不要な子供服は寄付しよう!
子ども服は、すぐにサイズアウトになってしまいます。次から次へと買い足していくと、すぐに大変な量になってしまいますよね。兄弟姉妹で着回しもできますが、子育てが終わると、ほとんど新品に近い状態で衣類がたくさん残ってしまうケースも少なくないはずです。
そこで今回は、不要な子ども服の寄付についてまとめました。子ども服を「捨てるのはもったいないな~」「でも、友だちにあげるとなると、タイミングとか汚れとかいろいろ気になって、それはそれで気を使うんだよな~」という方は、ぜひともチェックしてくださいね。
アフリカなどの海外に行くの? 不要な子供服を寄付した後の話
子ども服の寄付というと、なんとなくイメージとしてアフリカなど発展途上国に送られ、現地に人に役立ててもらえるような印象があります。
もちろん、イメージ通りアフリカをはじめ、東南アジアなど各国で困っている子どもたちに寄付した衣類が届けられるケースもあります。例えば現地の孤児院のような場所に直接洋服が届けられるケースもあれば、寄付した子ども服が何らかの形で換金(例えば現地のリサイクルショップで販売)され、その換金額(の全額、または一部)が子どもたちを支援する団体に寄付されるといった形もあります。
ただ一方で、国内で役立てられるケースもあります。厚生労働省の『国民生活基礎調査』によると、2015年(平成27年)の日本における子ども貧困率は13.9%。子どもとは17歳以下で、その年齢の子どもたちの約7人に1人が、貧困と言われる暮らしを送っていると分かります。彼ら・彼女らに直接服が送り届けられたり、転売などで換金されたお金が役立てられたりするのですね。
子供服を寄付したことのあるママパパ体験談
HugKum編集部では、子供服を寄付したことがあるママやパパにアンケートで体験談をお聞きました。まだ着られる服が役に立つのは嬉しいですよね。いつもお世話になっている施設に恩返しのつもりで利用した方もいらっしゃいました。
寄付の流れや注意点
寄付の流れは、寄付する団体によって異なります。大まかに言って手順は次の通り。
- 寄付する団体、寄付の方法を選び、申し込みをする
- 程度のいい子ども服を、紙袋や段ボール箱などに荷詰めする
- 自分で郵送する、もしくは所定の場所に持ち込む
- 寄付した子ども服が査定(換金)される場合は、寄付額を決定する
といった流れになります
寄付は無料? 送料は着払い?
寄付と聞くと、子ども服を無料で誰かに寄贈できるという印象があるかもしれません。しかし、多くの場合で、子ども服の寄付には何らかのコストが発生します。
代表例は送料。荷詰めした子ども服を寄付先の指定する場所に送り届ける際の送料は、基本的に寄贈者(寄付をする人)の負担になります。衣服を直接持ち込めるような団体でも、海外への送料分を寄贈者(寄付をする人)が負担しなければならないといった場合もあります。寄付先は「余分な子ども服を無料で引き取ってくれる」便利屋では基本的にないと注意しておきたいです。
名前入りの服でも大丈夫?
保育所や幼稚園などに通う際に着させていた服には、名前が書かれている場合がほとんどだと思います。名入りの子ども服は、例えば古着を買い取ってくれるリサイクルショップだと、受け付けてもらえませんよね。
子ども服の寄付においては、記名について、寄付する団体次第によって見解が異なります。名入りを含めて何でも受け付けてくれる団体もあれば、原則的に記名の子ども服を受け付けない団体、アイロンテープで隠すなどちょっとした対処をすれば、受け付けてくれる団体もあります。
学校指定の制服を受け入れる団体もあれば、新品であっても制服は受け付けないといった団体もあります。具体的な寄付先を絞り込む段階で、名前入りの服が寄付可能かどうか、どのような対処をすれば受け付けてくれるのか、しっかりと確かめたいです。
寄付できる服・できない服
子ども服と一言で言っても、コンディションはさまざま。新品同様の子ども服から、食べこぼしの染みが目立つ子ども服、転んで破れている子ども服までいろいろです。寄付を受け付ける団体は、どういった子ども服を受け入れ、どういった子ども服を受け入れないのでしょうか。
目安としては、
「受け取る、次に着る子どもが気持ちよく着られるかどうか」
が1つの判断基準になるようです。子ども服を活用した寄付プログラム「こども服みらいファンド」の提供会社であるキャリーオンの公式ホームページには、「お送り頂けるもの」として、
<次に着る方が気持ちよく着られる状態>(「こども服みらいファンド」のホームページより引用)
と書かれています。
<フリーマーケットやバザーで販売されているような品物>(いいことシップのホームページより引用)
といった基準も,1つの参考になるはず。汚れがひどい、ボタンがない、穴があいている、毛玉がひどい、不快な臭いがある、劣化や縮みが著しい、虫食いや汗染み・黄ばみがあるなどの衣類は、フリーマーケットやバザーで売りに出しても売れません。それらの服を、わが子に着せたいかと考えてみてもいいのかもしれません。
