【医師監修】男子の身長はいつまで伸びる?まだ伸びるか確かめる方法や予測方法

「もっと身長を伸ばしたい」「どうしたら背が高くなるの?」そんなふうに考える男の子は多いかもしれません。一生懸命にスポーツに励む子だとすれば、なおさらでしょう。

この記事では、男子の身長はいつまで伸びるのか、そんな疑問を徹底的に解説します。男子の身長予測の計算式や身長が伸びる子の特徴、まだ身長が伸びるかを確かめる方法などをご紹介。また、男子の身長を伸ばすための工夫も見ていきます。

男子の身長はいつまで伸びる?

男子の身長は、いつまで伸びるものなのでしょうか?人間には、身長が大きく伸びる時期が2度あるとされています。

1度目は生後から4歳頃までの間の「第一次成長期」です。約50㎝ほどで生まれてくる新生児は、生後1年で70cm~80cmとなり、4歳までには、新生児の2倍近く身長が伸びます。

2度目の「第二次成長期」は、思春期といわれる時期です。個人差があるものの、早い男子で9歳、平均的に11歳でスタートし、13歳ごろにピークを迎え、身長が10cm~12cmほど伸びます。身長が急激に伸びる時期を思春期の「成長スパート」と呼び、ピークを過ぎると成長速度はゆるやかになるようです。

男子の場合、高校生や大学生になっても身長が伸び続けることも珍しくありません。一般的には、18歳ごろに身長の伸びが止まるとされています。

身長がどこまで伸びるか予測できる?

子どもの身長がどこまで伸びるのか、両親の身長をもとに、ある程度予測することができます。以下が男子の身長を割り出すための計算式です。

男子の身長=(父親の身長+母親の身長+13)÷2+2

近年では、計算式に最後の「+2」を入れず、計算する傾向があります。ただし、身長の伸び方には、個人差があるため、あくまでも予測の数値と考えてください。

女子の身長はいつまで伸びる?

一方で女子の身長は、いつ頃まで伸びるのでしょうか?

第一次成長期は、男子も女子も同じです。しかし、女子の方が第二次成長期を早く迎えるため、平均的に8歳ごろからスタートし、11歳ごろがピークとなります。この間に身長が約8cmほど伸び、女子も18歳ごろに身長の伸びが止まるようです。

背が伸びる子の特徴

身長が伸びる子には、いくつかの特徴があることをご存じでしょうか?

身長が伸びる主なメカニズムとして、成長期の骨端線や成長・性・甲状腺ホルモンの働きなどが深く関わっています。ここからは、その概要や各メカニズムの関係性を見ていきましょう。

特徴1:「骨端線(こったんせん)」が開いている

身長が伸びる子の特徴として「骨端線」の開閉があげられます。骨端線とは、成長期の子どもにしか確認できない骨の先端部分にある骨端と骨幹との境目に表れる「成長軟骨帯(成長板)」のことです。

子どもの成長期には骨端線の組織内にある、新しい骨を作る役割を持った軟骨細胞の働きが活発になります。そして、新しく作られた軟骨細胞が骨の細胞に置き換わっていくため、骨が縦方向に伸び、結果的に身長が伸びていきます。

成長期がピークを迎えるとともに、骨になった軟骨細胞の骨端線は見えなくなるため「骨端線が閉じている」と表現します。逆に骨端線が確認できる場合「骨端線が開いている」と表現し、まだ身長の伸びしろがあると考えられます。

つまり、身長が伸びる子は、骨端線の開いている期間が長いといえます。ちなみに、女子のほうが男子よりも、骨端線が早く閉じる傾向にあるようです。

特徴2:「成長ホルモン」「性ホルモン」「甲状腺ホルモン」の関係

体内で分泌されるホルモンも大きく関係しています。特に子どもの成長期においては「成長ホルモン」「性ホルモン」「甲状腺ホルモン」の働きが欠かせません。

成長ホルモンや甲状腺ホルモンは、それぞれ脳の下垂体や甲状腺から分泌され、骨の成長を促進します。また、男子の精巣や女子の卵巣から分泌される性ホルモンは、成長スパートのきっかけとなります。成長ホルモンの分泌を増加させ、骨を成熟させ、硬く丈夫にする働きがあります。

