そういえば最近、冷凍庫の氷が小さい気がする…。なんてことはありませんか?今日も当たり前のように保冷してくれる、冷凍庫が冷えなくなったとしたら…。 ストックしている食品や、腐りやすい肉や魚が、まとめて解凍されてしまいます。考えるだけでもゾッとしますね。
今回は、夏本番を迎える前に、冷凍庫が冷えない時の対処と予防策を見ていきましょう。
冷凍庫が冷えない!もしかして故障…?と思う前に
「アイスが溶けてる!」と気がついた時は、慌ててしまうかもしれませんね。故障でなくても、いくつか原因が考えられます。「冷蔵庫は冷えてるのに… 」そんな場合もあるはずです。どんな原因があるのか、対処法も一緒に考えていきましょう。
冷凍庫が冷えない時の原因と対処法
冷凍庫内が冷やされる仕組みを考えながら、原因をさぐると対処法が見えてきます。
通電していない
まさか、と思うかもしれませんが、そもそも電気が通っていなければ、冷蔵庫自体が動きません。冷凍庫だけでなく、まずは冷蔵室のランプの点灯を確かめたり、冷蔵庫自身が発する動作音があるかどうかを確かめましょう。
コンセントが、気が付かずに抜けてしまっていることも考えられます。もしも抜けていたら、挿し直してください。
また、家のブレーカーが落ちている場合もあります。冷蔵庫と同じコンセントの挿し口に、他の電化製品を繋いで、動作確認をしてください。ブレーカーが原因なら、他の電化製品も動きません。
漏電事故を防ぐために自動でOFFとなったブレーカーのスイッチを、ONにすることで再び動き始めます。
お住まいの地域が停電している可能性もあります。他の部屋では電化製品が動いているか、または、家の外での様子を確かめてください。
冷気が逃げている
扉が開いていた、というのもよくある原因です。閉める力が弱かったり、庫内の食材が棚からとび出していると、扉が閉まりきらなかったりします。扉がピッタリと閉まるかどうか、確認してください。
扉の開閉を短時間に繰り返すことでも、冷やす力は弱まります。室内の温度が30℃を超える夏場に、冷凍庫内の-20~18℃の冷気を逃がし続けてしまうと、氷は個体の形を保ち続けられません。液体に変わってしまう0℃を上回らないように、扉の開閉を減らす工夫が必要です。
扉を開けたままで食材を探す時間を、短くすることでも防ぐことができます。日頃から中身を整理し、ストックしている食材を把握しておくことが大切です。
設定温度が弱になっている
冷凍庫内の設定温度が弱いと、夏には冷却機能が足りないことも考えられます。弱設定は電力の節約になりますが、食材が溶けてしまえば、元も子もありません。適正な設定に合わせてくださいね。
冷気の放出口をふさいでいる
冷蔵室に詰め込み過ぎると、冷やす力が落ちますが、冷凍庫はたくさん詰まっているほうが、冷気を保ちやすくなります。70%を下回らないように入れるのが目安です。かといって、これを過ぎるまで詰め込み過ぎると、冷気の吹き出し口をふさぐ可能性があります。
一度、整理整頓を兼ねた大掃除をしてみると、古くなった食材や好みでない食材など、破棄するべきものが見つかります。適正な量を、収納するようにしてください。
霜がついている
冷凍庫内に、いつの間にか溜まってしまう霜も、原因のひとつです。霜は、空気中の水蒸気が凍ることが原因なので、湿気の多い季節や、湯気のあがる温かい食品を入れると発生しやすくなります。家庭用の冷凍庫には、霜とり機能がついているので少なくなりましたが、気をつけてください。
もしついてしまっても、少量なら取るのは簡単です。お湯で絞ったタオルでふき取るだけで、すぐになくなります。分厚く成長してしまった場合には、まず庫内にある食材を、クーラーボックスに取り出す必要があります。スイッチを切り、数時間待てば水になるので、タオルでふき取ることができるようになります。固いものではがしたり、削ったりしようとすると、庫内を傷つけてしまうので、おすすめできません。
