5月から7月のごく短い期間に出回るさくらんぼ。華やかなイチゴよりはおとなしめですが、やさしい酸味と口に含んだ時の瑞々しい食感が、かわいらしいフルーツですね。おいしくいただくためには、どんな保存方法が良いのでしょうか。詳しくみていきましょう。
さくらんぼを美味しく食べる保存方法
国産のさくらんぼは高価なものも見かけますが、どんな特徴をもつフルーツなのでしょうか。
さくらんぼ保存の基礎知識
さくらんぼは主に山形県で栽培され、旬は5月〜7月の短い期間です。出始めたらすぐに買って季節の味を味わってください。収穫されてから2〜3日間が一番美味しい食べごろです。
甘さと酸味のバランスが良い「佐藤錦」や、大玉で比較的日持ちがする「紅秀峰」といった品種が人気です。スーパーではお手頃の値段で手に入りますが、専門店やお取り寄せで購入する贈答用の品もあります。
温度差や乾燥に弱く、とてもデリケートな果物です。鮮度の良いうちに、できるだけ早く食べることをおすすめします。
常温保存のポイント
さくらんぼに温度変化を与えないため、家に届いた時の状態を保つように保存します。常温で買ってきたなら、10℃くらいの冷暗所へ、クール便で届けられたら、冷蔵庫へ入れます。
果肉がやわらかく痛みやすいので、洗う際は水に入れ表面のゴミを払う程度にしてください。その後、キッチンペーパーでやさしく水を吸い取ります。
冷やし方にもひと手間が。食べる分だけ冷水にサッと通すか、冷蔵庫に10分ほど入れると、冷え過ぎずに甘みを感じられますよ。
冷蔵保存のポイント
冷蔵庫で保存する場合は野菜室へ入れます。ドアの開け閉めによる温度差からの結露を避けるため、容器ごと新聞紙やキッチンペーパーで包んでください。
ただし、この方法にはひとつデメリットがあります。新聞紙でくるんでいると、中身がわかりにくくなる点です。忘れたまま長時間冷蔵庫に入れていると、甘みが薄れ、鮮度も落ちてしまうので気をつけてください。
食べる分だけ冷蔵庫から出すことも大切です。常温に戻したさくらんぼを、もう一度冷蔵庫へ入れることは劣化を早めます。冷蔵保存での保存期間は4〜5日です。
さくらんぼを長期保存する方法
一度に食べきれない量がある時は、冷凍保存がおすすめです。
さくらんぼの冷凍保存
さくらんぼは軸をつけたまま容器に入れ、冷凍してください。軸を取ってしまうと、そこから乾燥して美味しさが失われてしまいます。
食べごろは、冷凍庫から出して1分ほどおき、表面がやわらかくなった時です。完全に解凍してしまうと食感が水っぽく、甘みも感じにくいのでおすすめできません。シャリシャリとした半解凍の食感を楽しむトッピングとして使ってみてはどうでしょう? 冷凍すると3ヶ月の保存期限になります。
カルピスで冷凍保存
カルピスの原液にさくらんぼを漬けて冷凍すると、1年ほど美味しくいただけます。色も味も通常の冷凍と比べると濃く、簡単にできるので大人気です。
軸はとらず、冷凍用保存袋を使って漬けてください。カルピスは凍らせてもシャーベット状なので、平らに置いて冷凍しておくと、好きな分量だけ割って取り出すこともできます。
お好みの薄さになるまで、水を足して食べましょう。
その他の保存テクニック
干すことでも、味のバリエーションが広がります。アメリカンチェリーの保存方法と一緒に見ていきましょう。
天日干し
砂糖で煮てから天日干しする方法は、3週間の保存期限です。甘みが弱いさくらんぼでも、味が凝縮しておいしくなります。
さくらんぼの種を取ったもの(100g)と砂糖(大さじ2)を混ぜ、弱火で10分煮ます。ザルに上げて煮汁をきり、クッキングシートに並べて3日ほど天日干しをします。途中で上下を返しながら干してください。100℃ほどのオーブンで、お好みの具合に乾くまで焼く方法でも良いです。
干しぶどうのような食感で、さらにこれを冷凍保存すると3ヶ月の保存期限になります。
さくらんぼの種の抜き方
洗ったさくらんぼの軸を外します。その反対側から爪楊枝の太い方を差し込み、軸側へ種を押し出します。はずしにくい時は、爪楊枝の先でグルリと種と実の間を切り離しておくと、種が押し出されやすくなります。
アメリカンチェリーの保存
アメリカンチェリーの保存はさくらんぼと同じです。干す際に、さくらんぼは砂糖で煮る工程がありました。アメリカンチェリーには天然成分の甘味料が含まれるので干すだけでOK。これをお酒で戻すと、ダークな苦味が楽しめます。
アメリカンチェリーの洋酒漬け
煮沸消毒した瓶に、種を抜いたアメリカンチェリー(200g)と、砂糖(100g)を入れ、ブランデー(200ml)で満たします。ラム酒、コアントロー、キルシュなど、お好みの洋酒でもOKです。液に実が全部浸かったままの状態で、1年ほどは保存ができます。
チョコレートと相性が良いので、寒い冬に生チョコに添えるとウィスキーボンボンのような味わいに。ガトーショコラに混ぜたり、添え物に使っても色が映えます。
さくらんぼは丁寧な保存を
さくらんぼは日本の果物の中でも、とくに痛みやすい果物です。「初夏のルビー」とも呼ばれ、毎年見かけると食べたくなるのは、さくらんぼにしかない魅力があるからでしょうね。ていねいな保存を心がけて、おいしくいただきたいですね。
構成・文/京都メディアライン