毎年10月に発表されるノーベル賞。その受賞者の一人「山中伸弥教授」のことについて、いろいろと調べてみました。この記事では、山中伸弥教授とはどんな人なのか、その実績や人となりをご紹介します。経歴やプロフィール、Twitterアカウントから、山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したiPS細胞とはどのようなものなのかまでをチェック。また、趣味を超えたライフワークでもあるマラソンの実力や、山中教授のこれまでの活躍・おすすめの著作なども見ていきましょう。
山中伸弥教授ってどんな人?
山中伸弥教授はどんな人なのか知っていますか?「ノーベル賞受賞者」「iPS細胞」などのキーワードは出てくるものの、どんな人なのかはわからないという人も多いことでしょう。これから子供にもわかりやすく説明できるように紹介していきます。
山中伸弥教授が受賞したノーベル賞とは?
まずは山中教授が受賞したノーベル賞について知りましょう。
ノーベル賞って何?
ノーベル賞は、スウェーデンの発明家アルフレッド・ノーベルの遺言によって創設された賞です。物理学、化学、医学・生理学、文学、平和、経済学の各分野で、人類の福祉に貢献した人々に与えられます。各賞は最大3名まで受賞でき、受賞すると賞金と賞状、メダルが授与されます。
ノーベル賞を受賞したiPS細胞って何?
山中教授は2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞しています。その受賞理由は、ips細胞の作製に成功したことによります。このips細胞とは一体何なのでしょうか。
iPS細胞とは、体細胞に少数の因子を導入し、培養して人工的に作られた多能性幹細胞(人工多能性幹細胞)のことです。人工多能性幹細胞を英語で「induced pluripotent stem cell」と表すことから、頭文字をとって「iPS細胞」と呼ばれています。
このiPS細胞によって、再生医療の発展や病気の原因を解明し、新薬の開発などが期待できます。
iPS細胞をわかりやすくいうと?
iPS細胞とは、人工的に作られた、体のもとになる多能性の幹細胞のことを指します。この細胞は、病気やけがで失くなってしまった体の一部やその機能を回復させることができたり、新しい薬を作ることにも役立てられるといわれています。
山中伸弥教授の経歴・プロフィール
山中教授の経歴・プロフィールを見てみましょう。
山中教授の経歴
山中教授は1962年生まれ、大阪府東大阪市出身です。1987年に神戸大学医学部を卒業後、臨床研修医を経て、1993年に大阪市立大学大学院医学研究科博士課程修了します。その後、米国グラッドストーン研究所博士研究員、奈良先端科学技術大学院大学教授、京都大学再生医科学研究所教授などを経て、2010年から京都大学iPS細胞研究所長となり、現在に至ります。
もともと整形外科の臨床医だった山中教授ですが、あるとき重症のリウマチの患者さんを担当したことをきっかけに、新たな治療法を求めて研究することを決意し、研究者に転身。アメリカに渡り、遺伝子操作マウスを扱う研究を行っていたときに、未知なる遺伝子(さまざまな細胞に分化し、増殖する能力を持つ万能細胞の一種である「ES細胞」の分化を左右する遺伝子)を発見します。2006年にマウスの皮膚細胞から、2007年にはヒトの皮膚細胞から人工多能性幹(iPS)細胞の作製に成功するのです。
これらの功績により、2010年には文化功労者として顕彰され、2012年には文化勲章とノーベル生理学・医学賞受賞しています。
Twitterは京都大学iPS細胞研究所(CiRA=サイラ)で
山中教授は、個人のTwitterアカウントは持っていません。山中教授の情報は、所属している「京都大学iPS細胞研究所(CiRA=サイラ)」の公式アカウントから知ることができます。こちらのTwitterでは、iPS細胞や研究所の様子などの情報を発信しています。
趣味はマラソン!