また、当然の話として、盗品や偽造ブランドなど法律に反する衣類、ワシントン条約(絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引に関する条約)に記載されている野生動植物を使った衣類(毛皮など)なども、受け付けてもらえません。下着類などの消耗品についても、受付を認めない団体も存在します。要注意ですね。
東京や大阪など大都市で、持ち込み可能な子ども服のお勧め寄付施設や団体
それでは具体的に、子ども服の寄付を受け付けている団体には、どういった場所があるのでしょうか。
こども服みらいファンド
子どもの貧困問題を解消する目的を持った「子供の未来応援国民運動」をご存じでしょうか。その一環として「子供未来応援基金」が存在し、企業や個人からの寄付金を、子どもの貧困を解消したいと活動する団体に助成する事業が行われています。国民運動推進事務局が主導し、福祉医療機構が管理、内閣府や文部科学省、厚生労働省などがPR活動などで支援を行っています。
この基金への寄付の1つとして、子ども服の寄付(子ども服の査定額を基金に寄付)があります。その窓口になってくれる場所が、株式会社キャリーオン(東京都)の提携する『こども服みらいファンド』になるのですね。
同ファンドは、譲った洋服の査定額分(買取金額分)が、基金への寄付になります。結果として貧困に直面する子どもたちを支援するNPOや民間団体に、資金的な支援が向かうのですね。ただ、こども服みらいファンドは、持ち込みが不可。送料を各自が負担する必要があります。
日本救援衣料センター
1982年から存在する特定非営利活動法人(大阪府)の活動になります。寄付を希望する人が紙袋や段ボールに子ども服を入れて、日本救援衣料センターまで送り、プラスして海外への輸送費も寄付金として支払うシステムになります。
日本救援衣料センターの側は、寄付者からの衣類を仕分けし、梱包(こんぽう)して一時保管し、海外からの衣類支援要請があった段階で送り届ける仕組みとなっています。
ただ、日本救援衣料センターの場合は、衣料収集会場が不定期で全国に用意されます。タイミングとロケーションが合えば、持ち込みも可能なのですね。
いいことシップ
子ども服、ベビー服以外にも、さまざまな不用品を受け付けてくれる団体になります。さらに、寄付先を自分で選べるというユニークさも魅力的です。
<寄付の実績を公表している唯一の団体です>(いいことシップのホームページより引用)
とあるように、情報の公開も徹底している団体ですから安心ですよね。
事前の申し込み不要で、子ども服を段ボール箱に詰めて送れば、1箱につき100円が指定団体に寄付される仕組みになっています。いいことシップが国内外で衣類を寄付、または再販をして、1箱100円分の寄付額を捻出(ねんしゅつ)する仕組みです。
寄付者の負担は送料だけ。さらに、いいことシップの場合は、横浜、大阪、南大阪、神戸、札幌に集荷センターがあります。事前申し込みをすれば、直接荷物を持ち込みもでき、持ち込みの場合は荷物の送料まで無料になりますから、実質0円で子ども服だけを寄付できるサービスと言えます。
送料無料で持ち込めるその他の団体は?
子ども服を持ち込んで、送料を無料にできる団体を紹介しましたが、現実的には送料のかかる寄付先がほとんどです。身近に先ほどの団体などがない場合、どうすればいいのでしょうか。
沖縄、札幌などの地方都市こそ、乳児院や児童養護施設は候補になる
身近な場所で考えるなら、地域の乳児院や児童養護施設も候補に入ります。十分に衣類がそろっているケースもあり、常に持ち込めるとは限りませんが、乳児院などが子ども服の寄付を広く募る場合もあります。
その意味で、一度、身近な場所にある乳児院や児童養護施設に寄付のニーズはないか、ホームページで情報をチェックする、または電話で問い合わせてみるといいかもしれません。
H&Mでも回収してくれる
乳児院や児童養護施設では、寄付のニーズが常にあるとは限らないと述べました。身の回りに子ども服を持ち込める場所がない場合、寄付とは違いますが、スウェーデンの大手ファッションブランド『H&M』に回収してもらう手もあります。
H&Mにはブランドに関係なく、靴、レザーアイテム、金属類を除いて、古着を店舗で回収してくれるシステムがあります。古着は新商品の再生産に有効活用されるため(誰かに寄付されるわけではないため)、貧困層の支援にはなりませんが、捨てるよりは気持ちが楽になる人も少なくないはずです。
日本でも様々な地域に店舗展開を広げているH&Mなら、気軽に送料無料で持ち込める距離に、出店している可能性も高いはず。寄付とは全く違う発想ですが、1つの選択肢として頭の中に入れておきたいですね。
文・坂本正敬 写真・繁延あづさ
【参考】