、ビニールシートや新聞紙を敷いておくと後片付けが簡単です。
鉢のサイズの選び方
観葉植物は、成長を続けて、2、3年で鉢の中が根でいっぱいの状態になります。ひとまわり大きなサイズの鉢に植え替えて、成長を妨げないようにすることがポイントです。
ただし、植物に対して鉢が大き過ぎると、土の量が多くなり、根にうまく栄養分が行き届かないことがあります。
鉢のサイズは、植え替えごとに少しずつ大きくしていくようにしましょう。
土の作り方
観葉植物の種類や日当たり、置く場所などによって土の最適な配合は異なるため、初心者の場合は市販の観葉植物用の土がおすすめです。
自分で作るなら、赤玉土:5、ピートモス:4、バーミキュライト:1の配合がよいでしょう。
サイズを小さくしたい場合
観葉植物の成長を抑えたいときは、根と葉を減らします。根を2分の1ほど切り、葉や茎を3分の1ほど刈り込みます。
根と葉を切ると、水や栄養分の吸収と、葉から水蒸気が放出される作用、光合成などのバランスがとれます。そうすると、ゆっくりと成長していくので、サイズ調整ができます。
その他、1つの株を根から分ける「株分け」でボリュームを小さくすることもできます。「モンステラ」「サンスベリア」「オリヅルラン」などの多年草が株分けに適しています。
事前に大きさをイメージして、鉢のサイズや土の量などを決めておきましょう。
失敗しない!観葉植物の植え替え方法・手順
植え替えを行う際は、1週間ほど前から水やりを控え、土を乾燥させると、作業しやすくなります。
また、植え替えに使う土は、使用済みの古い土ではなく、必ず新しい未使用のものを使ってください。古い土には栄養分が少なく、病原菌や虫が潜んでいることもあります。
初めて植え替えを行うときは、不安に感じることがあるかもしれませんが、手順通りに行えば簡単にできます。ぜひ、チャレンジしてみてください。
1. 鉢から植物を抜く
観葉植物を傷つけないように、株もとを持って、鉢から根と古い土を抜きます。プラスチック鉢の場合は、外側から鉢ごと揉むと土がほぐれて取り出しやすくなります。
根が張っていて抜けない場合は、プラスチック鉢なら、はさみで切る、陶器鉢なら金づちでたたいて出すか、鉢を割ってしまいます。
2. 根から古い土を落とす
枯れた根や古い土を手でほぐしながら、根から土を全体の1/3程度落とします。
土が硬い場合は、そのままでも大丈夫です。根を切らないように気をつけてください。
3. 不要な根を切る
根の先端が傷んでいたり、黒ずんで腐ったりしている場合は、その部分をはさみで切り落とします。
4. 新しい鉢を準備する
鉢底にネットを敷いて、鉢底石を入れます。鉢の深さの1/5〜1/6程度を目安にしてください。鉢底石の上に新しい土を3㎝程度入れます。
5. 観葉植物と土を入れる
新しい鉢に観葉植物を入れて、根と鉢の間に土を入れます。
土を入れる高さは、水やりをしたときに水があふれないような高さまで。10号鉢なら鉢のふちから4㎝ほど下、7号鉢なら3㎝ほど下まで入れるとよいでしょう。
最後に、割り箸などの細い棒で土を突いて、土を均一に鉢に入れます。
種類別・観葉植物の植え替えポイント
観葉植物は、種類によって植え替えのコツが異なります。
ここでは、人気の高い「パキラ」「モンステラ」「ガジュマル」の植え替えのポイントについて見ていきます。
パキラ
パキラは、鉢の中で根を伸ばしたままにしておくと、根詰まりを起こして水を吸わなくなります。水やりをしても土が水を吸わないときは、できるだけ早く植え替えをしましょう。
成長を抑えたい場合は、土を1/3程度落として、同じ大きさの鉢に植え替えます。
モンステラ
モンステラは、名前の由来であるラテン語の「モンストラム(怪物)」の通り、とても大きく育ち、自然の状態では2m以上になることもあります。
成長を抑えたい場合は、植え替え手順の「3. 不要な根を切る」で紹介したように、根を1/2~1/3に切り詰め、葉も茎もいくつか切り落とします。
その際、根を1/2まで切ったら、葉と茎も1/2まで切ってください。そうすると、根が吸収する水分や栄養分の量と、葉から蒸発する水分の量とのバランスがとれて、元気に育ちます。
ガジュマル
ガジュマルは、植え替えをしないと根が成長して鉢が手狭になり、根腐れを起こすので注意しましょう。
植え替えた後は、1~2週間は直射日光を避け、明るい日陰(例えば、木漏れ日がさす場所)に置きます。害虫の発生を防ぐため、窓際や日よけをつけたベランダなど、風通しのよいところを選びましょう。
観葉植物の植え替え後のケア方法
植え替え直後の観葉植物は敏感になっているため、風の当たらない明るい日陰に置き、3日~1週間程度休ませます。
その間の水やりや肥料などについて、気をつけるポイントを紹介します。
水やりは土が乾いてから
観葉植物を休ませている養生期間は、水を吸い上げる力が弱いため、与えすぎると根腐れを起こしやすくなります。水やりは、土が乾いてから行ってください。
肥料は必要なし
根が新しい土にまだなじんでいないので、栄養分を吸い上げる機能が低下しています。そのため、肥料を与える必要はありません。
活性剤を与える
活性剤は、水やりのときに一緒に与えると、植物が枯れにくくなります。使い方は簡単で、規定の量の水で薄め、植え替え後の植物にたっぷり注ぎます。
元気がないときは
もし観葉植物に元気がなくなったり、しおれたりしてしまったら活性剤が効果的です。即効性があるため、すぐに活力を取り戻します。
観葉植物の植え替えを業者に頼んだらどうなる?
観葉植物を植え替えたいけれど、「鉢の数が多くて手間」「観葉植物サイズが大きいので、自分で植え替えるのは大変」という場合には、業者に頼むことを考えてもよいでしょう。
プロに依頼すると、観葉植物へのダメージを最小限に抑えられるだけでなく、育て方やお手入れ方法などのアドバイスがもらえるメリットもあります。
業者を選ぶ際には、サービス内容や料金を細かく確認しましょう。
サービス内容
出張サービスを利用するのか、店頭に鉢を持ち込むのかなど、利用方法によってサービスも異なります。また、店頭に持ち込むサービスでは、自分で好みの資材や鉢を用意できる場合もあります。
事前に、どのようなサービスが受けられるかを確認しておくとよいでしょう。
主な確認ポイント
・出張料金、または引き取り・配達料金
・作業料金
・資材代(土・肥料など)
・追加作業料金(支柱補正などの特別な作業)
・植え替え用の鉢代
相場
5~7号鉢の植え替え料金(出張料を含まず)は、3000円~が相場のようです。鉢のサイズやサービス内容によって価格が決まるので、見積もりを出してもらいましょう。
出張と店頭持ち込みでは価格に大きな差があるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
観葉植物に欠かせない植え替え
植え替えは、観葉植物を生き生きと育てるために欠かせないもの。植え替えの時期が来たり、植え替えが必要な症状が出てきたときは、迷わずに行いましょう。
植え替えは、特に初めての方は難しいと感じるかもしれませんが自分でもできます。もちろん、プロに依頼するのもひとつの手段です。
見ているだけで癒やされる観葉植物。植え替えをしながら、元気できれいな状態を長く楽しんでください。
文・構成/HugKum編集部