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赤ちゃんの「ずりばい」とはどんな動き?
ずりばいとは、うつぶせの状態で頭をあげ、腕や足を使って前や後ろに進むことです。簡単にいうと、匍匐(ほふく)前進のような動きのことをいいます。これは、首すわりが完成し、うつぶせの状態になることや寝返りすることに慣れたら見られるようになる動きです。
ずりばいする理由
赤ちゃんがずりばいすることで、どのような影響があるのでしょうか。その主な理由を3つ説明しましょう。
体の機能の発達
ひとつ目は、体の機能面です。ずりばいでは、腕、脚、腰などの筋肉、体幹、握力などを使います。そのことから、体の使い方を知り、運動機能が鍛えられるのです。また、ずりばいをすることで血流がよくなり、心肺機能を高める作用もあるといわれています。
脳と心の発達
ふたつ目は、脳と心の発達です。ずりばいによってあちこち動き回ることにより、嗅覚や聴覚、視覚などを司る脳が刺激されます。そうすると、脳は多くの情報を処理しなければならないため、活性化が促されます。
また、赤ちゃん自身の意思で自由に動けることで好奇心が満たされ、情緒が安定します。そして意欲や自我が生まれるきっかけとなるとされています。
生活リズムが整う
3つ目は、生活リズムが規則的になります。これは、ずりばいによって運動量、刺激量が増え、以前より食欲や睡眠欲を感じやすくなるためです。このことにより、食事や睡眠などの生活リズムが定まってきます。
ずりばい→お座り→ハイハイ
赤ちゃんは、ずりばい→お座り→ハイハイといった段階を経て、歩けるようになります。ですが、これはあくまでも一般例。赤ちゃん一人ひとりの発達スピードは異なりますから、個人差があることを知っておきましょう。
ずりばいはいつからいつまで?
ずりばいをする時期はいつごろからいつまでなのでしょうか。ここでは一般的な時期をご紹介します。
一般的には8ヶ月前後からハイハイまで
赤ちゃんがずりばいする期間は、8ヶ月前後からハイハイをするようになるまでが一般的です。これは、一応の目安として考えてください。というのも、赤ちゃんの発達には個人差があります。よって、ずりばいするのが早い赤ちゃんもいれば、遅い赤ちゃんもいるのです。
また、ずりばいをせずにハイハイする赤ちゃんもいます。ずりばいがはじまる前兆は、寝返りがうてるかどうかです。寝返りができると、ずりばいできる身体機能が備わっているといってもいいでしょう。
ママパパの体験談
「おもちゃに手を伸ばそうとしたのをきっかけに前に進めるようになった。」(30代・大阪府・子ども2人)
「うつぶせが上手になって、その場でくるくる回り始めてから、少しずつ前に進めるようになった。」(30代・長野県・子ども2人)
5ヶ月・ 6ヶ月・ 7ヶ月のずりばいは早い?
5ヶ月・ 6ヶ月・ 7ヶ月の赤ちゃんがずりばいをはじめたとしても、早いということはありません。一般的に、寝返りが早いうちからできるようになった赤ちゃんは、ずりばいができるようになるのも早いといわれています。
「早すぎるとなにか問題があるのでは?」と考えるかもしれませんね。ずりばいをはじめるのが早いからといって、赤ちゃんの成長や発達に問題があるわけではないので、安心してください。
ママパパの体験談
「5~6ヶ月位の時に、大好きなオモチャをとりたい時や、私の所まで来てくれた時は嬉しかった」(40代・埼玉県・子ども1人)
「ねんねの時期から足の力が強く、よく反り返って遊んでいたので早く動きたかったように見えた。おもちゃなど興味のあるものが寝ていては届かない場所にあって、それを取りたい気持ちもあったのかなと思う」(20代・鹿児島県・子ども1人)
9ヶ月・10ヶ月のずりばいは遅い?
首すわりや寝返りをうつのが遅かった赤ちゃんは、ずりばいをするのも遅くなる傾向があります。9ヶ月・10ヶ月頃からずりばいをはじめたのであれば、とくに遅すぎるということはありませんし、身体的にも問題はありません。
「結局すぐにハイハイをしてしまってずりばいはしなかった。」(30代・茨城県・子ども1人)
「親子手帳に記載されている目安の時期より始めるのが遅かったが、焦らないで良いことを知っていたので特に気にせず過ごしていました。」(30代・岡山県・子ども1人)
ずりばいしない、ハイハイが遅い赤ちゃんに考えられることは?
