文具のコクヨが取り組む、間伐材&廃棄漁網を活かした商品作り【身近なSDGsを発見!】

ノートやコピー用紙など文具を主に扱っているコクヨでは、取扱商品の約7割が森林由来です。「森林資源をたくさん使う会社なので、資源を大切に使っていかなければという気持ちが常にあります」と話すのはサステナビリティ推進室の横手綾美さん。コクヨの森を守る取り組みについてお聞きしました。

 

日本の森林の約4割は人工林。森の健康にするためには間伐が必要です

「2006年に始まった『結の森プロジェクト』は、間伐*1及びその間伐材の利用を目指した森林保全活動です。
日本の森林の約4割は、木材として使うために育てられてきた人工林です。天然林とは異なり、手入れ(間伐)をしなければ荒廃してしまう森なのです。
日本の森林の多くは木々が密集していますが、間伐することで地面に光が差し込み、下草を育み、動植物の多様性が生まれます。間伐を進めることで森が健康になっていくのです。ほかにも、外国の輸入材と比べて、輸送距離が短くなる、原生林の伐採をしなくて済むなどのメリットもあります。
今回、間伐材の有効利用について関心を高めようと、間伐材を使うワークショップを開催しました。社会課題には継続的に取り組みたいと思っています」

横手さん。「ワークショップでは、コクヨの商品を作るときに余ってしまう素材の活用なども行っています」

*1 間伐とは、森林の混み具合に応じて、樹木の一部を伐採し、残った木の成長を促す作業です。間伐を行うと、光が地表に届くようになり、下層植生の発達が促進され、森林の持つ水源涵養機能、土砂災害防止機能、生物多様性保全機能などが増進します。出典/林野庁ホームページ

下草がないと雨が直接地面に当たる。地面が固まり、雨が地表を流れやすくなる。

下草がクッションの役割をし、雨が一度地中にしみこんでからゆっくり流れていく。

間伐材を使って商品をつくっています~高知・結の森プロジェクト

清流として知られる高知県・四万十川の流域にある「結の森」。コクヨはこの森を「四万十町森林組合」と共に管理し、間伐材を使って商品を作っています。間伐を進めることで森林のCO2吸収量を増やし、地球温暖化問題に貢献しています。

▲高知県・四万十川
▲間伐材を使った商品の例

結の森プロジェクトへの取り組みについて

間伐材でフラワーベース作りにチャレンジ!

コクヨの東京品川オフィスを会場に、7月に開催された「パスザバトンマーケット」でのワークショップに、小一モデルの実由ちゃんが参加しました。

材料は間伐材!

「結の森」の間伐材から、特殊な機械で型抜きをします。

やすりがけ、そして色塗り

実由ちゃんが選んだのは「おうち」の形。紙やすりをかけて、アクリル絵の具で彩色します。

 

できあがり!

おうち以外にも丸形や恐竜のデザインがあります。間伐材を身近に飾って意識することができますね。

廃棄漁網を再利用して作ったペンケースを販売中!

近年問題になっている海洋プラスチック。日本の漂着ごみで最大の割合を占めるのは「漁網・ロープ」ということをご存じですか?

コクヨでは廃棄漁網をアップサイクルしたペンケースを製品化。マーケティング担当の奥山由希子さんに聞きました。

アップサイクルとは?

「アップサイクル」とは、本来捨てられるはずだったものに、デザインやアイデアなどの新たな付加価値を加え、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせること。

原料や材料に戻すだけではなく、元の製品とは異なる、さまざまな価値をプラスするという特徴があります。

少しでも海洋ごみを減らすべく、使えなくなった漁網から文房具を開発

「漂着プラごみ全体の約3割を占める漁網は、もともと丈夫に作られており、波で自然分解されにくく、ごみとして海に流れ出ると回収も難しくなります。そこで、使えなくなった漁網から文房具を作り、少しでも海洋ごみを減らしたいと思いました。
海と文具は遠く離れた関係ないもののようですが、だからこそ、普段は海にあまり関心がないという人にも商品を手に取ってもらうことで、問題への意識を高めてもらえると思ったのです。
購入者からは『子どもと社会問題を考えるきっかけになった』などの声が届いています。商品を通して、海洋プラ問題を自分ごととして考えてもらえればと思っています」

奥山さん。「ファスナー部分には実在の魚の模様をデザインし、豊かな海をイメージしてもらえるようにしました」

廃棄魚網から作ったペンケース『ネオクリッツ<From Fishing Nets Recycling>』

回収された廃棄漁網を細かく粉砕し、再生プラスチックのペレットに加工。再生ナイロン糸に生まれ変わります。

再生ナイロン糸を使った生地は、強度試験や有害物質検査などの品質検査を経て、ペンケースのグレーの部分に使われます。

 

『小学一年生』2022年10月号別冊『HugKum』
撮影/高橋枝里 モデル/吉本実由 イラスト/よしだゆう 構成/村重真紀

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1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子ども達各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載しています。

再構成/Hugkum編集部

今回の記事で取り組んだのはコレ!

  • 12 つくる責任つかう責任
  • 14 海の豊かさを守ろう
  • 15 陸の豊かさも守ろう

SDGsとは?

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