「さわるめいろ」の誕生秘話に感動! 目の見える子も、見えない子もみんな一緒に【小学館児童出版文化賞受賞】

幅広い層から注目を集める『さわるめいろ』をご存知ですか? 『さわるめいろ』はその名のとおり、さわってあそぶめいろの絵本。「目の見える子も、見えない子も一緒にあそべる」をコンセプトに、誰もが同じようにたのしめる工夫満載のシリーズです。

今回は、全3作におよぶ『さわるめいろ』シリーズや、同じくさわってあそべる新作絵本『かぞえるえほん』の魅力をお伝えします!

指でたどってゴールを目指す『さわるめいろ』とは?

『さわるめいろ』は、点字のように隆起した特殊印刷をなぞってゴールを目指すめいろの絵本。指先の感覚を頼りに、集中力を研ぎ澄ましてあそびます。各ページに掲載されるめいろは、1冊につき11種類を収録。

目にたのしいカラフルなデザインが、とっておきの仕掛け!

それぞれのめいろにはカラフルな格子模様や波形が配置され、目の見える人は視覚的にもたのしい仕上がりに。一方で、その色合いや模様が邪魔をして、めいろの全貌はうまく視認できません。この仕掛けによって、目の見える人も見えない人も、ほぼ同じ条件でめいろをたのしむことができるのです。

『さわるめいろ』誕生秘話|目の見える子も見えない子もいっしょに

絵本としては、ちょっと特殊な形式の『さわるめいろ』。そんな本シリーズはさまざまな経緯やコンセプト、そして、制作に携わった方々のこだわりによって誕生しました。

1作目の見開き。一見スタイリッシュでおしゃれな模様には、めいろを隠す効果が。

きっかけは、「てんじつきさわるえほん」の出版企画

現在、全3作で販売中の『さわるめいろ』シリーズ。1作目は「点字つき絵本の出版と普及を考える会10周年記念企画」および、「てんじつきさわるえほん 偕成社・こぐま社・小学館3社同時出版企画」の一環として2013年に小学館から刊行されました。同作は光村図書の国語の教科書にも採用されたほか、産経児童出版文化賞大賞をはじめ、たくさんの賞を受賞。未就学のお子さんから大人まで、幅広い年齢層の方に親しまれ、大きな反響を巻き起こしています。

以下の動画では『さわるめいろ』が生まれた経緯や魅力について、制作協力者である「てんやく絵本ふれあい文庫」の岩田美津子さんが解説しています。

見える子にも見えない子にも

「目の見える子も、見えない子も一緒にあそべる」が『さわるめいろ』シリーズのコンセプト。「視覚障がいを持つ子どもがたのしめる本を」と依頼されたことをきっかけに、エディトリアルデザイナーの村山純子さんが企画からデザインまでを手掛け、この形式によるめいろ絵本を実現しました。

こだわりの触感や色合い、複雑なめいろ

そんな本シリーズには、目の見える子、見えない子、そして、さらに幅広い読者にたのしんでもらうためのこだわりが満載。
まず注目したいこだわりが、めいろ箇所の特殊印刷。これは樹脂インクによるもので、高さが約0.4ミリあり、手触り感が抜群です。

隆起印刷の立体的な凸部がめいろの「道」となっていて、指で感じながらたどっていきます。

 

つぎに、とってもおしゃれでカラフルな色合い。どのページをひらいても目にたのしい柄や模様は、弱視の読者も想定して、2作目以降はより鮮やかさを増していきます。

2作目の見開き。1作目よりカラフルな色合いに。

 

さらに、1作目からすでにあそびごたえのあるめいろは、2作目、3作目と巻を追うごとにより難易度も高くなっていきます。
これらのこだわりによって、コンセプト通り、目の見える・見えないに関わらず、触れるすべての人がたのしくあそべる絵本が生まれたのです。

三巻目の見開き。どんどんカラフルに。そして難しくなっていきます。
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今度はさわってかぞえる!『かぞえるえほん』も新登場

同じく「目の見える子も、見えない子も一緒にあそべる」をコンセプトに、さわってあそべる『かぞえるえほん』が新登場。テーマを「めいろ」から「かぞえる」にシフトしつつ、『さわるめいろ』と同様に、樹脂インクによる特殊印刷を取り入れた絵本です。

ざらざら、つるつる……ついついさわってみたくなる質感

「ながいえんぴつと みじかいえんぴつ。 どちらの ほんすうが おおいかな?」
「つるつるの いしと ざらざらの いしが ならんでる。 どちらの かずが おおいかな?」

「かぞえるえほん」には、このようないろいろな「数」をさわって数える遊びを全部で12種類収録。

どのページにも、おはじきやクラッカー、スイカとそのタネなど、カラフルなイラストに、それぞれの質感を彷彿させる手ざわりが特殊印刷によって施されています。ざらざらだったり、つるつるだったり、目の見える子も見えない子も、ついつい何度もさわりたくなってしまうさわり心地。
まだ字が読めないお子さんのはじめての絵本にもぴったりの作品です。

第69回  小学館児童出版文化賞を「さわるめいろ」シリーズが受賞!

