子どもの「遊び食べ」はなぜ?いつまで続く?その理由や対処法と親のNG行動

子どもの遊び食べに疲れていませんか?いつかは終わると分かっていても、毎日続くようでは、パパやママはまいってしまうでしょう。子どもがなぜ遊び食べをするのかの主な理由と乗り切るポイント、親がやりがちなNG行動を紹介します。

遊び食べとは

遊び食べは、子どもが成長する過程で当たり前に起こす行動です。遊び食べの具体的な内容や、期間について見ていきましょう。

大切な成長過程

遊び食べは、離乳食を始めてしばらく経った頃の子どもが食事中に見せる、以下のような行動を指します。

・食べ物に手を入れてぐちゃぐちゃにする
・食べ物をわざと落とす
・食器やカトラリーを投げる
・飲み物に食べ物を入れる
・スプーンやフォークで食器を叩く
・食事中にウロウロする
・椅子やテーブルの上に立つ

遊び食べは大人から見ると、大変行儀が悪い行動です。自分の子どもが遊び食べを始めたら、ふざけて遊んでいるようにしか思えず、やめさせようと必死になったり、育て方が悪いのかと落ち込んだりするでしょう。

しかしこの時期の子どもは、自分の意思で手足を動かせるようになったばかりで、とても好奇心が旺盛です。目の前にある物はなんでも自分で触って、確かめようとします。

たとえ食事中でも、食べ物や食器に興味を覚えれば、つかんだり投げたりして「どうなるのか」を試してしまうのです。遊び食べは、子どもにとっては大切な成長過程なのです。

遊び食べはいつからいつまで?

遊び食べが始まる時期や、続く期間には個人差があります。始まる目安は、離乳食が1日3回になる生後8~10カ月頃です。食べさせてもらうだけだった赤ちゃんが、自分の手でご飯を食べられるようになる時期と、ほぼ同じと考えてよいでしょう。

遊び食べは2~3歳まで続き、4歳を過ぎるとほとんど見られなくなります

遊び食べをする3つの理由

遊び食べ行為のほとんどは好奇心からくるものですが、他にもいくつか理由があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

食への興味や好奇心

赤ちゃんにとって目に映るものは全て新しく、興味の対象となります。食べ物も例外ではありません。

例えば目の前に、お皿にのったおにぎりが出てきたら、まずは手で触って「固さ」や「熱さ」を確かめたいと考えます。

口に入れる前にぎゅっと握ったり、テーブルに落としてみたりするかもしれません。おにぎりは力を込めて握ったらつぶれることも、手にご飯粒がくっついてしまうことも、遊び食べを通して覚えていきます。

コップの中の液体がこぼれる様子や、床にはねてぴちゃぴちゃと音が出る様子も、赤ちゃんにとって不思議な体験です。初めて見る食べ物に好奇心をかきたてられた結果、食べるより先にいろいろな実験をしてしまうのです。

お腹が空いていない

お腹が空いていないときも、子どもはよく遊び食べをします。食事の時間になってもお腹が空かないのは、運動不足やおやつの食べ過ぎ、昼寝のし過ぎなどが原因です。

また子どもは胃が小さいので、大人が思うよりも少量でお腹がいっぱいになってしまうことがあります。食べ残しが多い子や食事の途中で遊び食べを始める子は、そもそも量が多過ぎるのかもしれません。

大人の気を引くため

子どもが遊び食べを始めると、驚いたり慌てたりと、周囲の大人が過剰に反応することがあります。大人の反応が面白いと感じたり、自分に注目が集まると気づいたりして、わざと遊び食べをする子どももいます。

遊び食べの対処法

子どもの大切な成長過程とはいえ、食事の度に周囲を汚されると片付けが大変です。作った料理を台無しにされ、イライラが募ることもあるでしょう。遊び食べ期間をうまく乗り切るコツを見ていきます。

お掃除がラクな環境を作ろう

遊び食べで一番困るのが食後の掃除です。こぼす、なすりつける、投げるなどの行為によって壁や床、カーテンが汚れ、洋服もシミだらけになります。

たたでさえ忙しい育児中に、毎回掃除や洗濯に時間を取られるのは大きな負担です。遊び食べの期間は家中が汚れるものと覚悟を決め、掃除をラクにする方法を考えましょう。「汚れても大丈夫」と思えるだけで、パパやママのストレスを大きく減らせます。

子どもには大きめのエプロンを着せ、洋服の汚れを防ぎます。テーブルの下にはレジャーシートや新聞紙を敷き、拭き掃除の手間を減らしましょう。

子どもの椅子はできるだけ壁やカーテンから離し、食器類が飛んでも当たらないようにしておきます。壁にもビニールシートを貼っておくと、ソースなどが飛び散ってもすぐに拭き取れます。

使い捨ての水拭きシートを常備しておけば、バケツや雑巾を用意する手間も省けるでしょう。遊び食べが収まるまで、水拭き可能なロボット掃除機をレンタルするのもおすすめです。

食事の時間を決めよう

遊び食べが激しく、食べ物を全部こぼしてしまうようなときは、栄養不足が心配になります。しかしたくさん食べてほしくて、いつまでも食事を続けさせたり、早めに食事を始めたりするのは逆効果です。