冷却装置が故障している可能性
以上を確認してみて、原因が思い当たらない場合は、いよいよ故障かもしれません。まずは、メーカーに問い合わせ、現状の様子を伝えてください。適切な対処の方法についてアドバイスに従い、故障時の対応へ進んでくださいね。
食材を守るための応急処置
故障がわかった時や、すでに解凍が進んでしまった時。残された食材をできる限り廃棄せずに、おいしく食べきることに尽力しましょう。
生鮮食品を取り出す
冷凍庫の中から、常温で置くと比較的早く腐敗してしまう食材を取り出します。魚介、肉などを中心とした、生鮮食品ですね。
冷蔵庫に問題がなければそのまま移し替え、そうでなければ、クーラーボックスに保冷剤と一緒に保管しても良いです。これらの食材は、次の日までには調理する必要があるので、使いたい食材があれば一緒に取り出してください。
できる限り冷凍庫を締め切りにする
冷凍庫が冷気を発生しなくなっても、保冷容器としてはまだ使用可能です。必要なものを取り出した後は、できるだけ冷凍食品自身がもつ冷気を逃がさないように、締め切りにします。
氷や保冷剤の力も借りて保冷すれば、完全な解凍までは24時間ほど余裕があります。その間に、必要な連絡を済ませ、残りの食材を消費するスケジュールを考えてはいかがでしょうか。
楽しく食品を食べきる
震災に遭われた方の話では、電気が回復するまでの間、冷凍していたウニやイクラを食べながら、励ましあって過ごされたそうです。たくましく生き抜く姿勢に、敬意の念が湧き上がるエピソードですね。冷凍食品の消費を兼ねたホームパーティーを企画してみると、明るい気持ちで過ごせるかもしれませんね。
故障を防ぐための予防
形あるものは、いつかは壊れるものです。「しまった!」となる前に、日頃からできる予防を確認しておきましょう。
ドアをきちんと閉める
扉が開けっ放しにならないよう、しっかりと閉める心がけをはじめ、詰め込み過ぎることがないように、普段から気をつけてください。
また、温かいものを保冷する時は、冷ましてから入れることも大切です。
開閉回数を減らす
扉の開閉回数を減らすためには、中身の食材についてメモを作るのも良いですね。まとめて食材を取り出せるように、調理手順を頭の中で組み立ててから、開閉することも予防に役立ちます。
冷蔵庫の置き場所を再確認
直射日光の当たる場所や、暖房器具のすぐ横に冷蔵庫を置くのはおすすめできません。
また、冷蔵庫の背面から10cmは、放熱のために必要なスペースなので、壁から離して設置してください。壁に押し付けてしまうと、冷蔵庫の負担になります。
また、学校からの連絡や、町内会の案内など、つい冷蔵庫の扉に貼ってしまいがち。貼りつけた紙は保温の作用へ働いてしまうので、必要最低限に整理することが大切です。
冷蔵庫の寿命
そもそも、冷蔵庫の寿命は10年ほどだそうです。それ以上過ぎてから新しく買い替えてみると、消費電力が少なさや、庫内スペースが広々ととれる技術から、使い勝手が格段に良くなっていることもあります。また、家族の人数や、成長の段階を考えると、古い冷蔵庫では生活に合っていない場合もあるかもしれません。
冷蔵庫はもはや生活必需品なので、ないと困る電化製品のひとつです。急な出費はつらいものですが、買い替えのメリットにも目を向けて、より快適な暮らしを求めてみてはいかがでしょうか。
優秀な機能を使いきる
冷えない冷凍庫では、冷凍テクニックも、おいしい冷凍食材も魅力半減です。優秀な機能を備える冷凍庫のおかげで、高度な冷凍技術が家庭で実践できます。その能力を最大限に活用できるよう、ぜひ日頃のメンテナンスに心がけてくださいね。
構成・文・撮影(一部分)/もぱ(京都メディアライン)