第69回(2020年) 小学館児童出版文化賞 受賞作。

 

また、ここまでご紹介してきた『さわるめいろ』シリーズの3作が、第69回(2020年) 小学館児童出版文化賞を受賞!
小学館児童出版文化賞とは、絵本や童話・文学などの出版物で、幼年のお子さんや少年少女に推薦したい優れた作品に贈られる賞です。今回の受賞を機に、ますます幅広い層に親しまれるのではないでしょうか。

読み物では『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』が受賞

2020年度の小学館児童出版文化賞で、読み物として同時受賞したのは、『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』(梛月美智子/作 小峰書店/刊)。小学6年生の拓人やその友人と、84歳の田中さんの不思議な友情の物語。74年前に11才だった田中さんが語る戦争体験を通じて、拓人たちは何を思い、どのような行動をするのでしょうか。小学校高学年から中学生、さらには大人にもおすすめしたい一冊です。

『さわるめいろ』シリーズとあわせて、ぜひチェックしてみてください。

目を開けても閉じてもたのしい! 家族の団欒も盛り上げてくれる絵本

目の見える人、見えない人、さまざまな人がいっしょにたのしめる『さわるめいろ』シリーズに『かぞえるえほん』。触感的・視覚的にたのしいだけでなく、しっかりとあそびごたえもあり、すべての遊びをクリアするには大人でもきっと苦戦するはず。お友だちや家族であそんでみれば、きっと盛り上がることでしょう。ぜひ、お手にとってみてくださいね。

構成・文/羽吹理美

 

さわるめいろ
著・デザイン:村山純子 協力:点字つき絵本の出版と普及を考える会・岩田美津子|小学館|本体1900円+税

点字のように隆起しためいろをさわってたどり、ゴールを目指して遊ぶ絵本。めいろには、格子模様や波形などが配置され、その全貌は見えづらい仕掛けに。全盲の方、弱視の方、目の見える方まで、みんながほとんど同じ条件で触感あそびをたのしめます。第69回  小学館児童出版文化賞受賞(3冊シリーズとして)、第61回  産経児童出版文化賞大賞受賞。

 

さわるめいろ2
著・デザイン:村山純子 協力:点字つき絵本の出版と普及を考える会・岩田美津子|小学館|本体1900円+税

前作の好評を受け実現した、指でたどる画期的なめいろの絵本・第2弾。目の見える方、見えない方をはじめ、さまざまな方から寄せられた前作へのご意見を参考に、たくさんの人にとっての「たのしさ」をさらに追求して作られました。1作目よりも難易度が高いめいろも収録。

 

さわるめいろ3
著:村山純子|小学館|本体1900円+税

指でさわってあそぶ、盛り上げ印刷によるめいろの絵本・第3弾。シリーズ中、最も難しいめいろを収録しています。目の見える方や、弱視の方が視覚的にもたのしめるこだわりの色彩も特徴のひとつ。前作・前々作をすでに攻略した方や、もっとむずかしい触感めいろにチャレンジしたい方にもおすすめの一作です。

 

どちらが おおい? かぞえるえほん
著・デザイン:村山純子|小学館|本体1900円+税

盛り上げ印刷が施されたイラストを指でたどり、いろいろなものの「数」をかぞえてあそぶ絵本。「ながいえんぴつと みじかいえんぴつ。 どちらの ほんすうが おおいかな?」などなど、収録されたあそびは全部で12種類。おはじきやクラッカー、スイカのタネなどのカラフルなイラストに特殊印刷によって実現された手ざわりは、どこか実物の手ざわりを彷彿させます。触り心地も抜群で、ついつい何度もさわってしまう画期的な絵本です。

 

昔はおれと同い年だった田中さんとの友情
作:椰月美智子 絵:早川世詩男|小峰書店|本体1,400円+税

スケボーするのが大好きな小学6年生の拓人。ところがある日、いつも遊んでいた公園がスケボー禁止になってしまいます。スケボーができる新たな場所を見つけたことをきっかけに、84歳の田中さんと出会い……。11才の拓人と、 74年前に11才だった田中さんの不思議な友情の物語。第69回  小学館児童出版文化賞受賞。

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