おやつは、食事だけでは摂りきれない栄養を補う意味でも重要な役割を持っています。日々成長している幼児、おやつにはどんなものを与えるとよいのでしょうか。幼児にふさわしいおやつの特徴、幼児のおやつの食べ方・注意点について解説します。さらに、簡単で栄養満点のおやつレシピ、おすすめの幼児向けの市販のおやつを紹介します。
目次
幼児のおやつ、どんなものをあげたらいい?
幼児は動きが活発で、毎日ぐんぐん成長しています。体はまだ小さくても、たくさんの栄養素を必要としています。ですが、消化器官が未発達で胃も小さいために、一度に食べられる量は少なく、気分によっても食べる量が変わってきます。
そこで1日3食の食事だけでは補いきれない分の栄養素を補うため、おやつ(補完食)が必要になります。
お菓子のイメージが強いおやつですが、保育園で出されるおやつの献立を見てみると、おやきやおにぎり、うどんなど、甘いもの以外のメニューがたくさんあります。おやつは幼児にとって食事の一部であり、栄養補助としての役割を担っていることがわかります。
幼児にふさわしいおやつの特徴
子どもの栄養を補うために必要なおやつ。具体的にはどのような食べ物を与えるとよいのでしょうか。ここでは幼児にふさわしいおやつについて解説します。
特徴1:満足感を得られるもの
幼児に与えるおやつのエネルギー量は、1日に必要なエネルギーの10~20%程度とされています。お子さんによって体格や運動量による多少の差はありますが、2歳までは3食の食事それぞれで250kcal(合計750kcal)を取ったとすると、おやつは150kcalほど、3歳以降では3食の食事でそれぞれ350kcal(計1050kcal)を取ったとすると、おやつは200kcalほどが目安になります。
次の食事までのエネルギーが補給できるよう、体を動かすエネルギー源になる炭水化物を中心におやつを選びましょう。炭水化物はご飯やパン、うどん、芋類などに多く含まれています。
今日のおやつは何にしよう?と悩んだときには小さめのおにぎりがおすすめです。ご飯に含まれる炭水化物が分解されるとブドウ糖になり、脳や体を動かす力になります。脳の健やかな成長のためにも炭水化物を補給しましょう。
特徴2:普段の食事で不足しがちな栄養素を補えるもの
普段の食事で十分な量が取りにくい栄養素を補うことができるような食品を選びましょう。特に子どもの成長に欠かせないタンパク質・カルシウム・鉄分・ビタミンCなどが補えるものを意識するとよいでしょう。
タンパク質を多く含むきなこや煮干し、カルシウムを多く含むプロセスチーズやヨーグルト、鉄分を多く含む海苔などの海藻類やドライフルーツ、ビタミンCを多く含む果物や野菜などがおすすめです。手を加えずにおやつにできる食材も多いので、手軽に栄養を補給することができます。
特徴3:消化吸収の良いもの
おやつの回数の目安は1日1~2回で必要に応じて与えてください。午前中の10時頃に1回、午後の15時頃に1回が一般的なおやつの時間です。次の食事までの時間が2~3時間ほど空くようなタイミングで、肝心の食事が「お腹いっぱいで食べられない」ということがないよう、与えるものは消化吸収の良いものにしましょう。
午前のおやつは昼ご飯まであまり時間が空かないので果物や野菜、乳製品など、午後のおやつは夕食までの時間が長く空く場合もあるため、おにぎりやパン、ふかし芋などがおすすめです。
参考:授乳・離乳の支援ガイド
幼児のおやつの食べ方・注意点
楽しいおやつの時間。毎日のおやつの時間を心待ちにしているお子さんも多いはず。ここではおやつの食べ方と注意点について解説します。
食べ方・注意点1:食品添加物に注意
市販のおやつを選ぶ際には必ず食品表示をチェックし、着色料や保存料、甘味料などの食品添加物が少ないものを選ぶようにしましょう。
食品添加物は国が使用を認めたものですが、取りすぎると体に悪影響を及ぼす可能性もあります。また塩分や砂糖、油の分量が多いものもなるべく控えましょう。
食べ方・注意点2:水分も一緒に
幼児はたくさん汗をかきます。水分補給のためにも、おやつの時間には飲み物を一緒に与えましょう。おやつの際の飲み物はカフェインの入っていない麦茶や水のほか、カルシウムを多く含む牛乳もおすすめです。
食べ方・注意点3:楽しい雰囲気で
おやつは栄養補助になるだけでなく、お子さんが心と体をリフレッシュできる時間でもあります。遊び疲れた体を休ませたり、気持ちを切り替えることにも最適。ぜひ親子で一緒に楽しく会話をしながらおやつを食べましょう。お子さんと一緒におやつを手作りして食べることもよいですね。
記事監修
河井恵美
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。
編集部がピックアップ! 簡単で栄養満点、幼児のおやつレシピ
幼児におすすめのおやつレシピを紹介します。栄養満点なことはもちろん、簡単に作れるので毎日のおやつにピッタリです。
野菜を使った「ブロッコリーのマフィン」
ブロッコリーが苦手な幼児でも食べやすい、ほんのり甘みを感じるマフィンです。満腹感もあるので朝ご飯にもなります。
◆材料
(4個分)
