ガラナとは?
全国各地には、その地域のみで親しまれているご当地グルメ(ご当地ドリンク)があります。ガラナは、北海道で独自の発展を遂げてきたご当地ドリンクのひとつ。北海道ではよく知られているのに、北海道外の人にとっては未知のドリンクかもしれません。そんなガラナについて、くわしく見てみましょう。
ガラナの歴史
ガラナが生まれたのは昭和33年(1958年)と、今から60年以上も前のことです。どんな歴史をたどってきたのでしょうか?
①コーラ対策として
ガラナが誕生した昭和30年代は、炭酸飲料にはラムネやソーダが一般的だったころです。同じころにアメリカでコカ・コーラが大ヒットし、アメリカの国民的飲料となっていました。そして数年以内に「コカ・コーラが日本にも上陸するだろう」といわれていたのです。
アメリカで旋風を巻き起こしたコカ・コーラが日本でも発売されれば、日本のその他の飲料は大きな影響を受けかねません。そこで全国清涼飲料協同組合連合会が「コカ・コーラに負けないドリンクを作ろう」と考えられたのがガラナだったのです。
②コーラ上陸によるガラナ撤退
昭和36年(1961年)に、コカ・コーラの日本での製造販売が本格的に始まりました。すると、多くの人が予想した通りコカ・コーラの人気が爆発し、それまであった清涼飲料水の多くが、売上の面で大きな影響を受けてしまったのです。
ガラナが販売されたときは北海道限定ではなく日本全国が対象でしたが、だんだんとコカ・コーラ人気に押されてしまい、ガラナの販売から撤退するところが出てきたのです。
③北海道でガラナが再定着
本州でガラナの販売が軒並み撤退に追い込まれる事態になったのに、なぜ北海道ではその影響を受けなかったのでしょうか? それは北海道でのコカ・コーラの販売が、本州よりも遅れたからです。
当時はまだ物流網がしっかり確立されていませんでした。青函トンネルはなく、空輸もまだ発達していなかったため、ガラナを北海道まで流通させるのが難しかったのです。
ようやく北海道でガラナが販売されたのは、本州での発売から3年もたったころです。その間に北海道ではガラナがすっかり定着し、コカ・コーラの販売がいよいよ始まっても、コカ・コーラ人気に押されることなくガラナが生き残ったのです。
ガラナにはどんな栄養や効果がある?
では、ガラナの中身について見てみましょう。栄養成分や効果に、どんなことを期待できるでしょうか?
栄養成分
ガラナは小原というメーカーの「コアップガラナ」をはじめ、さまざまなメーカーが製造しています。そのため、それぞれのメーカーによってガラナの栄養成分などに違いがあります。
ここでは、小原の「コアップガラナ」について見てみましょう。「コアップガラナ」の主原料は果糖ぶどう糖液糖で、そこにガラナエキスを加えています。
ガラナの効果
ガラナのルーツとなっているのが、ガラナと呼ばれる植物です。アマゾン川流域の熱帯地方に生息するつる植物で、ブラジルでは強壮剤や疲労回復剤として広く使われています。
ドイツの植物学者がアマゾンを訪れた1648年、現地のマウエス族という長寿民族が、ガラナの種子を利用していたのだとか。
そんなガラナの種子の成分に着目して生まれたガラナには、天然のカフェインが豊富に含まれています。体の各器官の働きを助け、疲労回復やスタミナ増強する効果があると考えられています。
集中力アップ
ガラナのカフェインの働きによって、高い集中力を維持できるのがガラナの効果です。眠気や疲れを吹き飛ばし、脳を刺激して覚醒させ、仕事や勉強の集中力を高めて維持できます。
リラックス効果
私たちは、同じ姿勢のまま長時間でいると血流が悪くなります。それによって全身に酸素やエネルギーが行き渡りにくくなるため、疲れを感じやすくなります。ガラナには、血液を送り出す心臓のポンプの働きを向上させて、血流をアップさせる効果があるといわれています。全身に酸素やエネルギーがいきわたるため、疲労回復やリラックス効果が期待できるのです。
またガラナに含まれるテオブロミンという成分は、幸せ感を得やすい脳内物質で、通称「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌を促す働きがあります。そのため、ガラナを飲むと副交感神経が優位に働き、リラックスしやすくなるといわれているのです。
アンチエイジング効果
ガラナにはサポニンという成分が含まれています。これは、抗酸化作用や血流改善などが期待できる成分です。ガラナを飲むことで、アンチエイジング効果があると考えられています。
またサポニンの働きによって、血管壁にあるコレステロールが除去され、免疫力アップも期待できます。
ガラナはどんな味?特徴は?
気になるのが、ガラナの味わいでしょう。コカ・コーラに対抗するために生まれたガラナですが、味はコカ・コーラとどう違うのでしょうか?
ガラナの味わい
ガラナの味はまろやかで、甘さは程よくすっきり。酸味は抑えめで、炭酸はやや強めです。シュワシュワッとはじける泡と、爽快でキレのある後味を楽しめます。
「味にクセがある」ともいわれますが飲みやすさもあり、氷を入れたグラスに注いで飲むとさらに爽やかな飲み心地を堪能できます。
コーラとの違い
ガラナはコカ・コーラに対抗するドリンクとして作られているため、黒っぽい見た目や炭酸がきいているところなど、コーラに似ている点が数多くあります。ただし味については、コーラよりもエナジードリンクに似ているといわれます。
各メーカーから販売されているガラナの種類によっても異なりますが、甘味を加えているものも多いため、「コーラに似た飲み物」と思って飲むと、最初は違和感をおぼえるかもしれません。
ガラナはどこで買える? おすすめ商品を紹介
北海道でおなじみのガラナは、いったいどこで購入できるのでしょうか?
ガラナが買える場所
北海道でガラナを買えるのは、スーパー、コンビニ、自動販売機などです。たいていの店で、ドリンクコーナーにはガラナが置かれています。
とくにチェックしたいのは、北海道限定で展開しているコンビニ「セイコーマート」です。ここにはガラナ以外にも北海道限定の味がたくさんあるので、ぜひ立ち寄ってみましょう。
おすすめのガラナを紹介!
では、おすすめのガラナをいくつかご紹介します。
コアップガラナ
北海道の小原が作っている「コアップガラナ」は、ガラナのなかでも定番中の定番。函館市近郊にそびえる横津岳の天然水を使用し、甘味料には北海道のじゃがいもを主原料とした果糖ぶとう糖を使用するなど、地元の素材を使っています。
Secoma(セイコーマート)ガラナ
北海道で展開するコンビニ「セイコーマート」、通称「セコマ」のガラナです。セコマは北海道のご当地グルメの宝庫ですから、ガラナと一緒にそれらもチェックしてみましょう。
キリンガラナ
大手ドリンクメーカーのキリンが手がけたガラナが、キリンガラナ。甘さ控えめですっきりとした味です。
ガラナアンタルチカ
ガラナの植物が生息するブラジルを中心に販売されているのが、ガラナアンタルチカ。ブラジルで圧倒的な人気を誇るドリンクです。
北海道のソウルドリンク「ガラナ」を味わってみよう
北海道のご当地ドリンク、ガラナ。コカ・コーラの上陸が本州より遅れたことで、現地で定着した飲み物です。
コカ・コーラに対応するために作られたという歴史を見ると、各メーカーが工夫をこらして製造していることがわかります。北海道ではドリンクのほかに、ガラナ味のグミなどもありますから、北海道を訪れた際はぜひチェックしてみてくださいね。
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構成・文/HugKum編集部