離乳食が進むと、次第に赤ちゃんが自分から食べ物に手を伸ばすようになります。食べ物に興味のある子は手づかみでどんどん食べますし、逆に一向に興味を示さない子も。赤ちゃんのペースに任せておいて良いものでしょうか。手づかみ食べについて解説します。
赤ちゃんの手づかみ食べはいつから?
手づかみ食べはいつごろ始まるのでしょうか。赤ちゃんが自分で始めるのを待っていればいいのでしょうか?
生後9~11ヶ月の離乳食後期ごろ
一般的に、手づかみ食べが始まるのは離乳食の後期。月齢では9〜11ヶ月です。きっかけは、赤ちゃん自身の食べ物への興味。自分からどんどん手を伸ばす赤ちゃんもいれば、ちょっと触ってみて、その感触がイヤですぐやめてしまう赤ちゃんもいます。
手づかみ食べを始めた時期を皆さんに聞いてみました。
Q.手づかみ食べはいつごろからしましたか?
アンケートを見ると、生後7〜10ヶ月の間におよそ6割の方は「手づかみ食べ」を始めたと答えています。でも、約15%の人が1歳以降と答えている点にも注目しましょう。手づかみ食べには個人差があるのですね。
手づかみ食べのママパパ体験談
では、実際のママ&パパの声を聞いてみましょう。こちらをみても、片付けがたいへんなほど積極的だった赤ちゃんと、感触に違和感があってしなくなったという赤ちゃんがいますね。なかには、食べたいものだけは自分で、という赤ちゃんも。微笑ましいですね。
手づかみ食べをさせないとダメ?
「食べる」という行為は、生きていくことそのもの。なので、「食べたい!」という気持ちが芽生えたこと、そして、その欲求を満たすべく体を動かせるようになることは、赤ちゃんにとって大きな成長です。
ですが、成長のスピードや感情の芽生え方は人それぞれ。無理強いはよくありません。最初はつかんでもすぐに落としてしまい、大半が床の上…なんてこともありますが、赤ちゃんの「食べたい」という気持ちに寄り添ってあげましょう。「おいしいね」「やわらかいね」「ちょっとかたいかな」などと声掛けをしてあげるといいでしょう。
手づかみ食べのメリットは五感への刺激
手づかみ食べは、さまざまな感覚を刺激します。触ってみて、固さや手触りを確かめたり、においを嗅いだり…。目で見て、色や形を認識したりもしますし、口に入れたときには温度も感じているでしょう。
また、身体的にも、指でつまんで口まで運び、タイミングを合わせて指から離し、口を動かすという一連の動きもあります。
「食べる」という一つの動きで、赤ちゃんはたくさんの刺激を受けます。この刺激は脳の広範囲にわたるので知能の発達にも役立つと考えられます。
手づかみ食べをさせないデメリットは?
赤ちゃんが手づかみを始めたら、それを止めるのはNGです。テーブルや床、時には顔中がグシャグシャになってしまったりもするので、慌てて止めたくなってしまうこともありますが、先に述べたように、赤ちゃんの気持ちに寄り添うことが大切。
赤ちゃんによっては、日によって行動が違ったり、一向に上手にならなかったりして、ママ&パパをヤキモキさせたりすることもあると思いますが、とにかく赤ちゃんのペースに任せるようにしましょう。
手づかみ食べの進め方と練習方法
手づかみ食べの進め方や、上手なサポート方法をご紹介しますね。
自分で食べたそうにしていたらスタート時期
食べ物を丸呑みせず、口の中でモグモグできるようになっていること、そして椅子にしっかりと座っていられれば、手づかみ食べを始めてもOK! 食べ物をじっと見つめる、食べ物を見るとよだれが出る、などのサインがあれば、興味を示しているサイン。「持ってみる?」とママ&パパが手渡してあげてもいいでしょう。
最初はサイコロ状がおすすめ
赤ちゃんは、おっぱいのようなやさしい甘さが好きです。はじめての手づかみ食べには、持ちやすく、甘味のあるものがいいですね。サツマイモやかぼちゃをゆでて、サイコロ状にしてあげましょう。喉につまらないように大きさには注意してください。また、パンもおすすめです。パンなら、ちぎることもできるかもしれませんね。
できるだけ多様な味わいを
手づかみ食べを始めたころは、茹でた野菜やおにぎり、野菜スティックなどでも構いませんが、できれば、調理されたものにするといいですね。いろいろな味わいや食感を知ることが食への興味につながります。
また、手づかみ食べを始めると、おにぎりを握ることが増えますが、海苔には注意が必要です。巻いた海苔を噛み切るにはかなり力がいるので、海苔はおにぎりに混ぜ込んであげるといいでしょう。
手づかみ食べの卒業時期はいつごろ?
手づかみ食べが上手にできるようになったら、次はスプーンに挑戦してみましょう。最初は柄を上からつかむ「上手持ち」でOKです。
手づかみ食べの卒業の見分け方は「スムーズに口に運べるか」
目安は、つかんだものを上手に口に運べるようになったら。口ではないところに手がいくようであれば、まだ、体の連動がうまくいっていないからです。使わなくてもいいので食卓にスプーンを置いておいて、赤ちゃんが興味を持ったら、「持ってみようか」と勧めてみましょう。
最初は、スプーンを口に入れるのと、口を閉めるタイミングが合わなくて、全部落ちてしまうこともありますが、やっているうちにできるようになるものです。「しっかり持ててるね」「上手にアーンができたね」とできていることを褒めてあげてくださいね。
一緒に食べると上手になりやすい
赤ちゃんは、目で見てものを覚えます。なので、ママ&パパが横について、言葉で伝えてもわからないことも多いのです。
食事の時は、赤ちゃんと向かい合って座って、楽しそうに食べる様子を見せてあげてください。そうすることで、体や道具の使い方も覚えますし、何より食事が楽しいものだということを知ります。楽しいことには、誰しも興味を持つもの。興味をもてば、上達も早くなります。
「食べたい!」気持ちに寄り添って
赤ちゃんとの3度の食事は、なかなかたいへんです。食べやすいメニューを考えて、小さいものを作っても、そのほとんどが食べられず、掃除ばかりしている気分になったり、ほとんど食べられていないことに心配したり…。おっぱいの時とは違う悩みが出てくるものです。
大人は上手に食べること、全部食べることに一生懸命になりがちですが、大切にしたいのは赤ちゃんの食への興味。おおらかな気持ちで寄り添ってあげてくださいね。
構成・文/清塚あきこ(京都メディアライン)