離乳食の手づかみ食べはいつから? 進め方やおすすめの食材&レシピを紹介

離乳食が進むと聞こえてくる「手づかみ食べ」と言う言葉。その言葉の通り「手でつかんで食べ物を食べる」食べ方なのですが、いつから手づかみ食べをするの? なぜ手づかみ食べをする時期があるの? 離乳食インストラクターの中田馨さんに、手づかみ食べの進め方や手づかみレシピについて解説してもらいました。

離乳食の手づかみ食べとは?

手づかみ食べのメリット

赤ちゃんに食べるのをまかせると食卓は大惨事!  どうしても「後のことを考えるとちょっぴり億劫だな…」と思ってしまうのは、長年保育士をしている私だって同じです。でも、そう考える以上に手づかみ食べの魅力が分かっているから取り入れてほしいなと考えます。

大人にとって手づかみで食べることは簡単にできる動作ですが、赤ちゃんにとっては難しいもの。「目で見て位置を確認し、触ってつかむときの力加減を考えて適切な力でつかみ、口に運ぶ」と言った一連の流れがあります。これは目と手と口の協調運動です。そんな手づかみ食べのメリットは、

1.手指の運動機能が発達する

2.「自分で食べたい!」意欲の増進

3.自分にとって適度な一口量を学べる

などあります。

手づかみ食べは、手で食材の形を確認することで力のコントロールが学べます。にんじんは力強く握っても崩れにくいですが、同じ力で豆腐を握ると豆腐はすぐに崩れてしまいます。温かい食べ物は温かく、冷たい食べ物は冷たさを感じられるので感覚機能も発達させることにつながります。

保育現場で見ていると、手づかみ食べを十分にしてきた子は、その後のスプーンやお箸への移行がスムーズです。逆に、あまりしてこなかった子はスプーンで食べるのが難しく感じる傾向があります。また、手づかみ食べを十分にした子の方が食事に意欲的です。食べた後の片づけが大変な手づかみ食べですが、赤ちゃんの成長のためにぜひ取り入れてほしいと思います!

もし、食卓周りが汚れるのが気になるなら、椅子の下にはレジャーシートを。エプロンはポケットがしっかりしているものを選び、いつでもふき取れるように濡れ布巾をそばに置いておくだけで、片付けのストレスが軽減されます。

離乳食の手づかみ食べはいつから?

開始時期は離乳食後期頃

手づかみ食べが始まる時期は、9カ月~11ヶ月の離乳食後期ごろです。積極的に手づかみしようとする子もいれば、食材の感触が嫌で、なかなか手づかみをしようとしない子もいます。「手づかみをしたい!」という子には積極的に手づかみをさせてあげ、苦手な子には無理強いせず、赤ちゃんのペースに合わせて進めていきましょう

手づかみ食べの開始時期のサイン

月齢以外にも、

・一人で椅子に座って離乳食を食べられるようになった

・モグモグと口を動かして食べている

・離乳食に興味を持って手をのばすようになった

・親指と人差し指で細かいものをつまめるようになってきた

・離乳食がその子なりに順調に進んでいる

このような姿が見られたら、そろそろ手づかみ食べをするサインです。

手づかみ食べの進め方

まずは、にんじん、大根、食パンからスタート

まずは崩れにくく、つかみやすい食材からスタートします。例えば軟らかく煮たにんじん、大根。食パンなどもつかみやすいでしょう。

慣れたら野菜はスティック状、お焼きに

手づかみ食べに慣れてきた離乳食後期の後半ごろには、野菜は1㎝厚さ×3~4㎝の長さのスティック状や、小判型のおやきにしてみましょう。前歯でかじり取って徐々に一口量を覚えていきます。

詰め込みに注意して

まだこの時期の赤ちゃんは、自分にとっての適当な一口量を知りません。ですので「これ美味しい!!」と思ったら、つかんだすべてを口の中に詰め込んでしまいます。詰め込んだらどうなるかと言うと、飲み込めませんね。のどに引っ掛ける原因になります。食事時間はこの先幼児さんになっても同じですが、必ず大人がそばで見守りましょう。

手づかみ食べはいつまでする?

