竹田城とは、どんな城?
「竹田城(たけだじょう)」が人気の理由は、どこにあるのでしょうか。城の概要と歴史を見ていきましょう。
国史跡に指定された山城跡
竹田城とは、兵庫県朝来(あさご)市内にある山城跡のことです。標高353.7mの山の頂(いただき)に立ち、臥(ふ)した虎を思わせる姿から「虎臥城(とらふすじょう、こがじょう)」とも呼ばれています。
石垣が完全に残っている山城跡は全国でも珍しく、1943(昭和18)年には国史跡に指定されました。高い山の上に石垣が連なる姿は、ペルーの「古代遺跡マチュピチュ」をイメージさせます。
また、この地方では朝霧が発生することがあり、タイミングがよければ「雲海(うんかい)」に城跡が浮かぶ幻想的な風景が見られます。その様子は「日本のマチュピチュ」「天空の城」などと表現され、この貴重な風景を見るために多くの人が訪れるようになりました。
竹田城の歴史と城主
竹田城は、1443(嘉吉3)年頃、但馬国(たじまのくに、現在の兵庫県北部)の守護・山名宗全(やまなそうぜん)が築かせたと伝わっています。以降しばらくの間、山名氏の家臣・太田垣(おおたがき)氏が代々の城主を務めます。
1580(天正8)年、羽柴秀吉(はしばひでよし)に攻められて落城した後は、秀吉の弟・秀長(ひでなが)やその家臣が城主となり、5年後には隣国の播磨国(はりまのくに、現在の兵庫県南部)の領主だった赤松広秀(あかまつひろひで)が入城します。
現在見られる立派な石垣は、広秀が改修・整備したと考えられています。広秀は、養蚕(ようさん)・漆器(しっき)作りの奨励や儒学の普及など経済や文化の発展に貢献し、領民からも慕われていたようです。
1600(慶長5)年の「関ヶ原の戦い」では西軍に加わったものの、敗戦後は、鳥取(とっとり)城を攻撃中の東軍武将に協力して手柄をたてます。しかしこのとき城下町に放火した罪を問われて自刃(じじん)し、その後、江戸幕府の方針により竹田城も廃城となりました。
竹田城跡への行き方
山頂にある竹田城跡には、最寄りの駅や駐車場から歩いて向かいます。電車や自動車でのアクセス方法と、登山ルートを紹介します。
アクセス方法
竹田城の最寄り駅は、JR西日本播但(ばんたん)線の竹田駅です。播但線は姫路(ひめじ)駅からJR西日本山陰線和田山(わだやま)駅までの路線で、竹田駅には姫路駅から1~2時間、和田山駅からは10分ほどで到着します。
自動車で行く場合は、北近畿豊岡自動車道・播但連絡自動車道「和田山IC」で降り、周辺の専用駐車場を利用しましょう。ただし、土日や祝日、雲海のシーズン、夏休みなどは駐車場に入れない可能性もあります。
混雑が予想される時期は、公共交通機関の利用がおすすめです。なお城跡の観覧料は大人1名500円、中学生以下は無料です。
山頂へ向かう方法は5つ
竹田城跡のある山頂へ登るには、竹田駅側から行く方法と、駅とは反対側にある観光施設「山城の郷」から行く方法の二通りがあります。竹田駅や駅周辺の駐車場から登るルートと所要時間は、以下の通りです。
●駅裏登山道:30~40分
●表米(ひょうまい)神社登山道:40~45分
●南登山道:約60分
山城の郷からは「西登山道」で約40分です。バスまたはタクシーに乗って、登山道の途中にある「竹田城跡バス停」まで行く方法もあります。バス停からは徒歩約20分で到着するので、体力に自信のない人におすすめです。
竹田駅からのルートは、いずれも険しい山道ですが、西登山道は舗装されており、登山経験がない人でも歩きやすいでしょう。山城の郷へは竹田駅からバスが出ており、10分ほどで行き来できます。
竹田城跡で雲海を見るには?
竹田城跡に行ったら、雲海を見たいと思う人も多いでしょう。雲海が発生する条件や見どころを紹介します。
雲海が発生しやすい時期や条件を確認
竹田城跡で雲海を見るなら、9~11月に訪れるのがおすすめです。晩秋の方が発生しやすく、10月中旬から11月にかけてがベストシーズンといえるでしょう。
雲海が発生する気象条件は、以下の通りです。
●前日の日中の気温や湿度が高い
●前日の夜に強く冷え込む
●当日の早朝は晴れで風が弱い
●前日の日中と早朝の気温差が10℃以上ある など
条件がそろうと、明け方から午前8時頃までの数時間に限り、下界から切り離されたような幻想的な風景を楽しめます。
雲海予報をチェック
以下のように、竹田城跡の雲海発生確率を公表しているウェブサイトもあります。確実ではありませんが、親子でチェックする習慣をつければ、旅行の楽しみが増えるでしょう。
●朝来市「あさご市ポータルサイトあさぶら」
●三菱自動車工業「雲海出現NAVI」
「あさぶら 観光サイト」では、雲海シーズンになると、毎日「雲海予報」を掲載しています。過去の予想履歴はいつでも閲覧でき、雲海の発生条件を調べる際の参考資料としても使えます。
「雲海出現NAVI」では、常に雲海の出現確率をチェック可能です。全国の雲海スポットや雲海発生の仕組みなどを解説したページもあり、勉強になるでしょう。
立雲峡から見るのもおすすめ
「立雲峡(りつうんきょう)」は、竹田城跡の南東にある朝来山(あさごやま)に設けられた観光名所です。雲海が出る日は、第一展望台から城跡が空に浮かんでいるように見えます。
まさに「天空の城」を目の当たりにできるとあり、雲海シーズンには多くの人が訪れます。竹田駅から立雲峡の駐車場までは、タクシーで約10分の距離です。
駐車場からは40分ほど歩いて、第一展望台を目指します。晩秋・早朝の登山なので、防寒着や懐中電灯、歩きやすい靴などの準備を忘れないようにしましょう。
雲海が見られないときには
気象条件がそろわず、雲海が見られないときに備えて、近隣の観光スポットもチェックしておくと安心です。雲海シーズン以外の旅行や、悪天候で城跡に行けない日にも役立つでしょう。
竹田駅周辺では、情報館「天空の城」がおすすめです。竹田城跡の鳥瞰(ちょうかん)模型や、石垣を原寸大で再現したジオラマ、城跡からの出土品などが展示されているほか、パズルゲームやクイズなどで遊べます。
竹田駅から足を延ばし、「生野銀山(いくのぎんざん)」に立ち寄ってもよいでしょう。生野銀山は室町時代から採掘が本格化し、昭和まで続いた国内有数の大鉱山です。
現在は観光施設として整備され、坑道や採掘場を見学できます。資料館やミュージアム、レストランもあり、天候に関係なく楽しめるでしょう。
竹田城跡で歴史と自然を感じよう
竹田城が廃城となってから、すでに400年以上が経っています。どのような建物があったのか、どうやって大きな石を山頂まで運んだのかなどの記録は残っておらず、多くは謎に包まれたままです。
しかし謎が多い分だけ、その姿は、より神秘的に映るのかもしれません。当時の人の気持ちになりきって山道を登ってみるもよし、雲海を目指して出かけるもよしです。歴史と自然を感じに、家族で竹田城跡へ出かけてみましょう。
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構成・文/HugKum編集部