大好きな子の真似をする娘。自分がない子になりそうで心配です
娘が通う幼稚園は、縦割り保育をしています。娘は、1つ年上の年長のYちゃんが大好きなのですが、その子の真似ばかりするので困っています。洋服やお絵かきの絵、話し方など、すべてYちゃんの真似です。本当は自分がしたい遊びも、Yちゃんがやめるとしません。逆にやりたくないことでも、Yちゃんがするとします。子どもだとよくあることかも知れませんが、このままだと「自分がない子」になりそうで心配です。最近は、娘の表情に輝きがないようにも見えます。(年中さんの女の子のママ)
「学ぶ」の始まりは「真似る」こと。そして、「あこがれ」が子どもを育てます。
そんなに大好きであこがれる人をみつけたのは素晴らしいです。どうしてかというと、あこがれが子どもを育てるからです。その子の真似をして、背伸びして、その子のように大きくなりたいという具体的な目標ができたのです。
あなたも小学生くらいの時、女の子の絵が上手な子の真似をしませんでしたか? 中学生くらい時、字がきれいな人の真似をしたりしませんでしたか? 私もやりました。自分から励んで頑張ります。けれど、追いつかないことを悟ったり、頑張るのがきつくなったり、その人と自分は違うと気がついて覚めていきます。
お子さんの表情に輝きがなくなってきたのは、まさに疲れたか覚めてきたかなのではないでしょうか?
「学ぶ」の始まりは「真似る」です。子どもは真似をしていろんなことを学び、できることが増えていきます。群れをなす人間は、こんなことを繰り返しながら、自分らしさを育てていくのではないでしょうか。
私は「あこがれが人を育てる」と思っています。近くのあこがれは身近な人や年齢が少し上で手が届きそうなあこがれ。遠くのあこがれは、もっと先にある一番星のように光っている人。生き方が魅力的な人です。あなた自身はいかがですか?
教えてくれたのは
保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。
イラスト/海谷泰水