手づかみ食べは、幼児期まで続きます。離乳食完了期から徐々にスプーンなどの食具を使って食べるようになりますが、スプーンと手づかみが同時進行する時期がしばらく続きます。幼児期に入ると、これまでスプーンで食べていたのに突然、手づかみし始める子もいます。そんな時は「お姉ちゃんなんだから、手づかみはバッチイよ」なんて声掛けをするのではなく、「スプーンも使ってみようか」と、親がして欲しい行動を言葉にして伝えます。

手づかみ食べにおすすめの食材

野菜

野菜を手づかみ食べする場合は、大根、にんじん、じゃがいも、さつまいも、里芋、かぼちゃ、ブロッコリー、アスパラガス、もやしなどがおすすめです。歯茎で噛めるくらいの固さにゆで、5㎜角、慣れてきたらスティック状にして与えます。

果物

ほとんどの果物が、手づかみ食べにおすすめです。これまで経験したことのある果物は、加熱する必要はなく、清潔なまな板と包丁で5㎜又はスティック状に切ります。

主食

軟飯が食べられるようになると、おにぎりも食べられます。また食パンを5㎜に切っても食べられます。

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手づかみ食べをしない子への対処法

手づかみ食べしやすい献立か

もしかすると、手づかみしにくいメニューなのかもしれません。例えば、手がベタベタするのが「なんだかいやだな」と感じているかもしれません。手がべたつきにくい食パンなどから徐々にスタートしてみましょう。

固さや大きさを見直す

手づかみするには、小さかったりやわらかすぎることもあります。例えば大きさがみじん切りだったり、メニューが豆腐だったり。豆腐は大人でもつかみにくいものです。メニューの固さや大きさも見直してみましょう。

あそびの中でさまざまな感触のものを触ってみる

手づかみ食べが嫌な子に食事の中で「手づかみしてほしい!」と思いをぶつけていると、食事自体が億劫になってしまう可能性もあります。ですので、普段の遊びの中で、さまざまなものを触る経験を積んでいきましょう。例えば、砂、葉っぱ、小麦粉粘土、米粉、寒天などなどです。

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手づかみ食べにおすすめのレシピ

ここからは、手づかみ食べ向きの具体的なレシピをご紹介します。

離乳食後期 野菜スティックのヨーグルトディップ

いつもの野菜スティックを少しおしゃれに、ディップをつけて食べてみましょう!

<材料>

にんじん 15g
大根 15g
ヨーグルト 30g
味噌 1g

<作り方>

・にんじんと大根は皮をむいてスティック状に切る

1.にんじんと大根を軟らかくなるまでゆがく

2.ヨーグルトと味噌を混ぜ合わせてディップを作る

3.軟らかくなった野菜に2を添える

離乳食後期 ツナと青のりのおにぎり

大人が食べてもおいしい、混ぜごはんのおにぎりです。

<材料>

軟飯 50g
ツナ水煮缶 5g
青海苔 少し

<作り方>

1.軟飯にツナと青のりを混ぜ入れる

2.一口サイズのおにぎりにする

離乳食完了期 手づかみきな粉パン

きな粉がついているので、周りは汚れますが、私が関わっている保育所でも子どもたちに大人気のレシピです。子どもたちは大喜びで豪快に食べています!

