紐銭ってどんなもの?
お宮参りのときに持っていく「紐銭(ひもせん)」をご存じでしょうか? この紐銭という言葉を聞き慣れない人、よく知らない人も多いはずです。今回は、地域限定の風習である紐銭について、わかりやすく解説していきます。
紐銭とは
紐銭とは、古くからある地域限定の風習です。現代でいうところのご祝儀袋にあたります。お宮参りのとき、頂いたご祝儀袋を「赤ちゃんが一生お金に困らないように」との願いを込め、産着やお祝い着の紐に結びつける習わしを指します。
由来
主に大阪をはじめとした関西エリアの風習である紐銭。その昔、商人の町として知られる大阪では、生まれた赤ちゃんのお披露目やお宮参りのときに、親族やご近所へ挨拶回りを行う際、麻紐に通した硬貨を赤ちゃんの祝い着に結びつけたことが由来とされています。
呼び名や内容は地域によって違う
紐銭は、地域ごとにその呼び方や内容などが異なる場合もあるようです。たとえば、関西の近畿エリアでは、紐銭を「帯銭(おびせん)」とも呼びます。
また、愛知県名古屋市の中部エリアでは「12ヶ月(1年間)お金に困らないように」という意味から、麻紐に五円玉を12枚通して産着に結びつけるそうです。
紐銭の渡し方やマナー
赤ちゃんのご祝儀にあたる紐銭には、渡し方やマナーがあります。ここからは、紐銭をいつ、誰が渡すものなのか? 相場金額は? といった気になるポイントを解説。また、ご祝儀袋の選び方やのしの書き方もご紹介していきます。
いつ、誰が渡す?
紐銭(ご祝儀)を渡すタイミングは、どんなときがいいのでしょうか? 基本的には、赤ちゃんのお宮参りに参加するときやお披露目(挨拶回り)のときに、紐銭を渡すようにしてください。祖父母をはじめ、兄弟や親戚、親しい友人などが紐銭を渡すとされています。
金額の相場は?
気になる紐銭の相場なのですが、3000円、5000円、10000円が一般的な金額です。祖父母で10000円、兄弟や親戚で5000円、親しい友人で3000円程度を目安にすればよいでしょう。兄弟や親戚、友人の場合、紐銭の代わりに贈答品でも問題ありません。
ご祝儀袋の選び方
ご祝儀袋は、紅白や金銀の蝶結びになった、のしが付いている水引を選びましょう。のしや蝶結びの水引は、慶事のときに縁起の良いものとされているため、紐銭にも最適といわれています。もちろん、普通の祝儀袋を購入しても大丈夫です。
ご祝儀袋の書き方
表書きは、のし紙の上段(水引の上)に筆ペンなどの毛筆で「紐銭」「ひも銭」「御紐銭」「お紐銭」「帯銭」「御祝」などと書いてください。次にのし紙の下段(水引の下)に贈り主の名前(フルネーム)を書きましょう。
お金を入れた中包みは、表側に旧漢字の金額を記入し、その裏側に贈り主の住所と氏名を記載します。
紐銭の結び方
ご祝儀に頂いた紐銭なのですが、どうやって赤ちゃんの産着に結びつければよいのでしょう? ここからは、紐銭の正しい結び方をご紹介します。
これは、ポチ袋で頂いたときも同様の手順です。また、地域により、他の縁起物も一緒に付けることもあります。
手順1:ご祝儀袋に穴を開ける
ご祝儀袋の上部に紐を通すための穴を開けてください。事前に紐銭を頂いている場合、風に飛ばされたり、落としたりする可能性があるため、中身のお金を抜いてから付けると安心です。
手順2:水引や麻紐を穴に通す
開けた穴に紅白か金銀の水引、または、麻紐を通します。水引を使う場合、頂いたご祝儀袋に結ばれていたものを利用しましょう。
手順3:紐銭を結びつける
赤ちゃんの産着やお祝い着の紐に紐銭(ご祝儀袋)を結びつけたらできあがりです。紐銭は、産着やお祝い着の後ろ側に結びつけてください。たくさんの紐銭が結ばれているほど、赤ちゃんには、縁起がよいとされています。
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紐銭をもらったあとはどうする?
赤ちゃんが「一生お金に困らないように」と頂いた紐銭。しかし、この紐銭(ご祝儀袋やポチ袋など)を頂いたあとは、どのように使い、どのように処分すればよいのでしょうか?
ここからは、紐銭をもらったあとにどうすべきなのか、その使い方や処分法をご紹介します。
お宮参りに行って、記念写真を
紐銭は、赤ちゃんの健やかな成長や安定した将来を願う縁起物です。このことから、お宮参りやお披露目のときなどに、産着に結びつけられた紐銭とともに記念撮影をすることが一般的になっています。また、赤ちゃんの記念品として、大切に保管する人も多いようです。
使用後の処分法は?
お金を抜いているとはいえ、紐銭の麻紐やご祝儀袋を捨てるのには、何だか気がとがめることもあります。そのときは、正月三が日などに神社や寺で行われるお焚き上げに出しましょう。お焚き上げは、縁起物に感謝の思いを込め、燃やして天に還すという儀式です。
紐銭用ご祝儀袋&ポチ袋のおすすめ
ここでは、紐銭として使えるおすすめのご祝儀袋&ポチ袋を集めてみました。シンプルな袋をはじめ、張り子犬やでんでん太鼓など、他の縁起物も入った「お宮参りセット」も販売されています。紐銭を準備するときの参考にしてください。
紐銭はどこに売ってるの?
紐銭に使われるご祝儀袋やポチ袋は、和雑貨店や文房具店などで購入することができます。また、インターネットでの通販も主流です。ただし、昔のように5円玉を麻紐などに通したタイプの紐銭は、自分で作るしかありません。
「ご祝儀袋 赤白水引(紅白水引) あわじ結び 5枚組」
日本最高級の水引といわれる「京水引」を使った豪華なご祝儀袋です。手作りの「本熨斗(のし)」を使い、その高級感は、まさに本物。のし紙も日本製の手漉き檀紙を使用、和紙特有の毛羽立ち感が紐銭のおもむきを醸し出します。
「お札を折らずに入れる祝儀袋 ポチ袋 10枚セット」
1000円札、5000円札、10000円札などのお札を折らずに入れることができるポチ袋です。和柄のデザイン5種類が2枚ずつ入った10枚セット。ミニハンカチも1枚入っています。
「お宮参り小物セット 犬張子、でんでん太鼓、奉納扇子、誕生記、麻ひも付(男の子・女の子用)」
お宮参りの必需品といわれる犬張子、でんでん太鼓、奉納扇子、ご祝儀袋、誕生記のセットです。男の子用(扇子青色)と女の子用(扇子ピンク)があります。初着の紐の後の結び目あたりに付属の麻紐で小物をぶら下げてください。
紐銭は、赤ちゃんの健康と将来を願う地域限定の風習
紐銭とは、関西地方を中心とした古くからある風習です。紐銭の他にも、子犬のように元気に成長してほしいとの願いを込めた犬張子、魔除けとして重宝されるでんでん太鼓、長寿の願いを込めた奉納扇子があります。紐銭の風習は、地域や家庭によっても呼び名や内容が異なるため、まずは、ご両親やご近所さんにたずねてみるのもいいでしょう。
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文・構成/HugKum編集部