「ひらがなの書き方を教えたい」と思ったら、まずは子どもが興味をもつのタイミングを見計らうことが重要です。教え方にはコツがあります。子どものやる気を低下させないように注意しましょう。ひらがなを学習できるおもちゃやアプリの力を借りるのも一つの方法です。
ひらがなの書き方はいつから教える?
「そろそろ、ひらがなを教えたい」と思いながらも、タイミングを計りかねてはいませんか?子どもは一度興味を持つと自分から学ぼうとするため、ひらがなに関心を示しているかどうかが一つの目安になるでしょう。
ひらがなに興味を持ったとき
ひらがなを書けるようになるには、各文字の違いを認識しなくてはなりません。しかし、小さな子どもはひらがなを文字ではなく「絵」として見ているといわれています。
無理やり教えても、なかなか覚えられなかったり自主性が損なわれたりする可能性があるため、興味を示すまで待つのがベターです。まずは、目にする機会が多い「自分の名前」から、ひらがなに興味を持つ子も多いでしょう。
幼稚園や保育園で友達が読み書きできるのを目の当たりにして「自分も書けるようになりたい!」と、やる気になるケースもあります。
ひらがなの練習方法
「早く書けるようになってほしい」と焦ってしまうと、結果として遠回りになる恐れがあります。日常生活の中で自然に覚えられるように、1歩ずつ着実にステップアップしていくことを心がけましょう。
読み方から教える
「読み」と「書き」を同時に教えたい!と思うこともあるでしょう。しかし、決して欲張らず、まずは読み方から始めましょう。
読めない文字を書いて練習しても、なかなかインプットされません。子どもの負担も大きくなってしまうため、最初はひと通り読めるようになることを目標にしましょう。
また、教えるといっても、机に向かって勉強するのは難しい年齢です。お菓子のパッケージや看板など、周囲にあるひらがなを一緒に読むだけでも学習になります。
身近にあるひらがなに接することを繰り返すうちに、自然と覚えていくでしょう。
書きたい文字から始める
書き方を教えたいときは「これを書いてみない?」と「提案」してみましょう。「自分の名前を書いてみる?」「友達にお手紙を書いてみる?」など、子どもが興味を抱きそうな文字を提案してあげるのがポイントです。
一方的に「これを書いて」と言っても、子どもが「書きたい!」と思わないことには学習効果は上がりません。「名前を書けるようになってほしい」などの願望はひとまず置いて、子どもが興味を持った文字を優先するとよいでしょう。
なぞり書きから写し書きへ
ひらがなには直線もあれば曲線もあります。文字を書き慣れていない子どもにはどちらもハードルが高いため、なぞり書きから始めましょう。
思い通りに線が書けるようになるには、ジグザグやグニャグニャした線をなぞる「運筆(うんぴつ)」をするのもおすすめです。
なぞり書きがスムーズにできるようになったら、お手本を見ながら写し書きにチャレンジします。書き終えてからチェックするのではなく、書いている様子を見ながら書き順や鉛筆の持ち方に気を付けてあげることも大切です。
教え方のポイントは?