<材料>

食パン 30g
きな粉 5g

<作り方>

1.食パンを棒状に切る

2.きな粉をまぶす

離乳食完了期 チーズ入り米粉のおやき

米粉を豆乳と混ぜて焼くだけ簡単、米粉のお焼きです。

<材料>

米粉 20g
豆乳(牛乳) 40ml
チーズ 3g
青のり 少し

<作り方>

1.材料をすべて混ぜ合わせる

2.フライパンに1を入れて弱火~中火で両面をじっくり焼く

離乳食完了期 かぼちゃヨーグルトのロールサンド

かぼちゃをヨーグルトでクリーム状にした甘酸っぱいロールサンドです

<材料>

食パン(10枚切り)1枚
かぼちゃ 10g
ヨーグルト 15g
きび砂糖 一つまみ

<作り方>

1.かぼちゃを湯がいてつぶし、ヨーグルトを混ぜる

2.食パンの耳を切り1を表面に薄く塗る

3.クルクルとロールにする

離乳食完了期 焼きバナナ

焼いたバナナはとろとろに。甘みも増すのでぱくぱく食べてくれますよ!  最後にふりかけたきなこがバナナの水分を吸って、しっとりとしてから与えましょう。

<材料>

バナナ 1/2本
きなこ 少々

<作り方>

1.皮ごとのバナナをアルミホイルで包み、15分焼きます。

2. 1/2本を一口サイズにして、きなこをかけます。

3. きなこがバナナに馴染んだらめしあがれ。

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冷凍保存できる手づかみ食べレシピ

赤ちゃんが食べる量はほんの少しなので、毎回一食ずつ作るのはたいへんかもしれません。ここでご紹介するレシピは冷凍保存もできるので、多めに作ってもムダにしないですみますよ。

離乳食後期 にんじんの豆乳フレンチトースト

<材料>

食パン
豆乳 30ml
にんじん 15g

<作り方>

・にんじんをすりおろす

1.ボウルににんじんと豆乳を混ぜ入れ、食パンの両面に塗る

2.フライパンで両面じっくり焼く

離乳食完了期 鶏肉団子の甘酢あん

<材料>

*多めに作って冷凍する量

かつお昆布だし 100ml
鶏ひき肉 200g
れんこん25g
しいたけ25g
ほうれん草25g
片栗粉大1

(あん)

しょう油 小1
きび砂糖 小1
片栗粉 小1/2
肉団子を煮た煮汁 30ml

<作り方>

・レンコン、しいたけはみじん切りにする

・ほうれん草は下茹でしてみじん切りに

1.鶏ひき肉をよくこね、野菜と片栗粉を入れ混ぜ合わせて団子にする

2.鍋にかつお昆布だしを沸騰させ1を入れる

3.弱火にしてフタをして中まで火を通す

4.別の鍋で材料を小鍋に入れて「あん」を作り、団子にかける

離乳食完了期 鶏ささみとじゃがいものおやき

おかずとして食べるおやきです。離乳食完了期からOKのメニューです

<材料>

鶏ささみ 5g
じゃがいも 25g
ブロッコリー 5g
卵 10g

<作り方>

1.鶏ささみは湯がいて細かく切る

2.じゃがいもは湯がいてつぶす

3.ブロッコリーは湯がいてみじん切りにする

4.1,2,3と卵を混ぜ合わせて形作り、フライパンで両面焼く

離乳食後期 カンタンしらすのお好み焼き

とってもカンタンにお好み焼き風のお焼きを作ります。月齢に合わせて食べる前に切りましょう。

<材料>

しらす 5g
キャベツ 15g
小麦粉 15g
牛乳 15ml
卵 5g

<作り方>

・しらすは塩抜きする

・キャベツは千切り又はみじん切りにする

1.すべての材料を混ぜ合わせる

2.フライパンに流し入れて両面を焼く

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まとめ

手づかみ食べは、急に上手になるものではありません。まずはママパパの心と時間に余裕がある1日のうちの1食からスタートしてみましょう。

 

記事執筆

中田馨|離乳食インストラクター

一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事。中田家庭保育所施設長。現在13歳の息子の離乳食につまづき、離乳食を学び始める。「赤ちゃんもママも50点を目標」をモットーに、20年の保育士としての経験を生かしながら赤ちゃんとママに寄り添う、和食を大切にした「和の離乳食」を伝えている。保育、講演、執筆などの分野で活動中。自身が開催する離乳食インストラクター協会2級・1級・養成講座はこれまで2500人が受講。

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