このように、体内で各ホルモンがバランスよく正常に機能している子どもほど、身長が伸びやすい体質といえるでしょう。

特徴3:遺伝の影響

父親と母親の身長、つまり遺伝の影響も身長が伸びる子の特徴として考えられています。一説によれば、遺伝の影響が80%ともいわれています。

たとえば、両親の身長が高い子どもの場合、高身長になる可能性が高く、逆に両親の身長が低い場合、子どもが高身長になる確率が低くなるとされています。

しかし、子どもの成長には、個人差があることから、あくまでも確率の話であり、可能性や予測の話です。遺伝の影響に関しては、医学的にも明確な証拠はありません。

まだ身長が伸びるか確かめる方法

第二次成長期を迎え、子どもの身長がどこまで伸びるのか、特に男子は気になる場合もあるでしょう。ここでは、まだ身長が伸びるかを知るための確認方法をご紹介します。

方法1:骨端線を確認する

骨端線を確認すれば、確かめることができます。整形外科などの病院で、手のレントゲンを撮ってもらいましょう。手の骨に隙間のような線がみえれば、それが骨端線です。

骨端線は成長過程の証拠であり、骨端線が見える限りは、身長が伸びる可能性がまだあるといえます。ただし、病気や怪我での診察でなければ、基本的には自由診療になるため、保険は使えないのでご注意ください。

方法2:ひげの濃さを確認する

男子の場合、思春期の成長過程において、体が筋肉質になり、声がわりが起こり、最後にひげが濃くなるケースが大半です。

つまり、ひげが濃くなれば、身長の伸びが止まるといわれています。逆に、ひげの濃さが気にならない程度ならば、成長の途中であるため、まだ身長が伸びるかもしれません。

方法3:爪半月を確認する

これは、医学的に証明されていない方法ですが、小指の爪半月(そうはんげつ)を確認してみてください。爪半月とは、指のつけ根にある半月状になった白い部分のことです。

骨の成長を確認できるポイントといわれており、小指の爪半月が残っていれば、まだ身長が伸びるとされています。

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男子の身長を伸ばすための工夫

男子の身長を伸ばすため、成長期の日常生活にとり入れたい工夫があります。食事、睡眠、運動の3つです。ここからは、すぐにでも実践できる子どもの身長を伸ばすテクニックをご紹介します。

食事

身長を伸ばすためには、毎日の食事が重要なポイントになってきます。骨の密度を上げるカルシウムと骨の成長を促すタンパク質は、一緒に摂取しましょう。

また、カルシウムとタンパク質の吸収を助けるビタミンC、D、K、Bやマグネシウムなども欠かせません。さらに、亜鉛や鉄分、魚介類に多く含まれるアルギニンも身長を伸ばす効果が期待できます。

睡眠

質のよい睡眠時間をとるように工夫しましょう。身長が伸びるために必要とされる成長ホルモンは、睡眠中に分泌されるからです。

成長ホルモンが分泌するタイミングは、体も脳も眠っているノンレム睡眠時であることから、深い眠りを確保しなければなりません。そのためにも、規則的な就寝と起床を心がけ、就寝直前までにスマホを見ない、眠る3時間前までに食事を済ませるなどを意識してください。

昼寝をするのなら30分程度、1日の睡眠時間は8時間~10時間ほどが目安です。

運動

骨の成長を促すため、思春期の成長スパートを迎える前から運動をはじめてください。小学校の中学年~高学年をスタートの目安とし、1日60分程度で定期的に体を動かす機会をつくるようにしましょう。

このタイミングから骨や筋肉、結合組織などに刺激を与えることにより、成長スパートの効果が期待できます。運動といっても、鬼ごっこや縄跳びなどでも十分です。また、立っている時間を増やす、あるいは日頃から背筋を伸ばすだけでも効果があります。

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身長を伸ばすため、子どもの成長スパートを見逃さない!

総務省から発表された2018年度の「国民健康・栄養調査」では、全国の成年男子(20~60歳)の平均身長は、どの年代も170cm前後です。身長には遺伝が影響するといわれますが、実際には、個人差があります。男子の身長を伸ばすため、第二次成長期にくる成長スパートを見逃してはいけません。

日頃から質のよい食事や睡眠、運動を意識し、ストレスの少ない生活を送れるように心がけてください。一方で、成長スパートの時期に過度な運動をおこなうと、成長痛の原因や身長を伸ばすことへの弊害につながることもあるため、注意が必要です。

記事監修

かわかみ整形外科クリニックの院長先生の写真
かわかみ整形外科クリニック院長 医師・医学博士
川上 洋平

神戸大学医学部卒業。米国ピッツバーグ大学に留学し、膝関節外科、再生医療、スポーツ医学を学び、神戸大学病院、新須磨病院勤務を経て、患者さんにやさしく分かりやすい医療を提供することを目的に、かわかみ整形外科クリニック(神戸市)を開業。日本整形外科学会専門医。

https://kawakamiseikei.jp/

文・構成/HugKum編集部

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