まぎらわしい度3<上級> アルパカとラマ
どちらもラクダの仲間の、アルパカとラマ。さて、下の写真の中に、ラマは何頭いるでしょうか?
ええっ、むずかしい…。
【ヒント1】
ラマのほうが、アルパカより速くはしれます。速そうなのはどれでしょう?
【ヒント2】
もこもこしているのがアルパカ。シュッとしているのがラマ。
【こたえあわせ】ラマは、ここにいた!
ちなみに、ほかはみんなアルパカです。ちょっとむずかしかったですね。
アルパカとラマは、ここがちがうんです。
耳
アルパカは短い耳、ラマはウサギのような長い。
腰
ラマは腰の位置が高く足長。アルパカ腰が低く足はラマより短め。
毛
アルパカは長くてふわふわ、ラマは短くてぼさぼさ。
アルパカはこんな動物
アルパカ【クジラ偶蹄目ラクダ科】
分布/アンデス山脈の高地 大きさ/1.2~2m
ラマはこんな動物
ラマ【クジラ偶蹄目ラクダ科】
分布/アンデス山脈 大きさ/1.2~2.3m
アルパカとラマは、こんなふうに見分ける
アルパカもラマも、顔がラクダににていますね。というのもアルパカはビクーニャというラクダのなかまを、ラマはグアナコというラクダのなかまを、家畜にしたものだからです。
ビクーニャはラクダ類のなかではもっとも小さく、きゃしゃな体つきでしたが、上等な毛がとれました。毛を利用しているうちにできたのがアルパカです。
グアナコは体力がありました。足も速くて、走るスピードは時速50㎞以上。そんなグアナコの血をひくラマはがっちりとしていて、荷物を運はこぶのが得意です。毛皮が利用されることもありますが、毛はぼさぼさしています。
でも、アルパカも、毛をかられてしまったらラマそっくりですね。そんなときは耳に注目してください。ラマのほうが耳が長くてバナナみたいなんです。
似ているワケは「収斂進化」というサバイバル戦略
皆さん、動物クイズ、いかがでしたか? 上の過去問ふくめ、全問正解の方はかなりの動物通ですね。お子さんが、ひとつでもわかったら、それはもう「博士ちゃん」と呼んでよいかもしれません。
なぜ、このように、もともと別の種なのに、そっくりな外見や習性を持つ動物がいるのでしょうか。そのカギは動物たちのサバイバル戦略にあります。
動物たちにとって、自分の体こそが生き残るための道具です。樹上ではバランスをとるのに長い尾が役に立ち、水中では流線形の体が便利です。肉食なら鋭い牙が、草食なら茎をくいちぎる前歯が必要です。
そのため、長い時間をかけて自然環境に適応して生き残ったものたちは、もともとが別の種であったとしても、同じような環境で生きてきたことで、よく似た形(キャラクター)と、習性(ビヘイビア)を持つようになるのです。
こうした現象を、動物学の世界では「収斂進化(しゅうれんしんか)」と呼びます。「まぎらわしい動物」に注目することで、進化の不思議を理解することができるのです。
『世界一まぎらわしい動物図鑑』で、もう見間違えない!
『ざんねんないきもの事典』『わけあって絶滅しました。』でお馴染みの今泉忠明先生の、児童向け動物学入門最新刊です。見た目や習性はそっくりでも、実はぜんぜん別種の動物=「まぎらわしい動物」にスポットを当て、進化の不思議を解き明かしていきます。ここでご紹介したアルパカとラマのほか、ジュゴンとマナティ、ヒョウとジャガーなど、全20組ものまぎわらしい動物たちが収載されています。
【おまけ】まぎらわしい「アルパカとラマ」がいる主な動物園
※太字は両方いる動物園です。
※2021年11月22日現在。動物の飼育状況により展示されていない場合もあります。
■アルパカ/釧路市動物園、盛岡市動物公園、那須どうぶつ王国、埼玉こども動物公園、上野動物園、市原ぞうの国、いしかわ動物園、茶臼山動物園、富士サファリ、伊豆アニマルキングダム、和歌山城公園、アドベンチャーワールド、五月山動物園、神戸どうぶつ王国、ときわ動物園、長崎バイオパーク
■ラマ/おびひろ動物園、弥生いこいの広場、大森山動物園、盛岡市動物公園、岩手サファリ、八木山動物公園、宇都宮動物園、那須サファリ、群馬サファリ、東武動物公園、上野動物園、大島公園、市原ぞうの国、夢見ヶ崎動物公園、須坂動物園、富士サファリ、伊豆アニマルキングダム、シャボテン動物公園、豊橋動物園、岡崎動物園、アドベンチャーワールド、王子動物園、姫路セントラルパーク、池田動物園、とくしま動物園、とべ動物園、秋吉台サファリ、大牟田動物園、海の中道動物の森、九十九島動植物園、長崎バイオパーク、九州サファリ、熊本市動植物園、フェニックス動物園、平川動物公園、ネオパークオキナワ
構成/HugKum
協力/『世界一まぎらわしい動物図鑑』編集部