HugKumでは【教えて!保育士さん】シリーズとして『保育士座談会』の様子を連載でお届けしています。 子育て中のみなさんへ、保育のプロである現役保育士さんのリアルな声をお伝えしていきます。
第5回目のテーマは「男性保育士さんに訊く保育の現場」です。最近では珍しくない男性保育士さんですが、まだまだ少数派。ママ達もどんな風に保育をしてくれているのか興味があるのではないでしょうか。今回は、女性ばかりの保育園での立ち位置や、パパにおすすめしたい遊びについてもお聞きしました!
【お話を伺った先生】
女性が多い保育士の現場で、男性であるメリットは?
筆者:保育園は女性の多い職場のイメージですが、男性だからできることや、男性で良かったと思うことはありますか?
男性というだけで、「存在価値」はある
酒井先生:メリットもデメリットもありますが、男性というだけでも、存在価値があるかなと思っています。以前保護者の方から「先生と遊んでいるうちに男性にも少しずつ慣れてきました」と言っていただき、それもひとつの役割だなと。
細谷先生:私は、現在2歳児のクラスを女性の先生と一緒に受け持っているのですが、子ども達はお父さんとお母さんだと思ってくれているようで、バランスよく運営できています。
力仕事や盛り上げ役は任せて!
落合先生:私は保育の中で、サッカーや相撲をやることがありますが、そういったパワーを使う遊びで役に立てているかなと思います。
阿部先生:そうですよね。子ども達が一度に何人もくっついたり、抱っこしたりすることがあるので、パワーは重要です。また、お散歩用の時に使用するカートは、子どもが6人乗ると100㎏近くになるので、なるべく男性の私が担当するようにしています。
細谷先生:私は、ハロウィンでは仮装を、クリスマスはサンタを、節分には鬼を引き受けています(笑)。盛り上げ役ですね。
「男の子あるある」の解決法は?
筆者:私は息子が2人いるのですが、男の子が何を考えているのか全く分からないことがあります。男性の先生なら、男の子の気持ちを理解できるものですか?
すぐ走るのが男の子。「走るな」では解決しない
酒井先生:男の子って、すぐに走りたがりませんか? 実は、ゆっくり歩くよりも走る方がラクな子もいるんです。それが分かっているので、走らせたり、発散させたりしてから別の遊びに誘うこともありますよ。
筆者:それ、まさにうちの子です。道路でもプールサイドでも走ってしまい、「走るな」と何万回言ったかわかりません!
落合先生:私も同じことを感じていました。昨年は1歳児を担当していて、今年初めて4歳児を担当したらこんなに走るのかとビックリして。ある時、自分の母親にその様子を話したところ、あなたもそうだったわよと言われて(笑)。 母もそういう時は走らせていたと言うので、クラスでも走る時間をつくりました。ホールの中を走って、壁をタッチして戻って。気が済むまで走らせています。「また走りたくなったら言ってね!」と話していますよ。
男の子の「身体のこと」も理解しやすい
阿部先生:男の子のことで言えば、おちんちんのトラブルや、男の子特有の疾患を抱えている子がいた時に理解しやすいことがあります。以前、おちんちんが腫れてしまった子がいた時、お母さんに連絡をして病院に連れて行ってもらったのですが、本人には「そこが痛かったらつらいよね」と話しました。体のつくり上、共感ができるんですよね。
男性保育士のリアルな悩みは?
筆者:男性保育士が増えてきた今でも、男性は1園に1~2人程とお聞きしました。女性ばかりの職場ですし、大変なこともあるのでは?
女性保育士のような細やかな気配りを勉強中
酒井先生:女性に囲まれて仕事をするという面では、女性は細かい気配りができるので、同じことができるようにと苦労しています。
例えば、冬の保護者会の時、女性の先生がひざ掛けやコートかけを用意していたのですが、男性の自分は気づくのが難しいこともあって。でも、女性はこんなことまで気を回すことができるんだ、と尊敬しますし、こんなに考えていたら疲れてしまうだろうなと思うこともあります。
着替えやトイレへの配慮
細谷先生:設備の面では、更衣室が男女別れていない園が多く、私も倉庫の一角で着替えています。あまり気にしていませんが、女性の先生が不快に思うと悪いので気をつけています。
落合先生:私も用具室で着替えていますが、運動会前などは荷物がたくさんあって着替える場所がないことも。とは言え、学生時代の部活では外で着替えることも多かったので、壁があるだけラッキーと思っています(笑)
筆者:男性の保育士さんに着替えやトイレに関わって欲しくないと思う保護者の方もいると聞いたことがあるのですが、実際はどうですか?
酒井先生:私が保育士になりたての頃は男性保育士が少なく、心配する保護者の方もいらっしゃいました。しかし、コミュニケーションを重ねるうちに、「酒井先生なら気にしない」と言ってくれるようになりました。今でも気を付けているのは、トイレのお手伝いに行くときは必ず周りに声をかけてから行くことや、密室にしないようにすることなどです。
阿部先生:私も、着替えの時には全裸にさせない、カーテンを閉める、などに気を付けています。保護者の方を心配させてしまうような、心無い男性による事件をニュースで見る度に、やるせない気分になります。
次のページでは「パパに伝授したい遊び」を教えていただきます!