目安のころを過ぎても、ずりばいやハイハイをしない赤ちゃんもいます。そのような赤ちゃんには「しない」「できない」理由があるのです。ここではその理由を説明していきます。
首、手足の筋力が弱い
ずりばいの姿勢は、頭が持ち上がり、上半身を起こした状態です。その状態から、腕や足を使って前や後ろに進みます。ずりばいができないのは、頭を持ち上げられる首の筋力や、前や後ろへ進むための腕、足の筋力など、ずりばいに必要な筋肉の力が弱いためだと考えられます。
興味が薄い
赤ちゃん一人ひとりには、好奇心旺盛なタイプや、マイペース、慎重派などの個性があります。好奇心旺盛な赤ちゃんは、どんどんずりばいをしますが、マイペースな性格や慎重派の赤ちゃんは、動くことに興味がなかったり、まずは様子を見ているのかもしれません。ゆっくり見守ってあげましょう。
体や脳の病気の可能性も
もしかしたら、体や脳の病気の可能性も考えられます。
ずりばいができない場合に考えられるのは、股関節の脱臼や聴覚・視覚の弱さなどがあります。また、筋肉の張りが弱く、体の動きをコントロールできない「低緊張(筋緊張低下症)」の場合には、脳性麻痺、発達障害、筋ジストロフィー、先天性ミオパチーといった病気の可能性も考えられます。
しかし、ずりばいしないからといって「病気かもしれない」と自己判断してはいけません。心配や不安があれば、かかりつけの小児科医に相談してください。
ずりばい・ハイハイしないで歩く場合も
実は、ずりばいやハイハイのステップを飛ばして、歩きだす赤ちゃんもいます。その赤ちゃんにとって、ずりばいやハイハイよりも、歩くことが適していたからかもしれません。ずりばいやハイハイの段階を踏んでいないからといって、なにも心配することはありませんよ。
ママパパで対策! 赤ちゃんのずりばい練習法
ずりばいは練習させたほうがよいのでしょうか。もし、練習させたほうがよいのであれば、その方法はどんなものなのかをご紹介します。
ずりばいは練習すべき?
ずりばいは、無理して練習する必要はありません。そもそもずりばいをせずに歩き出す赤ちゃんがいることからもわかるように、必ずしも通過しなければならない成長過程ではないからです。ただし、ずりばいができるようになれば、次のようなメリットがあります。
・背筋や肩・腕、脚などに筋力がつく
・目線が変わり、触れるものも増え、好奇心を刺激する
・指先や知能の発達を育む
赤ちゃんが遊んでいるうちに、自然にずりばいができるよう促してみるといいでしょう。
赤ちゃんの名前を呼ぶ
赤ちゃんから少し離れたところから、ママやパパが名前を呼んであげてください。そうすると、大好きなママ・パパのところへ行こうと、ずりばいをすることがあります。このとき、名前を呼ぶ以外に、手を叩いたり、ラトルで音を鳴らしたりして、「こっちだよ」というのを示してあげるのもおすすめです。
おもちゃを置く
赤ちゃんのお気に入りのおもちゃはありますか? あれば、赤ちゃんの手が届きそうな場所に置いてみてください。赤ちゃんは好きなものをつかもうと、頑張って手を伸ばしたり、足の裏で進もうとするはずですよ。
足裏をプッシュ!
ママやパパが赤ちゃんの足の裏を軽く押して、はずみをつけてあげるのもいいでしょう。そうすることで、前に進むためのきっかけとなり、感覚をつかみやすくなります。
可動範囲を教えてあげる
赤ちゃんは、股関節の使い方を知らないため、ずりばいしない可能性もあります。それを教えてあげるには、赤ちゃんを仰向けにし、股関節をやさしく回してあげてみてください。また、その状態で足裏を押し、股関節や膝を曲げたり伸ばしたりできることを教えることもよいでしょう。そうすることで、股関節の動き、使い方がわかり、ずりばいできるようになることもあります。
ずりばいのしやすい環境を作る
ずりばいを練習するために、ずりばいしやすい環境作りも大切です。ずりばいに適したスペースは、
・やや広い部屋
・家具の角や尖ったものもの、赤ちゃんが飲み込んでしまいそうな小さなおもちゃなどが置かれていないこと
・ジョイントマットなど、クッション性のよいマットが敷いてあること(フローリングは怪我の原因となるのでNG)
などです。赤ちゃんへの安全を配慮し、環境を整えてあげるとずりばいしやすくなりますよ。
記事監修
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。
編集部おすすめ!ずりばいを引き出すおもちゃ
ここでは、編集部がセレクトしたずりばいを引き出すおもちゃをご紹介します。
フィッシャープライス 1-2-3でんでんむし
発育に合わせて遊べるにこにこ笑顔のでんでんむしの知育玩具です。ずりばい・はらばいをするとちょうどミラーにお顔が映って赤ちゃんも興味津々!電池を入れるとメロディとライトアップにあわせてスイスイ走り出すのでハイハイをするようになってからも楽しく遊べます。
「SKIP HOP(スキップホップ)アニマルプル&ゴーカーズ/ビー」
このおもちゃは、ギュッと後ろに引っ張って離すと走りだします。その動きから、ずりばいを引き出してくれるおもちゃです。タイヤはゴム製なので、床を傷つけないようになっています。
「360°知育ベビードーム」
360°に散りばめられたしかけが満載。20種類以上の知育遊びができるベビードームです。ひもをひっぱったり、ゆらゆらゆれるボールをさわったり、テントを蹴ったりすることで、ずりばいに必要な腕や足に筋力をつけることができそう。
ずりばいは腕や足の筋力がついた証
赤ちゃんがずりばいをしだしたら、腕や足、体幹の筋肉がついた証。赤ちゃんは、ずりばいによって行動範囲が広がり、新しい世界を知っていきます。また、あれこれと興味をもち、好奇心も旺盛になってきます。ひとり遊びの時間も徐々に増えていくので、ママもパパも少しずつ育児が楽になっていきますよ。
文・構成/HugKum編集部