子供がうそをついたとき、親はどう対処したらいいの?
叱るのではなく「うそをつかせない」対応を
子供の「うそ」は、大きく3種類に分けられます。1つめが、空想の世界を口に出すこと。2つめが、身近な大人の気をひこうとするもの。3つめが、「叱られたくない」という思いから、思わず言ってしまうものです。
子供がなぜうそをついたのかを考える
1つめの「空想の世界を口に出す」は、想像することを楽しんでいるだけで、うそをついているわけではありません。叱ったりせず、子供の世界を大切にしてあげましょう。
2つめの「大人の気をひこうとするうそ」は、さびしさからのもの。ここ数日の子供の様子や、自分たちの子供への接し方を振り返ってみます。
子供と過ごす時間は十分でしたか? 子供の様子に、普段と違うところはありませんでしたか?
仕事や家事で忙しいこともあるでしょうが、大人が「心ここにあらず」という状態だと、子供はそのことを敏感に感じとります。子供と接するときだけは他のことに気をそらさず、しっかりと向き合うようにしてください。
3つめの「叱られたくない、という思いからのうそ」とは、自分がしたことを「していない」と言ったりするようなもののこと。こうした単純なうその多くは、日頃の親の対応や本人の気質が原因となっています。
「うそをついてはダメ!」と叱るのはNG!
「できること」を「よいこと」とする雰囲気の中で育った子や、もともと繊細で心配性な子は「失敗は許されない」と思ってしまうことがあります。すると、うっかりおもちゃをこわしてしまったときに「私がこわしちゃった」と言うことができません。失敗したせいで大好きな親に嫌われるかもしれない、と怖くなるからです。そして、嫌われたくない一心で、失敗を隠そうとするのです。
こうしたうそに気づいたとき、「うそをついてはダメ!」などと叱るのは逆効果です。うそをついたことで、子供はすでに苦しい思いをしています。ですから、だれがしたのか、なぜこうなったのか、などと問い詰めるのは避けます。そして、「そうなんだ」「まあ、こんなこともあるよね」などとサラリと流しておきましょう。
こうした体験は、子供に「失敗しても大丈夫」と気づかせます。そして、失敗のせいで親に嫌われることはない、と確信できれば、叱られないためのうそをつくことはなくなるでしょう。
子供に「うそ」はいけないと伝える方法は?
うそをうそにしない「あいまいな場所」も必要
子供のうそに気づいたときは、叱ってやめさせるのではなく、親子のかかわり方などを見直して「次にうそをつかせない」ことを考えます。また、ときには「よい・悪い」などとものごとをはっきり分けない「あいまいな場所」もないと、子供が苦しい思いをします。「うそは絶対にいけない」と堅苦しく考えず、ときには「そう来たか!」「それもアリだね」などとユーモアをもって受け止め、「うそをうそにしないでおくこと」も大切です。
うそをつくのがよくないことを教えるなら、うそをついたときではなく、一緒に絵本やテレビを楽しんでいるときが最適。ストーリーに絡め、「うそをつくと友だちが悲しむね」「あとで自分が困っちゃうね」などと伝えてみてください。
教えてくれたのは
乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事。東京家政大学短期大学部保育科を卒業。東京家政大学ナースリールーム主任、東京家政大学・同短期大学部非常勤講師を42 年務める。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。
イラスト/小泉直子 構成/野口久美子 めばえ2018年07月号
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。