奈良先端科学技術大学院大学に所属していたころからジョギングをしていた山中教授。ある目的があり、さまざまなマラソン大会に出場するようになります。その目的とは、「研究に対する寄付の呼びかけ」でした。これは、ロンドンマラソンがチャリティイベントであることにヒントを得て、はじめたのだそうです。2012年の京都マラソンに出場した際に、はじめて寄付を呼びかけました。それ以降も寄付募集のため、マラソン大会に出場するのが恒例となっています。
山中教授のフルマラソンのタイムはかなりのものです。自己ベストは2020年に出場した京都マラソンで、3時間22分34秒というタイムを出しています。
練習方法は、早朝や昼休みなどの研究の合間に、週5日練習するのだとか。また、平坦な道だけでなく、坂を走るトレーニングもしているそうです。
山中伸弥教授の活躍
昨今では新型コロナウィルス関連のさまざまな取り組みをされています。実際にどのような活躍をしているのでしょうか。
インターネットで新型コロナの情報を発信
山中教授は、ご自身で作られたホームページで、新型コロナウイルスの情報を発信しています。その内容は、「世界の対応」や「動画で学ぶ」「解決すべき課題」などと多岐にわたります。
有識者会議の委員に就任
2020年6月に新型コロナウイルス感染症の効果について、人工知能(AI)によるシミュレーションなどを使って評価・分析する有識者会議が設置されました。山中教授はその委員を務めています。
また、2019年4月に新元号の有識者懇メンバーとして選ばれたことも記憶に新しいのではないでしょうか。新元号が「令和」と決定された懇談会に、山中教授は参加していたのです。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた共同研究
山中教授が所属する京都大学iPS細胞研究では、京都大学医学部、京都大学ウイルス再生研究所、国立感染研研究所、大阪大微生物研究所、大阪市立大学、大阪府などと連携し、新型コロナウイルの免疫学的観点からの検討を行ったり、治療法やワクチン開発に向けた研究を行っています。この研究では、iPS細胞に関連した技術が用いられているそうです。
山中伸弥教授の本のおすすめ
お子さんでも読みやすい、山中教授について書かれた本のおすすめを3冊ご紹介します。
芦田愛菜さん絶賛!「ふりがな付 山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」
芦田愛菜さんが「いちばん魂が震えた本」として紹介した山中教授の本です。「ジャマナカ」と蔑まれた研修医時代、臨床医から研究者への転向、留学後にかかった「アメリカ後うつ病」、発見を認めてもらえないもどかしさ、熾烈な「ヒトiPS細胞」開発競争、そして再生医療の未来など、「iPS細胞ができるまで」と「iPS細胞にできること」が語られています。すべての漢字にふりがながふってあるので、小学生でも読みやすいですよ。
「折れない心で希望をつなぐ! iPS細胞を発見! 山中伸弥物語」
2012年、ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥先生。臨床研修医時代には手術に時間がかかりすぎ、整形外科医に向いていないと挫折。アメリカでの研究から帰国後、うつ病状態になり、研究にも行き詰まってしまう…。ノーベル賞受賞にいたるまでの道のりは険しく、何度もどん底を味わった山中先生の生き方を通して、あきらめないこと、挫折してもめげずに粘り強く生きることの大切さを伝えてくれる一冊です。
「夢をつかもう! ノーベル賞感動物語」
「人類のために、最大の貢献をした人物」に贈られるノーベル賞。ノーベル賞っていつからあるの? 創設者のアルフレッド・ノーベルは何をした人? どんな人たちが受賞してきたの? など、ノーベル賞の歴史と魅力をわかりやすく紹介する本です。第2章の「受賞者たちの物語」で、山中教授が紹介されています。
山中伸弥教授の活躍から目が離せない!
iPS細胞の研究のみならず、新型コロナウィルスに関する研究やマラソンなど、さまざまな活躍を見せる山中教授。もっと山中教授のことが知りたい!という方は、ご紹介した本を読んでみたり、Twitterやウェブサイトなどを見てみてくださいね。
文・構成/HugKum編集部