ひらがなの書き方を教えるときは、精神面のサポートも必要です。幼い子どもの多くは、中高生のように1人で黙々と学習することができません。気持ちに寄り添いながら、モチベーションを維持してあげることが求められます。
そばで見守る
忙しいとつい「ひらがなの練習をさせている間に家事を済ませたい」と思ってしまいますが、練習中はできるだけそばで見守ってあげましょう。1人では集中力が途絶えて、練習を投げ出してしまうことがあります。
親がそばにいるだけで、子どもは安心して練習に集中できるのです。苦戦しているときは、コミュニケーションを取って一緒に乗り越えることで達成感を味わうことができ、モチベーションも高まるでしょう。
いっぱい褒めてあげる
子どもは褒められると、どんどんやる気が出ます。練習中は小さな成長も見逃さないようにして、小まめに褒めることを心がけましょう。些細なことでも、子どもにとってはうれしいものです。
褒め方にもちょっとしたコツがあります。「丁寧に書けたね」「鉛筆の持ち方がよくなったね」など、何がよかったのかを具体的に伝えることです。褒めてもらえたことがより心に響いて、楽しみながら練習に取り組めるでしょう。
注意しよう!子どものやる気をなくす教え方
子どものためにと思って指導に熱が入ってしまうと、かえってやる気を低下させる恐れがあります。欲を出して結果を焦っても、お互いに疲れてしまうだけです。
自己満足な練習を押しつけたり、子どもの自尊心を傷つけたりしないように気を付けましょう。
間違いを厳しく指摘する
「正しく書けるようになってほしい」と思うのは、決して悪いことではありません。しかし、「ここは突き出してはいけない」「バランスがよくない」など間違いを指摘されるばかりでは、やる気をなくして練習が苦痛になってしまいます。
満足できる出来ではなくても、よく書けている文字を見つけて褒めましょう。「突き出さずに上手に書けたね」など正しく書けている箇所を具体的に伝えると、間違えることが次第に減っていきます。
ひたすら練習させる
「たくさん書けばうまくなる」と考えて、同じ文字を延々と練習させるのは逆効果です。親はしっかり練習させたことに満足しますが、子どもは面白みを感じられずに飽きてしまいます。ひらがなへの興味を失い、練習そのものを拒絶することにもなりかねません。
一度にマスターさせようとせず、毎日コツコツと練習を続けることが結果として近道になります。「楽しい!」「もっと書きたい!」と思っているときに切り上げれば、次の練習時間が待ち遠しくなるでしょう。
よその子どもと比べる
教えていると「早く書けるようになってほしい」「きれいに書けるようになってほしい」と欲が出てしまいます。
しかし、「○○ちゃんはひらがな全部書けるらしいよ」「お友達みたいに上手に書けないの?」と誰かと比べられると、子どものやる気は上がるどころか急降下してしまうでしょう。
成長速度に個人差があるのは、ひらがなの読み書きに限ったことではありません。焦る気持ちを抑えて、子どものペースを尊重して練習をサポートしましょう。
なかなかひらがなに興味を持たないときは?
ひらがなに無関心な場合は、きっかけを作ってあげるとよいでしょう。知育系のおもちゃやゲームを通して、ひらがなの読み書きを覚える子どももたくさんいます。予算や学習するシーンなどに合わせて選べるのも利点です。
おもちゃを使ってやる気を引き出す
おもちゃの中には、ひらがなの学習を目的とした商品も多数展開されています。定番の一つが、「お風呂の壁に貼るタイプのシート」です。湯船につかってリラックスしながら、ひらがなに接することができます。
「タブレットタイプ」は音声で読み方を教えてくれるだけでなく、液晶画面に文字を書いて書き順が学べるのも魅力です。遊び感覚でひらがなを覚えられる「かるた」などのカードゲームも充実しています。興味を持ってもらうために、好きなキャラクターのものを選ぶのもよい方法でしょう。
アプリゲームで楽しく始める
ひらがなの練習に特化したスマートフォンのアプリも登場しています。自宅はもちろん外出先でも気軽に学習でき、移動中や待ち時間にも活躍するでしょう。
ひと口にアプリといっても、読み書きが中心のものやゲーム性が高いものなど種類が豊富です。子どもに合ったアプリを取り入れて、学習に生かしてはいかがでしょうか。
パソコンのブラウザ上で遊べるゲームもあります。簡単なマウス操作を覚えるきっかけにもなって、一石二鳥です。
焦らずゆっくり進めよう
子どもにひらがなの書き方を教えても、すぐに覚えられるわけではありません。期待をかけすぎて興味の芽を摘まないように注意しましょう。間違っていても責めず、褒めて伸ばすスタンスで気長にサポートすることが大切です。
遊びの延長上で学べるおもちゃやアプリもあります。焦らずマイペースに学習を続けることが、上達の近道になるでしょう。
構成/Hugukum編集部