・小麦粉 100g
・ベーキングパウダー 小さじ1
・ブロッコリー 1/3株
・食塩不使用バター 80g
・きび砂糖 20g
・溶き卵 1個分
・塩 小さじ1/2
・牛乳 60ml
◆作り方
【1】小麦粉とベーキングパウダーは合わせてふるう。ブロッコリーは小房に切り分ける。
【2】室温に戻しておいたバターをボウルに入れて、泡立て器でクリーム状になるまで混ぜる(撹拌する)。きび砂糖を加えてさらに混ぜ、白っぽくなったら溶き卵を少しずつ加えて混ぜる。ふるった粉類と塩を加えてヘラで切るように混ぜ、牛乳を2~3回に分けて加えて混ぜる。
【3】マフィン型に、【2】をスプーンでひとすくいずつ流し入れる。ブロッコリーを2切れずつ入れ、残りの生地を等分に流し入れる。表面に残りのブロッコリーをのせて180℃に予熱したオーブンで25分ほど焼く。
教えてくれたのは
コウ ケンテツさん
料理研究家。旬の素材を生かした簡単&おいしい&ヘルシーな家庭料理が人気。テレビや雑誌、講演会など幅広く活躍し、著書も多数。1男2女のパパでもあり、食育や食を通してのコミュニケーション活動にも力を入れている。
『めばえ』2018年3月号
野菜ジュースを使った「にんじんとコーンの 蒸しパン」
アレルギーが心配な幼児でも安心、卵を使わない蒸しパンです。にんじんとコーンの優しい甘さを感じられます。
◆材料
(耐熱カップ×6個分)
【A】
・小麦粉 150g
・ベーキングパウダー 小さじ1(5g)
・砂糖 大さじ1
・塩 ひとつまみ(2g)
【B】
・キャロットジュース(フルーツ混合でも可) 150g
・にんじんのすりおろし 大さじ2
・ホールコーン 大さじ3
◆作り方
【1】ボウルに【A】を入れて、へらで均一になるように混ぜ、【B】とホールコーン(缶詰なら水けをよくきる、冷凍なら解凍する)を加え、さらに粉けがなくなるまで混ぜる。
【2】【1】を耐熱カップ6個に入れ、蒸気の上がった蒸し器で10~15分蒸す。
教えてくれたのは
上田淳子さん
ヨーロッパや日本のレス トランで修業後、料理研究家として雑誌、書籍、テレビで活躍。「育児の予習ゴハン会」を主宰するなど食育にも力を注ぐ。双子の男の子の母。
『ベビーブック』2016年5月号
牛乳を使った「いちごミルクゼリー」
いちごの果汁でほんのりピンク色になる可愛いゼリーです。牛乳を使っているのでカルシウムも豊富、栄養バランスに優れたおやつになります。
◆材料
(カップ×3個分)
・いちご 100g
・牛乳 1カップ
・ゼラチン 5g
◆作り方
【1】いちごはへたを除いてフォークなどでつぶし、牛乳を混ぜ合わせる。
【2】ボウルに水大さじ3とゼラチンを入れてふやかし、湯煎にかけて溶かす。【1】をへらで混ぜながら加える(手早く混ぜないとゼラチンだけが固まってしまうので注意)。
【3】【2】のボウルの底を氷水にあて、ときどき混ぜながらとろみが少しつくまで 冷やし、型に入れて、冷蔵庫で1時間以上冷やして固める。
*いちごの甘みが少ない場合は、砂糖を大さじ1程度加えるか、仕上げにコンデンスミルクをかけてもよい。
教えてくれたのは
上田淳子さん
ヨーロッパや日本のレス トランで修業後、料理研究家として雑誌、書籍、テレビで活躍。「育児の予習ゴハン会」を主宰するなど食育にも力を注ぐ。双子の男の子の母。
『ベビーブック』2016年5月号
以下の記事では、手早く作れて、子どもが喜ぶおやつを紹介しています。お子さんと一緒に作れるレシピもあるので、ぜひチャレンジしてみてください。
市販の幼児向けおやつのおすすめ
なるべくなら手作りしたい子どものおやつですが、時間や手間を考えると難しい…。そんなときには市販のおやつに頼りましょう。慌ただしい毎日に、手軽に取り入れられる市販の幼児向けおやつをご紹介します。
「こどものためのほしいも」
鹿児島県産のさつま芋(紅はるか)だけを使用した無添加・無着色のスティックタイプの干し芋です。一度、焼き芋にしてからペースト状に加工しているので、硬いスジが残らず小さなお子さんのおやつにも最適です。
数日間かけてゆっくりと機械乾燥させているので、自然な甘さと美味しさがギュッと凝縮されています。
「無添加ドライフルーツ りんご」
長野県産のりんごを使用した完全無添加のドライフルーツです。砂糖不使用なのでりんご本来の自然な甘みを味わうことができます。
そのままで食べてももちろん、ヨーグルトにトッピングしたり、パウンドケーキに入れたり、アレンジしても美味しく食べることができます。
「お魚チップス あおさ(粉末)」
かまぼこ屋さんが作る、国産の魚肉のすり身を使用したお魚チップスです。香り豊かな国産あおさ粉を練り込んであり、素材の風味を味わいながらパリッと美味しく食べられます。
酸化防止剤・リン酸塩・うま味調味料・香料不使用なこともうれしいポイントです。
おやつを楽しもう
幼児のおやつは、日々成長する幼児に必要な栄養を補うための「補完食」という重要な役割があります。
ここで紹介したような、おうちでも簡単に作れるレシピを参考に、ときにはいろいろなおやつ作りにお子さんと一緒にチャレンジして、おいしいおやつを楽しんでください。
文・構成/HugKum編集部