しっかりと食べさせたいなら、食事の時間をきちんと決めましょう。毎日決まった時間に食べさせ、1回20分程度で終わるようにします。

まだ食事が残っていても、遊び食べを始めたら「ごちそうさま」のタイミングです。

途中でお腹が空いたといわれても、おやつをあげ過ぎてはいけません。しっかりとお腹が空けば、次のご飯が楽しみになり遊び食べも収まっていきます。

間食を見直してみよう

間食のタイミングや内容を間違えると、夕食の時間になってもお腹が空かず食事に集中できません。夕食をあまり食べない、すぐに遊び食べするなどの場合は、間食を見直してみましょう。

市販のお菓子は糖分や塩分が多く、保存料などの添加物も心配です。小さな子どものおやつには、フルーツや乳製品、さつまいもなど、ビタミン・ミネラルを補給できるものが適しています。

おにぎりやバナナもよいですが、お腹がいっぱいになってしまうため、与えた日は夕食を少なめにするなどして調整しましょう。

やってはいけないNG行動

遊び食べに対する親の対応が、子どもによくない影響を与えることがあります。親にとっては忍耐を強いられる時期ですが、上手に付き合っていくほかありません。

子どもの遊び食べに対して、パパやママがやってはいけない行動を紹介します。

理由を言わずにただ叱る

遊び食べは、一般的な食事のマナーとはかけ離れた行為です。親として「しつけ」をしなければという思いや、掃除の大変さが重なり、つい叱ってしまうこともあるでしょう。

しかし子どもには悪気がないため、ただ叱られるだけでは、何がいけなかったのかが分かりません。食事のたびにパパやママが怒ったり、イライラしたりすると、食べることが嫌いになる可能性もあります。

叱るときは、その行為をしてはいけない理由をきちんと教えてあげましょう。

「食べ物で遊んじゃダメ」ではなく「〇〇ちゃんが床に落としちゃったから、これはもう食べられないよ」と言えば、「食べ物は床に落としてはいけないものだから、ママ/パパは怒っているのだ」と分かります。

「ジュースをこぼすと拭き掃除が大変で、パパも疲れるよ」のように、「こぼすとママ/パパが困る」ことを伝えるのも有効です。

子どもの気を散らせる

おもちゃやテレビなど、余計なものが視界に入ると、気が散って食事に集中できなくなります。またママやパパが席を立って、どこかに行ってしまうのもよくありません。

食事の前におもちゃを片付けると同時に、親もテレビやスマホを見るのをやめ、食べ終わるまで一緒にいてあげましょう。

パパやママと一緒に楽しく過ごす経験を重ねることで、食べることが好きになり遊び食べもしなくなります。

遊び食べに関するママパパの体験談

HugKumでは、0~2歳のお子さんがいるママやパパに、遊び食べに関する体験談をアンケートで聞いてみました。食事中にどのように遊び食べをしているのか、ママやパパはどう対処しているのか、みなさんの声をご紹介します。遊び食べをしてしまうお子さんを前に、ママやパパがどのような心持ちで乗り越えていたかも聞こえてきましたよ。

「イヤイヤ期真っ最中。 満腹になるとおもちゃのショベルカーなどを使って食べ物で遊びだす。 食べ物を粗末にしてほしくない気持ちと好奇心を潰したくない気持ちとでどう対応するか悩み中。 (30代・福島県・子ども3人)
「2歳頃に食べ物を投げたり、お皿をひっくり返したりすることが多て困った。止めることもできなかったので投げても反応しないようにしてやり過ごしたら徐々にしなくなっていった。」(30代・愛知県・子ども2人)
「1~2歳頃。手でべちゃべちゃやったりしていました。これも成長の過程だと思い、特に強く注意はしませんでした」(30代・埼玉県・子ども3人)
「一歳半ごろから遊び食べがひどくなりました。口に入れては遊びに行きまた口に入れては遊びに行きの繰り返し。注意すると食べなくなるのでどちらを優先させるべきか悩みました。」(30代・京都府・子ども2人)
「1歳半頃から、スプーンが上手に使えるようになったら飽きたようで手掴み食べに戻ってしまった。半年ほど手掴み食べをさせ、スプーンに再度興味を示したところでスプーンで食べるよう促したら遊び食べをしなくなった。」(30代・神奈川県・子ども1人)
「今もだがチーズをちぎってバラバラにしてお皿に置いたり、食べてる途中で立ち歩く事があるので何度か食べようと声掛けしたり、食べ物で遊ばない事を話している。それでもダメな時もあるのでその時はお皿を下げて強制的にごちそうさまにしてます」(30代・広島県・子ども3人)
「一歳を越えて、色々な物が食べられるようになった頃、全てを手でかき混ぜたりぐしゃぐしゃにする事が多く、掃除や汚れた服の洗濯が大変でした。根気よく、遊ばないことを伝えたのと、おやきのような食べやすい物を与えたりした。」(30代・埼玉県・子ども3人)
「8ヶ月~10ヶ月に座って食べず、お皿も投げて遊んでいた。食べないことに対して諦めていた いつか終わると思うようにした」(20代・東京都・子ども2人)
「1歳代の頃はいくら言っても聞いてくれなかったが、ニ歳になってからは、言い聞かせるとやらなくなったりした。しかし、最近のブームは、汁物を他の容器へ移し変えることらしく、納得が行くまでやらせてあげている。」(30代・千葉県・子ども1人)

遊び食べはいつかは終わる

子どもが遊び食べをするのは、成長過程において自然なことです。いたずらしているわけでもなければ、親のしつけが悪いせいでもありません。

期間は長くても2年ほどで、大きくなれば自然にやらなくなります。親にとっては忍耐の日々ですが、いつかは終わるものと考え、子どもの成長を大らかな気持ちで見守りましょう

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文・構成/HugKum編集部

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