プログラミング的思考を楽しく遊びながら身につけられると話題の「アベベのぼうけん」。仕掛けがいっぱいのプログラムすごろくが楽しめる内容で、小学校の図書室でも子ども達から大人気なんだとか。
今回の企画は、小学生がこの本をヒントに、オリジナルすごろくをゼロから作り、そのすごろくをゲームにしてみようというチャレンジです!
前編では小学5年生のひれいくんとはやとくんがアイディアを練って、楽しいオリジナルすごろくを作ってくれました。
後編ではいよいよ二人の作ったすごろくを、スクラッチでゲームにしていきます。
ゲーム作りスタート!
よし!ゲームを作ろう!といきたいところですが、ゲーム作りというのはプログラミングの知識がないとできません。
しかしひれいくんとはやとくんはプログラミングをやったことがない…。
助っ人登場
ということで、今回は助っ人として普段からプログラミングをやっている小学5年生のたいがくん、小学4年生のゆうごくんに協力をお願いしました!
助っ人の二人に、今回の企画を簡単に説明し、お願いしたいこと(上の①、②)を伝えると
「OKです!」「イメージ湧きました!」
という頼もしい返事が(え、天才…助かる〜!)
普段からプログラミングをやっている二人は、こちら側が伝えたことをしっかりと理解する読解力、頭の中で絵をイメージして形にできる実装力を身につけているのですね。
そんなわけで、たいがくん、ゆうごくんには1週間後の合同ミーティングへ向けて、すごろくのプログラム作りに取り組んでもらいました。
4人で制作スタート!
12月某日、すごろくを作ってくれたはやとくん・ひれいくんとプログラミングを考えてくれたたいがくん・ゆうごくん、そして私、みらいい編集部 齊藤が一堂に会し、ゲーム制作が始まりました!
今回はそれぞれコンビを組んで制作に取り組みます。
はじめはお互い初対面ということもあり緊張感がありましたが、作業を進めていくうちに打ち解けて
「ここはどんな感じにする?」
「キャラがこうやって動くようにしたいな」
「OK、やってみる!」
という感じで、サクサクと作業が進んでいきました。
そのまま約2時間集中して作業をしましたが、はやとくんとひれいくんのすごろくには仕掛けも多く、この日で完成とはならず…。
その後、2回のオンラインミーティングを経て、ようやく2チームのゲームが完成しました!
つくったゲームを発表しよう
いよいよオリジナルすごろくゲームの発表です。
ひれい・ゆうごチーム『ひれれの冒険』
改めてひれいくんが作ってくれたすごろくがこちら!
主人公のひれれが、頭を使いながら冒険をしていき、釣り竿をなくしてしまった浦島太郎に釣り竿を届けに行くというストーリーです。
どんなゲームに仕上がったのか見ていきましょう!
▼独特なデザインの主人公ひれれ。ひれれを操作しながら進めていきます。
▼今回の作品のキーポイントとなる釣り竿。これを持ち物に加えます。
▼すごろくの通り「イルカorサメ」どちらの道に進むかを選び、さらに進みます。
▼途中、海に漂流した人が現れ、自分が釣った魚をあげるという、なんとも心優しいプログラムが追加されていました。
▼イルカに進んだ場合、ここからワープをします。
▼ラストは、浦島太郎がいるところにたどり着き、釣り竿を渡します。
▼無事に釣り竿を渡すことができたらゲームクリア!!!
▼このゲームをフルで見たい方は動画または、こちらのプログラムファイルでお楽しみください。
https://scratch.mit.edu/projects/463441075/
はやと・たいがチーム『とどけ!野球ボール』
こちらのゲームは野球マンAが野球マンBにボールを届けるために、計算問題やあらゆるミッションをクリアしながらゴールを目指すというストーリーです。
それではゲームスタート!
▼画面右上にいるのが野球マンA。このキャラを操作していきます。左上に「3マス進め」という司令が出ているので、そのとおりに動かしていきます。
▼ここでスマホ派かPC派の好きな方に進めることができ、今回はみんなの意見でPC派に進むことに。
▼ここで鬼審判というキャラから「リンゴを8つくれないと通さない」と命令されたので、リンゴを取りに戻り、鬼審判のところを通過。その後もミッションを乗り越え、左にある紫色のトランポリンへ進みます。
▼トランポリンに進んだら、ぐちゃぐちゃグランウドを飛び越えワープ!「右の看板の計算の答えの数進め」という司令がでます。「4+2÷2=5」ということで5歩進みます。
5歩進んだら野球マンBにボールを渡し、ゲームクリアです!
▼このゲームをフルで見たい方は動画または、こちらのプログラムファイルでお楽しみください。
https://scratch.mit.edu/projects/459868997/
ゲームづくりを振り返って
2つの作品をご覧になってみて、いかがでしたでしょうか。
正直、両作品ともすごろくを作った時点で仕掛けが多く、プログラミングで再現するのは難しいかもしれないと思っていました。4人で協力してよくここまで作ってくれました。
ひれい・ゆうごチームの講評
ひれい・ゆうごチームは、ゲーム中に問いかけを多く使っていて、ゲームをする人がより楽しく参加できる仕組みになるよう工夫していました。パターンを多く用意することで、1回だけでなく何回やっても楽しめるすごろくゲームにしたのがすごい! 発想力のある2人らしさが存分に発揮されていて、非常に素晴らしかったです。
はやと・たいがチームの講評
はやと・たいがチームは、まず背景やキャラのデザインにこだわりが感じられました。どこかのサイトからイラストをとってきたのかなと思いきや、エクセルを使って自作でキャラを作ったそうです。
プログラミングに関しても、裏側の仕組みが複雑に構成されていて、本当に時間をかけてくれたことが見てわかりました。
協同してものづくりをする経験のすばらしさ
今回の取り組みでは基本的に大人の介入はなく、すべて自分たちで最初から最後までやり遂げました。個人ではなくチームでプロジェクトを進める楽しさと難しさ、両方を感じたことでしょう。
4人は、他人の意見をちゃんと聞くこと、お互いのことを認めながら協力すること、この二つを大切に作品づくりをしてくれました。最後に「できた!」という喜びや達成感を得た表情を見て、子どもの可能性は無限大だと感じさせられました。
こうした成功体験をきっかけに、プログラミングが好きになったり、自分が考えたものをどんどん形にする機会を増やしてもらえたらと思います。
『あべべのぼうけん』からスタートした今回のプロジェクト。ぜひみんさんも本を手にとってすごろくで遊んでみてください。小さなうちにプログラミング的思考を育むのにおすすめの一冊です。
文・構成/みらいい編集部 齊藤陸
本体1500円+税
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